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トランク出現

 おかみさんとの最後の夜、しんみりしないように盛り上げ、盛り上げして夕食を楽しみ、せめて働こうと、旅程作成を申しでたものの。土地感もあり、あらゆる計算能力に秀でた賢者さま以上のものはできないでしょと、そのあたりの頭脳労働は、あっさり断られた。


 そして、体力勝負な添乗員業務を果たすため、たくさん、眠った。実にたくましいな。私。


 目が覚めると、トランクが準備されていた。なかを開けると、若草いろ、桜いろ、ヒヨコいろなど、26歳なのに見た目はっきり10代な私にピッタリ似合ってしまうコットンワンピースが。日本じゃどんなに可愛くても世間体気にして着れないけど。

 ここだと、街並みにも似合ってしまう。そして、白地にリボンの付け替えが出来ちゃう帽子。


 で、添乗員の強い見方、旅程表もチケット(あるのか?)も、たくさん入るバッグも。クリーム色の藤で出来てるように見えるけど柔らか素材のバッグ。これだと、どのワンピースにも合う!


 靴はしっかり歩ける編み上げサンダルだ。底も柔らかでかかとはペタンコ。


 添乗員ってスーツが基本だけど、この世界では浮きまくりだろうからありがたいー!


 あと、分厚い手帳と、アンケート作成用?なのか紙の束。


 忠実に添乗員業務させてくれるってことですね。

 でも、こんな大荷物、もって歩けるかな。


 そう思い立って、急に不安になってきた。


 いくら体力勝負な添乗員業でも、魔王討伐業務と比較すると1万分の1ぐらいの体力しかない(と思う)。


 ついて歩けるんだろうか。いやいやそもそも徒歩なのか。


 馬とか乗れないよ。

 その前にこの荷物、誰が買いものを?お支払いは立て替えてくれたのか。添乗員のお給料で足りるのか???


 んーーーー。不安がいっぱいだ。


 とりあえず荷物のことを聞くためにダイニングにおりなきゃと、荷物と別に掛けてくれてたアメリケンヌソースのようなクリームオレンジ色で膝下丈のワンピースに着替える。ほどよくフリルがついていてふんわりイメージ。動きやすさも文句ない。(こんなたくさん、添乗員のお給料で払えるのかな。)


 階下に下りるとみなさん朝食の真っ最中。

「世界中の侍女が着飾らせて下さいと頭を下げるほどのこの私に既製品を選ばせるとは、セオめーっ。」

「まあまあ、ライユだってノリノリだったよね。」

「確かにノリノリだったけど、既製品じゃ私の芸術的感性が表現しきれないのよーっ。絶対王都で最高のドレスを仕立ててあげるわ。黒髪をアップにして~。花を散らしてーっ。」


「あ、もしかしてライユさまでした?このワンピ選んで下さったの。ありがとうございます。で、つかぬことをお伺いしますが、いかほど?」


「きゃあ、いいじゃない?さすが、私の見立て!」

 と、ライユさまはまずご自分の手腕を褒めたあといい放たれた。

「さあ。プレゼントの主はセオだし、セオは民家より安いものの値段なんて気にかけないから。」


 いや、そこは気にかけて下さい!


「約束しただろ。任せてくれって。」

「でも、何より似合って良かった。」


 あ、また爽やか笑顔に負けた気が・・・。

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