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「勇者さまご一行、こちらでーす。」添乗員はじめました。異世界で。  作者: 爽村 愛
平和の森からシーズナルブラン村へ
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滝の水の効果をもっと浴びて

 ピクニックエリアをつくり終わって、見渡して見ると、ちょっと良いことを思いついてしまった。

 セオロナさまへの気持ちの葛藤を隠しながら、でも一緒にいたい気持ちが溢れて、二人で用事を作ることにした。

 まあ、ちょっとよいことは私一人では出来ない内容でもあるとか、セオロナさまにも自分に言い訳もして。


 ピクニックエリアより、少し下流の場所に、ちょっけお2mぐらいの円形を棒切れで地面にえがき、岩を並べてみる。この辺りの力仕事、セオロナさまには手伝わせるわけにいかないと、断固断ったんだけど。


「公爵嫡男である前に勇者の僕が女性だけに力仕事をさせるなんて矜持が許さない。まあ、ライユなら曲芸のりで運ぶだろうから邪魔はしないが。しかし、君の場合は他の男性陣に手伝わせるなんてもっと許せない。」と、理屈的にはどうなのかと、思いはしても、貴族さまらしい威厳でいわれてしまうと、ど庶民の私としては従うしかない。


 で、岩を並べてしまうと、いよいよ私にできることはなくなった。

「ここからは、魔法というよりも精霊の力かな。さっきの滝の清めで精霊たちがものすごく沢山産まれた気配がするんだよ。きっと力余ってると思う。」


「友たる地の精霊たちよ。この地に窪みと、河からの水路を作っておくれ。」


 セオロナさまの唄うようなお願いに(見えないけど)精霊たちが動きだし、滝水が流れる河の水を引く天然プールがあっという間に完成する。その上円形だったプールの先がとんがって、舟形にまでなってる。

 どうやら地の精霊さんたちはサービス精神旺盛らしい。

 ついでに地熱でお水をお湯にしてもらう。天然温泉のできあがりーっと。

 きゃははーっと、テンション極めて高くセオロナさまに飛び付いて、お互いに顔を真っ赤にしてしまったことだけは、誰にも内緒にしておかねば!

 ヨーロッパ風の風土なので、ザ・日本の温泉旅館仕様ではなく、お一人様Spaとして楽しんでいただこうと、周りを布で目隠し。


 それぞれに浄化Spaを楽しんで、皆さんの中の暗い影がかなり消え去ったように見える。

 気持ちの上では他にも整理する事もあるでしょうが、この旅中出来ることは何でも協力したいと、改めて感じる。


 添乗員という、踏み込み過ぎずお客さまの気持ちに寄り添うこの仕事やっぱり愛しいな。

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