麗には聞こえていないナイショの話
私と上幌さんはホテルに戻り、廊下を歩いていると、他の生徒たちが何か噂話をしている様子が見受けられた。
「ねっぷチ○コ丸出しで廊下に出たらそこに留寿都が居て、悲鳴上げてたぜ」
「はははっ! 男子フロアだからって油断したな! それとも故意か!?」
あぁ、パンツ一丁でマンションの廊下に出た神威くんならいかにもやりそうだなぁ。
留寿都さんって確か、上幌さんと同じバンドで隣のクラスのショートヘアの人だよね…。
「おーっす! 麗らかマッキー」
「ルッツーじゃん!」
「こんばんは」
神威くんアレを見てしまったという噂のルッツーさんこと留寿都さん登場。『マッキー』というのはたぶん上幌さんのあだ名。二人合わせて『麗らかマッキー』なんてコンビ名はいま初めて聞いた。
噂の留寿都さんに周囲の視線がさりげなく集まる。きっと留寿都さんが周囲を気にしたら『え? オレ別に見てないよ?』とか『私も見てないし』とか言わんばかりに目を逸らせるくらいさりげない。
神威くんのアレってどんな感じなんだろう。おっきいのかなぁ、ちっちゃいのかなぁ、ふつうかなぁ。
留寿都さんは上幌さんの肩に掛かってコソコソ話を始めた。
「マッキーの王子様はハダカの王子様ですなぁ。ムフフフフ…」
留寿都さんが何かを言い終えると、上幌さんは頬を少し赤らめた。
「な、何よそれ!? 別に王子様じゃないし…」
上幌さんが何かボソリと言い返した。
「そんな事言ってて良いのかなぁ~? マッキーの話を聞く限り、ねっぷ変態だけどイイヤツっぽいし、ちゃんと見てる女子は見てるだろうから素直にならないと他の人に取られちゃうゾ☆」
「まさか!? あんなバカ相手に出来るのなんか私しか居ないわよ!?」
なんなの!? 何の話をしているの!?
「確かにバカを通り越してる気はするけど、マッキーみたいにそれでも好きだっていう変態さんだって居ると思うよ」
「変態!? 私が!?」
「うん。それじゃ私は飲み物ぬるくならないうちに部屋戻るね。ばいばいき~ん」
留寿都さんは右手に持っているいちご牛乳の缶を振って部屋に戻った。
ご覧いただき本当にありがとうございます!
今回は予定しておりました万希葉の相談まで辿り着けませんでした。申し訳ございません。