吸血鬼から救出
私たちは江ノ島シーキャンドルの展望台から360度の絶景を堪能している。
東には三浦半島や房総半島やヨットハーバー、西には残雪のある富士山や丹沢山脈や伊豆半島、真鶴半島や不入斗さんの故郷である茅ヶ崎市街、南には大海原の向こうに伊豆大島の影、北は駅舎が龍宮城のような造りになっているという片瀬江ノ島駅周辺の繁華街が見える。
シーキャンドルを出て、神威くんのお母さんにそっくりな顔した阿吽の象の前を通り過ぎた後、散策路の商店で買ったサイダーを飲みながら島を散策した。
小魚など磯の生き物と触れ合える岩場では何故か神威くんだけ海のゴキブリと言われるフナムシに全身を覆われ、もはやフナムシの塊と化した悪役モンスターだった。上幌さんと岩見沢さんは大爆笑。
木天蓼って虫も寄せ付けるのかな?
続いて鍾乳洞に入ればたちまち300匹は超えるであろうヒルの群れに全身を覆われて血をたっぷり吸われていた。うぅ、ナメクジみたいで気持ち悪い…。
他のみんなは怯えて逃げてしまったけれど、失血死したら可哀相なので削ぎ落としてあげた。
「あ、ありがど…」
神威くんは血を吸われ過ぎて貧血を起こしているみたい…。大丈夫かな?
「大丈夫?」
心配なので声を掛けてみた。
「…大丈夫。貧血になっちまっただけさ…」
その後、神威くんは長万部くんの肩を借りて島の入口まで戻った。
「おう! ねっぷと愉快な仲間たち!」
学校制服を纏ったスポーツ刈りの少年が声を掛けてきた。
「おおお!! 師匠!!」
先程までの虚弱は嘘のように元気を取り戻した神威くん。実はこの方は島の入口で待ち合わせをしていた。
ご覧いただき本当にありがとうございます!
今回は今後の展開を鑑みて非常に短くなりました。