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さつこい! 麗編  作者: おじぃ
北海道での日常編2
66/69

うららららららー

「うららひめー!!」


 朝8時前の大通。背後から聞き慣れたハスキーボイスが駆け足で接近してきた。


 ギュッ!


 そしてそれは私に抱き付き、絡まってきた。


 うぅ、息が苦しい…。


「オハヨウゴザイマス…」


「グッモーニン! 今日も爽やかな朝だね!」


 よく晴れた空、気温は13℃くらい。確かに快適で過ごしやすく、爽やかな朝だ。しかし私の肩にもたれ掛かる生き物がとても暑苦しく、爽やかな朝を奪った。


「ムムッ! 麗姫、いま私をメガネザルだと思ったかい?」


「いえ、謎の生き物エックスです」


「ややっ! 麗姫はねっぷと違って推測の斜め上を行くね」


「神威くんも謎の生き物Xを知内さんだって言ったの?」


「ねっぷは私を昆虫観察するような目で見てきたけれど麗姫、いまの貴女きじょの発言はどういう意味だい?」


「えっ? 私、何かおかしなこと言いマシタ?」


 ‘謎の生き物X’を‘知内さん’だって言ったの? ってだけだよね…? 何かおかしいかな~? う~ん、おかしくないな~。Xが知内さんだもん。知内さんがXじゃなくて。


「麗姫、目が泳いでいるよ。それより、そろそろ‘知内さん’なんて他人行儀な呼び方をしなくても良いであろう? 何か別の呼び方をしておくれよ」


 う~ん、そう言われてもなぁ。じゃあ‘謎の生き物X’? でもあまり調子に乗って連呼したら目からレーザーキャノンとか浴びせられそうだし…。


 もしそんな事になったら…。


『ビビビビビビビーッ!』


 Xはレーザーキャノンをはっしゃした!


『うららららららー。バタン!』


 いちげきひっさつ! うららはたおれてあれこれなめまわされた!


 うぅ、なんというバッドエンド…。想像するだけで目眩がする~。


「麗姫、私を何者だと思っている?」


「いきものです」


「そうかい。アンドロイドじゃなくて良かったよ」


「アンドロイドだったんですね…」


「違うわ!」


 パシッ!


「イタイッ!」


 ちっちゃいくせにジャンプして私の頭を叩いた。呼び名は後で考えよう。


『トゥートゥータララララタータタートゥラララタッタッタッターラタラララ!!』


 会話が一段落し、引き続き学校へ向かっていると、背後から騒がしいリコーダーの音。曲は人気パンクバンド、マキシマム・ザ・ホルモンの『チュー チュー ラブリー ムニムニ ムラムラ プリンプリン ボロンヌルル レロレロ』。ハイテンポで難易度の高い曲だけれど、音を外さず見事に演奏している。タイトルからどのような曲か大体想像できると思うけれど、爽やかな朝にはとてもミスマッチだ。


 私のお父さんもこの曲が好きで、大音量で聴いてから家族みんなで外出した先のスーパーで小さな女の子を追い掛けたら、お母さんに往復ビンタをされた。


 お父さんが『あの子が重たいチューペットの袋を落としたから拾ってあげたんだよ』と釈明したら、お母さんは『チュー!? ペット!? アンタ小さい子ども相手にそんなこと考えてたの!?』と事態が悪化。私がどうにか仲を取り持って、お父さんはお庭でパンツ一丁のまま一晩過ごす程度で済んだ。


「グッモーニン! 今日も爽やかな朝だな!」


「おはよう」


 演奏者は神威くんだったのか。そうだよね。うん、そうあるべきだ。変な人が多いこの学校で、これ以上変な人が登場されても困る。


「グッモーニンねっぷ。キミのリコーダー演奏がなければ爽やかな朝だったよ」


「なんだと!? アレは見知さんも麗ちゃんも、みんなを笑顔にするためのパフォーマンスだぞ!」


「ああ、そういうことかい…」


 知内さんは何かを悟ったようだけれど、何か深い意味があるのだろうか。まぁいっか。




 ご覧いただき本当にありがとうございます!


 ホルモンの選曲は、音の聴こえない小説で、曲の雰囲気をわかりやすく表現できるタイトルはないかと模索したところ、あのタイトルが最適と考えてましたw

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