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自己紹介と驚きと

「どうぞ上がって下さい」


 蒼依は春香を連れて2階に上がり、中に入るよう勧める。


「お…お邪魔します」


 春香は少し緊張しながら入ってきた。扉を閉め、テーブルの椅子に座るように言う。

 蒼依はキッチンへ行き、コンロの上に置いておいたやかんに水を入れ火にかける。すぐに食器棚から湯飲みを2つと急須を取り出し、隣の棚から茶葉を出しておく。

 春香はというと椅子に座り、客間にあるものをきょろきょろと見回している。先程の緊張は薄れてきているのか、幾分か落ち着いてきている。

 やかんが湯気を立てたので火を止め、急須に茶葉を入れてからそこにお湯を入れる。すぐに蓋をして、湯飲みに順番に注いでいく。これをもう一度おこなったあと、お茶の入った湯飲みをテーブルに持って行く。


「粗茶ですが」


「あ、ありがとうございます」


 春香に片方を渡し、蒼依は春香の向かいの椅子に座る。茶を一口飲み、のどを潤す。そして、蒼依から話し始めた。


「それじゃあ自己紹介から。俺は姫野蒼依と言います。この世界ではアオイ=ルナ・リライトと名乗っています。オリジンの2代目店主をしながら新しい召喚者の皆さんにこの世界のことを教える、教師のようなことをしています」


 蒼依が言い終えると、春香が質問をしてきた。


「あの、蒼依さん。失礼かもしれないですけど、おいくつですか?」


「今年で17歳になります」


「へえ、私と同い年なんですね………て、えぇ!?じ、17歳なんですか!?……確か、4年前に召喚されたんですよね…?」


 春香は自分と同じ年齢で召喚されたと思い込んでいたので、驚いてしまった。


「ええ。この世界には13歳の時に召喚されました。アリーは言ってなかったんですか?」


「えっと…、4年前に召喚されて、戦争を止めた6人のうちの1人で〈六華の付術士〉と言う二つ名を持っているとしか」


 春香がそう言うと蒼依が少し恥ずかしそうに


「ふ、二つ名は言ったんですか………そこまで言うなら歳のことも言っておけばいいのに」


 蒼依はそう愚痴をこぼしながら、お茶を一口飲む。


「二つ名がお嫌いなんですか……?」


 春香が遠慮がちに聞いてくる。蒼依はいいえ。と首を横に振り


「嫌いではなく好きなんですけど……少し、と言うかかなり恥ずかしいんですよね」


 そう続けた。春香は、はぁ。と言いながらそういうものなのかなと考えていた。


「それじゃあ今度は、ハルカさんのことを教えてくれませんか?」


「あ、はい。……私は冬峰春香と申します。春の香りと書いて春香と呼びます。年齢は蒼依さんと同じで今年で17になります。これからよろしくお願いします。」


 背筋を伸ばし、雰囲気を少し変え、春香は頭を下げる。

 蒼依はそれに対して優しく微笑み


「こちらこそです、春香さん。───ところで、アリーの手紙に書いていたのですが、家が盾となる事を仕事にしているって言うのは……?」


 アリーが書いた手紙の中には蒼依はそれについて何か知らないかと書かれていた。蒼依は分からなかったので思い切って質問した。


「ああ……えっとですね……」


 そのまま春香は黙ってしまった。

 蒼依は言いたくないなら言わなくても良いですよ。と言ったが、春香は話してくれた。


「ごめんなさい。どう説明したらいいのか考えていたんです。蒼依さんは〔SP〕ってご存知ですか?」

 

 蒼依は頷く。

 SP───セキュリティポリスとは日本の警視庁にて、要人警護任務に専従する警察官の呼称。外国ではシークレットサービスと呼ばれている。

 強靱な肉体と精神、敵を一瞬で行動不能にする力、そして、時に自らの体を盾とし、要人を守る自己犠牲の精神を持つ。正に騎士と呼べるであろう存在。


「私は、代々産まれた人の内、一人が絶対にSPなる。いえ、させられる家系に産まれたんです」


「…………はい?……え、はい?」


 今度は蒼依が驚く番だった。

 それもそうだ。産まれたのが兄弟又は姉妹であれば上の者か下の者、それか二人共SPになると言うことだ。もし産まれたのが一人であればその者が何であろうとSPにならなければいけない。春香はそう言っているのだ。

 

「すごい家系ですよね。でもそれが私が生まれた、冬峰家なんです。私は、上に二人兄が居ましたから絶対にならなければいけない。なんて事はなかったんですけどね」


 春香は笑みを見せながら話す。しかしその笑みは些か暗いものだった。

 その話を聞いて蒼依は──


「はぁ~。中々すごい家系ですね。そんな事をしているなんて。なら春香さんは剣道か柔術をしていたんですね」


 春香の笑みを知ってか知らずでか蒼依はさらに春香に質問をする。

 春香はその質問に少し驚きながらも首を縦に振る。


「では射撃……はないだろうから英会話とかは?」


「……英会話はまだ少ししか。射撃は実銃は撃ったことはありません。……蒼依さんはSPの事を知っているんですね。」


 そう。蒼依が春香に聞いたのは、全てSPになるために必要な技能なのだ。


「以前。と言っても5年ほど前にSPの事が書かれていた物を読んだことがあるだけですよ。」


 蒼依がまだ召喚される前の時に流行った、SPに視点を置いたドラマ。その特集が書かれた雑誌の事を蒼依は思い出していた。


「ご、5年前の事を憶えてるんですね………」


「記憶力には少し自信があるんですよ。それはそうと、剣道と柔術をやっていたというのは良いですね、魔獣と戦闘も出来ますし。何より守護者としてはその2つと魔法を教えればいけそうですね」


 蒼依は嬉しそうに呟く。

 それを聞き春香は


「魔法も教えてもらえるんですか!」


 魔法と言う単語が出て春香は嬉しそうに聞いた。

 蒼依が頷くと更に嬉しそうになる。


「もしかして、向こうの世界でゲームとかやってました?」


 蒼依が聞くと、春香はうれしそうな表情を照れた様な表情に変えて答える


「はい。ゲームの他にも小説とか持ってました。殆どファンタジーRPGでしたけど……」


 蒼依はその言葉を聞いて喜ぶ。


「良いです……かなり良いです!特にゲーム。しかもファンタジーRPGを多くやっていたのならこの世界には早く馴染めますし、そういうのをやっている人だと魔法の適性と覚えが早いんですよ!」


 夢にまで見た魔法が撃てる。そう言われて、春香は小躍りしたい気持ちになる。


「魔法は基礎までなら教えられますよ。……まあ教える前にこの世界についてのことを学んで貰いますけどね」


 そうして、蒼依による、春香のための授業が始まった。

今回、前と比べて短いものとなりました。

と言うより前の奴が長かったんや……うまく切れなかったんです……

 次回は今回より長く、前回より短くという感じになると思います。

 気長にのんびり書いてますので気長にのんびり待っていて下さい。2週間までには上げるので。


 ではまた次回~

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