ライオスの滝へ
緑豊かな森、でもところどころに、戦闘の傷痕なのか、ポカーンと、木々のない部分があったり、大きな穴があったりして、移り変わる景色に、私の存在していなかった頃のこの世界を思う。
滝までの移動は、わいわいじゃなくていい。
お茶菓子を楽しんだりしつつも、ずっとみんなで外を見ていればいい。
「ごゆっくりおすごし下さい。」
と、私が呟くと、気持ちを察してくれたのか、セオロナさまが、また言祝ぐ。
同時にカボチャの魔法馬車の上半分が硝子細工のように透明になり、みんなが思いも思いの方向を見れるようになった。展望馬車とは、また素敵な。
やがて、日が高くなり、眩しさが訪れ、魔法馬車は元通りのカボチャ色に戻ってそして、止まる。
「ついたな。」
と、エリアルさま。どうやらライオスの滝に到着したようだ。
添乗員は、真っ先におりてドアの外、お疲れさまでしたと迎えるのが務めなのに、皆さんの連携パスによりドアに向かうのに最も不利など真ん中にいたためかなわず。必然、最後に降りることになった。
そして、ドアのに段差に足を置いたとたん、スッと洗練された動作でセオロナさまが、手を添えて支えてくれる。
ほんとはここポッとするところだけど、添乗員業務中なのにこのときめき。罪悪感で倒れてしまいそうだ。
そんな心を隠し、ドアを出て見上げると、滝が。
見事な滝があった。空高い部分から流れ落ちる水流が、金銀に輝いている。金銀の流れはそのままどこまでも透明な滝壺に落ちて、そのあと、また、澄んだ流れが始まる。
さて、ここでの時間の過ごし方は、と考えていると、皆さまさらっと軽装に着替えて滝に向かっていた。
各々武器を取り出す。
勇者さまの剣、踊り子さまの短剣、パラディンさまのハンマー、レンジャーさまのアーチェリーに賢者さまは杖。
そして、滝に向かって何か祈りを捧げたあと、持ち前の跳躍力で細い川の流れを飛び越えながら、滝に武器をかざす。
すると、金銀の流れを受けた武器は、心なしか艶が増し、輝きだしたように見えた。
なにをされたのかを尋ねようとセオロナさまを見つめると、柔らかな笑みでこちらを見返された。