親友一人…
「万希葉!! 大丈夫か!?
おい!! 誰だテメェ!!」
アタシは自室にあるビクターのスピーカーで大音量でホルモンを聴いてたら、万希葉からのSOSサインがあったから、場所を確認して3分で急行した薄暗い路地裏の袋小路には、全身をガタガタさせてケツと両手を地に着けて仰け反る万希葉を、黒装束の男が見下ろしていた。地面には萌香とねっぷが気絶して倒れ込んでいる。
「助けて静香! ねっぷとルッツーが!」
「言われなくても!
おいテメェ、さっきからダンマリこいてねぇでなんか言ってみぃやコラ!!」
タッタッタッタッタッタッ!
アタシが威嚇していると、背後から誰かが駆け寄る足音が、聞こえてきた。
「上幌さん!!」
「新史さん!!」
「ようセンパイ。助かるぜ」
「岩見沢さんも大丈夫かい?」
息を切らして来た足音の主は新史さん。正直強者とは思えねぇが、サシでやるよか心強い。
「あぁ、アタシは大丈夫だ。それより万希葉だ」
制服姿の万希葉は、ワイシャツのボタンを外されていた。
「それにこの黒装束、さっきからダンマリこいて何も話しやしねぇ」
ドンッ!
「うあっ!」
ドスッ!
腹に膝蹴りを食らった新史さんは、登場早々あっさり気絶させられちまった。
ってゆーかなんだコイツのスピード。半端な速さじゃねぇぞ。これに対抗できるヤツなんて麗くらいしか居ねぇんじゃねぇか? アタシもいつまで持つかわかんねぇ。
くそっ、一か八か…。
「ぅおらああああああっ!!」
アタシはトレーニング用に鉛を装着したスニーカーを黒装束に至近距離から投げ付けた。
サッ!
くそっ! やっぱ避けられちまったか。
ドンッ!
「ぐあっ!?」
「静香あ!!」
突如、後頭部に物凄い衝撃を感じた。万希葉の悲鳴が聞こえた。
あぁ、アタシ、やられちまった。万希葉、ゴメンな。アタシ、親友一人守れなかった。
ご覧いただき本当にありがとうございます!
今回は予定を変更して即席で話を作りました。本来予定していたお話は次回お送りします。