失言したけれど
ねぇ神威くん、期待しちゃって良いのですか? 貴方は、私に気があると捉えても、良いのですか?
「そ、それって、麗ちゃんとパコパコしていいってことか!?」
ええええええっ!? いやいやあのその、どうしよどうしよどうしよう!? 私にも下心がなかったかといえば違うけれど、いざ言われるとどうしたらいいかわからなくて混乱しちゃう!
「あっ、あのねっ、そういうのはねっ、ちゃんと付き合ってからすることだと思うの! だけっ、だけどねっ、上幌さんとか留寿都さんとかにしてたイタズラくらいなら大丈夫って意味です!!」
い、言い切った。私、言いたいこと言えた。けれど、あまりにも早口で尚且つ混乱していたので息切れして苦しい。
って、あれ? 私、何かとんでもないことを言ってしまったような気が…。
「うおっ、おいおい、それってつまり、麗ちゃんにちょっかい出してもいいってこと…? だよね?」
あぁもう後戻り出来ないみたい。神威くんは俯きながら、驚きを隠そうと必死に平静を装っているのがよく判る。
「う、うん。そうなるの、かな?」
はぁ、終わった。私のピュアラブ、ジエンドだ。さすがの神威くんも私が変態だと知ったらドン引きして愛想尽かすだろう。
「うおっ、うおっ…」
神威くんは何か込み上げるものを抑えているかのように、呻き声を上げた。
「どっ、どうしたの?」
恐る恐る訊いてみる。
なんだろう、何かお下品なことをしたい衝動を抑えているのは察しがつくけれど、何がしたいのだろう?
「ごめん麗ちゃん、もう我慢できねぇ」
な、何を我慢できないの?
「えっ!? あっ、あの…」
考えているうちに、神威くんは制服のブレザーとワイシャツを数秒で脱ぎ捨て、ズボンのチャックに手を掛けた。
なになに!? 何をするつもりなの!? 裸で廊下を走り回るの!? それとも私を食べる気なの!? したいことはハッキリわからないけど、とにかく止めなきゃ!!
「ごめんよ麗ちゃーん!! もう我慢できねぇ!! ちょっとランニングしてくるぜ!!」
あぁ、強姦じゃなくてランニングか。良かった良かった。
って違う!! そうじゃなくて、神威くん今度こそブタ箱入りになっちゃう!! やっぱり止めなきゃ!!
「うほっ、うほっ、うほほーい!!」
パンツ姿になり、腰のゴムに手を当てそれすらも脱ごうとする神威くんを止めようと、私は正面からパンツのゴムしがみ付くため手を伸ばしたのだが…。
ズルッ!
あ、はじめましてこんにちは。留萌麗といいます。神威くん本体のテンションとは違ってアナタは元気ではないようですね。
誤って神威くんのパンツを下ろしてしまった私は、心の中で息子さんに挨拶をした。
「あ、あの、麗ちゃん? なんかその、スンマセンでした…」
私は恥ずかしくて神威くんの顔を見上げられず、だからといって息子さんをジロジロ見るのにも抵抗があるので、左へ向いてみた。
「あ、いえ、こちらこそ、ごめんなさい…」
「いやいや、ホントにスンマセン。修学旅行の前にも迷惑掛けたばっかなのに」
「ぷっ…」
神威くん、これでも学習してるんだ。そう思うとなんだか可笑しくて、つい噴いてしまった。
「ふふっ、そう思ってるなら服脱いだりしないのっ」
私は右拳を口に当てて微笑みながら軽く注意した。
「ゆ、許してくれるのか?」
神威くんはキョトンとしている。こういう時の彼は本当に反省していると最近判った。
「許すも何も、今回は私が脱がしちゃったんだから。でも 、裸で外に出たら補導されちゃうよ?」
でも、私が傍に居れば、こうやって引き止められるから、心配いらないよ? いざとなったら動けなくしちゃえばいいし♪
そういえば、知内さんはなぜ私をここに派遣したのだろう。彼女、結局何も教えてくれなかったし。
でも、楽しいから、まぁいいか!
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