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「勇者さまご一行、こちらでーす。」添乗員はじめました。異世界で。  作者: 爽村 愛
平和の森からシーズナルブラン村へ
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恋バナはまだまだこれから

 苛立ちも抱えつつ、でもその魅力で周りの大人たちも虜にするライユさま。

 悪さをしてもなぜかみんなに甘やかされ、ますます苛立つこともあったが、常に公平でおおらかなクレイさまのことは大好きだった。


 ゆえに社交界教育のない時間は、常にクレイさまのお屋敷に通いつめていたようだ。


 ライユさまの初恋のお相手は間違いなくクレイさまだったのだろう。聞けばライユさまとブルートさまは同じ年だそうだけど、クレイさまは3歳年上。憧れのお兄さまイメージだったのだと思う。


 で、その頃のライユさまのブルートさまへのお気持ちは、完全に邪魔者。クレイさまを独り占めしようと会いに行く度に何故か邸宅にいる目障りな子。


 甘やかされ放題、天真爛漫に育っていたライユさまは、クレイさまの目の届かないところでは、踊るようなキック、パンチの攻撃を常にブルートさまに繰り出していた。

 おかげでブルートさま、防御能力が、日に日に高まり、元々高い身体能力と、頑丈な体つきと相まって、鉄壁の防御を誇る御仁に成長していった。

また、ライユさまも踊るような攻撃により、ストレス解消をしながら、ついでにもて余すほどの、体力と運動神経を鍛えていった。


 あれ、これのどこがコイバナなんだ。○○さんの筋肉成長話とかじゃないの!?


 との苦言を予想してか、話しは急展開して、ある日、クレイさまのお誘いで3人で森にピクニックに行ったときのこと。

 森は、子供のころから辺境値でのびのび育ったクレイさまのお庭のようなところなので、3人でキノコ狩やら木の実あつめやらを楽しんでいた。ところが、その日、集めるキノコが悪かったのか、クレイさまが気分が悪くなってその場に崩れおちた。


 いつもなら野犬などが近寄ってきても、クレイさまのお力「てなづける」スキルでみんな服従し、森はお友だち状態なのだが、クレイさまが臥せっては急に森は危険な地帯になる。案の定、野犬が牙をむいて近寄ってきた。

 ライユさまお得意の踊りで魅了術もこの年頃では、不十分。素早さを軸として逃げるぐらいしか策はなかった。

 そんな中、ブルートさまは、いつもは生き物相手に一切向けない攻撃を野犬に一撃。ライユさまと、臥せったクレイさまから自分へと注意の矛先を変えさせる。

 そのあとは、周りに落ちてた太い枝、持っていたカバン、あらゆる道具を使いこなし、また巧みな逃げ術を使ってひたすら防御。


 野犬があきらめるまでそれを続け、遂には去っていった。

 その隙にクレイさまを抱え、家路を急ぐブルートさま。その日からライユさまのブルートさまの見方が変わったのは、言うまでもない。


 また、二人の関係のみではなく、その出来事は二人の生き方も変えた。


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