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「勇者さまご一行、こちらでーす。」添乗員はじめました。異世界で。  作者: 爽村 愛
サマソニア・そして神殿へ
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移動日徒然 ~二人遊び~

「二人になってしまいましたね。」

 照れ隠しにセオロナさまに話かける。


「そうだね、なにをして遊ぼうか。瑠奈さんの国では、こういう自然の中で遊んだりしないの?」

「自然は勿論、眺めたり走り回ったり、あとバドミントンとかいうものもあるんですね。こういう輪っかに網が張っていて棒がついてるもので、羽根つきコルク栓を打ち合うというか。」

「羽根突きコルク栓・・・。それ楽しい?」

 楽しいが、どんなものかが伝わっているかは極めて怪しい。まあ、あと世界の勇者さまと凡人で対戦型球技はないだろう・・・。軽く打たれただけでスマッシュ並みだろうし。


「あと、アスレチックというのがありますね。自然の中で、木でつくった障害みたいなのを置いて、木の台から台へジャンプして渡ったり、車輪に鎖を付けたものに乗って、長く通した紐を伝ってすべりおちたりとか。細い橋を渡るチャレンジなんかもあるんですね。」

 まあ、勇者さまの身体能力だとチャレンジではなく、あっさり終えてしまうでしょうが。


「アスレチック!面白い。それをやってみないか?」

「でも、そんな準備できませんよ。いくらなんでも。」

「違うよ。二人で体験しよう。この魔法馬車に乗ったまま。ちょっと待って。」


 というと、セオロナさまは魔法馬車の真下の部分に格納されていた車輪をセットする。魔法馬車ではなく、ほんとの馬車として使う時用の補助輪だという。そして、お茶道具など、ファーストカーの荷物を全部セカンドカーに移動させる。


 で、次がまさかの勇者さまのDIYドゥーイットユアセルフ。セカンドカーから道具を取り出し、ファーストカーの中に手すり棒と紐で体を固定できる安全ベルト装備を二人分ささっと取り付ける。で、馬車の囲いを底まで含めて透明にしてしまった。


「乗って乗って、手すりを持って!」

 もう、セオロナさま完全に少年顔。かわいらしすぎて、全く逆らえません。紐で体を椅子に固定するね。といって、シートベルトの容量で紐を通す。自動車を見たことあるんじゃないかと思うほど、合理的な仕様だ。


 まずは木の台渡りね。木の台はないけど、木の影ならある。あれをジャンプするね。

 ぼわーん、ぼわーんと底の車輪がまるでバネであるかのように影から影へジャンプしていく。

 この動きにあわせ、自分も座席からぼわーんぼわーんと浮き上がるけど、これは楽しくて癖になりそうだ。

 目を合わせて、微笑みあう。今、完全に遊園地を楽しむカップルの図だあ。最高。

 浮かれているところにセオロナさまが言う。


「さあ、次の動きいってみるよー。」

 ぎゅいいん。魔法馬車が高く持ち上がったと思うと、大きくスピードを上げて、紐をすべりおちる感覚で斜め下方向に滑り落ちる。音のイメージでいうと、ひゅーーーーーーーーん。紐のしなるイメージまでリアルに再現されてる。すごすぎです。で、一本の小さな車輪でバランスをとるように細い道を走っていく。


「ひゃああああああ」

 ここはかわいくキャピルところだとはわかっていても、スリル満点すぎてもう自由に叫んでしまう。

「もう一回いくよー。」

 ぎゅいいん。ひゅーーーーーーーーん。とっとっとっとー。

 左右の壁だけじゃなく足元まで透明の床だから高さも感じて本当に怖い。アトラクションとしては完璧な感じだ。もう、照れるとかなく、いつの間にか、手すりではなく、セオロナさまの腕にしっかりと抱き着いてしまっていた。でも、このドキドキは恋のドキドキではないことは確かだ。


 ・・・なんと、セオロナさま、この一連の動きが気に入り、2回などではすまさず、十数回繰り返して下さった・・・。普段、あんなに優しく紳士なくせに、冒険となると別人か。さすがは勇者さまだけのことはある。


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