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「勇者さまご一行、こちらでーす。」添乗員はじめました。異世界で。  作者: 爽村 愛
サマソニア・そして神殿へ
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海辺の街に近づいて

 吊り橋効果という言葉がある。吊り橋を男女で渡れば恐怖ゆえのドキドキと恋のドキドキを勘違いしてしまい、相手に恋をしてしまうように感じるものだという。

 ただ、この吊り橋効果、誰にでも起こるわけではなく、そもそも恋しそうな相手への恋の起爆剤的な役割らしい。そんなものが影響していたとしても、関係なく、二人のジェットコースター(もとい、アスレチック)体験は二人の距離を更にぐっと縮めたようだ。

 アキマクの池に着く頃にはすっかり平常運転をしていて、お茶など飲んでいるのに私のきゅんきゅんは収まりそうもない。少年の笑顔ってずるいよ。セオロナさま。


 とはいっても、今は添乗業務中。皆さまの前でにやけるわけにもいかない。平常心、平常心。

 何食わぬ顔で集合場所であるアキマクの池で皆さまをお迎えする。


「何かいいことあったよね。」

「お肌ツヤツヤ?お二人とも?」

 あれ、何やらばれてる。が、表向きは健全なお遊び。アスレチックゲームのことを皆さまにお伝えすると、セオロナさまは明日お二人づつ交互に体験させることを約束させられていた。

 まあ、待合はセカンドカーでまったり過ごすことにしようかな。


 翌日も激しく楽しい移動日を終え、明日の朝には海辺の街『サマソニア』に到着することになった夕べ。

  「これ、聞いていいことかわからないのですが。サマソニアに立ち寄られるのには理由があるのでしょうか。勿論、私が聞くべきでないことであれば、何もないとお答えいただいても結構です。」

 と、エリアルさまに一言おことわりした上で問いかける。滝や洞窟の訪問目的が重い内容だっただけに、皆さまが話したくなったときに、話をしていただいたらいいと思うが、もし何か事前に話をしておかれた方が良いことがあれば聞いておきたい。


「実を言うと、私にもまだ具体的にはわからないんだ。ただ、私が古代勇者学により学んだところによると神殿に行く前に勇者が行くべき場所として、文献につづられているので立ち寄るんだ。その文献にはこう書かれている。『サマソニアの夕日が落ちるとき勇者は光の帯のなか大地・空・海からの教えを乞う』。」


 古代勇者学・・・。さすが、賢者さま博識だ。なんでも魔王は数百年に一度生まれ、それと対になる勇者さまが常にいらっしゃるとのこと。そのため、数代前の勇者さまの経験等文献に残されているものがあるようだ。


 まあ、ともかくサマソニアには訪問の明確な目的があるようだ。この旅で初めての外泊でもあるし、めいいっぱい働けるよう、今日も早く寝よう。


 と、最も安易な誓いを建ててしまう私だった。 

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