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「勇者さまご一行、こちらでーす。」添乗員はじめました。異世界で。  作者: 爽村 愛
平和の森からシーズナルブラン村へ
15/82

魔法馬車は進む

 皆さんいい気分を味わうため、充分な時間静かに目をつぶっていた。


 その間に添乗員の私は、おもむろに足元荷物の水筒と人数分のカップを取りだし、熱いお茶を入れて配る。

 あと、昨晩焼き上げ、小分けにしてチェックのりぼんをかけた栗カボチャとチョコのシマシマクッキーも配る。

 とっておきの会心の出来を示したリボン分は、さりげにセオロナさまに渡す。


 ふうっと、一息ついたところで、エリアルさまからここ数日の旅程の発表だ。


「平和の森は3日間かけて抜ける予定だ。3日後の到着地はシーズナルブラン村。 途中の立ち寄り地点は、ライオスの滝、レイトオリーブ洞窟と。宿はないので、セカンドカーとテントを使う。」


「セカンドカー?」

 と、尋ねると、なんとこの車両の後ろにもう1台、縦長の車両が走っているという。荷物運搬と兼用というからには、コンテナのようなものだろうか。

 あとで見せてもらおうとそれはおいといて、旅程を必死にいただいた手帳に記入していく。


 全行程を先に行ってしまうと、楽しみがね。おっしゃるエリアルさまのご配慮があるため、行程表は配られず、私の添乗員手帳に書き留めた行程を私が管理するという方式らしい。


 まあ、渋滞もなく、今や魔獣との戦闘もない世の中で、行程管理は激務ではなさそうだ。


 書き留めたあと、大陸地図を広げて、シーズナルブラン村と王都の位置関係を確認すると、あれ、王都とは斜めに逆方向?

 遠回りの意味をエリアル様に尋ねると、理由はおいおい説明するが、三角形を描いて、王都を目指すとのこと。まあ、どのような旅程であっても、満足させるのが添乗員の務め。旅程に文句を言わない(心の叫びは別だが)のは鉄則だ。


 本日のはライオスの滝見物。ゆとりの行程だ。しかも、滝というのは添乗員に取って、非常にありがたい旅気分を否応なく盛り上げてくれる景色だ。

 安全に気をつけていれば、勝手にテンションアップが狙える。ラッキー。


 じゃあ、到着まで景色を楽しもう。ラブラブなブルート様ライユ様カップルを見て邪魔をしないようにと

 思うと、セオロナ様側の窓をじっと見つめることになり、非常に誤解を受けてしまいそうだけど。


 そんな自意識過剰な心配は杞憂に終わり、セオロナさまも、こちらではなくて、窓の外をじっと眺められていた。表情が消えても、やっぱり綺麗な横顔を見せて。


 

 

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