第二十五話
【ルナリスオンライン公式】
イベント盛りだくさん!今後の予定まとめ
■9月 ユニオンイベント開催!
「ユニオン対抗!蒼天突破の塔攻略」
ユニオンの力を結集して、未踏の塔に挑み、
最速で最上階到達を目指せ!
■10月 NEW!謎の扉イベント
「シークレットフィールド乱立!」
期間中、全マップに謎のフィールドが出現――
中で待つのは一体……
君の運命はランダムに決まる!
■11月 復刻イベント!
「封鎖都市ネップシック」期間限定再登場
あのパラレル世界が帰ってくる!
すべてのNPCがあべこべに――正義と悪が反転した世界で混沌を楽しめ!
大人気イベントが新要素追加でさらに面白く!
見逃したプレイヤーも、参加したことのあるプレイヤーも今がチャンス!
■12月 メインイベント始動
【ルナリス大戦】
世界の行く末を決める、史上最大規模の戦争が幕を開ける。最強の国として世界を支配するアゲルテ帝国。
そんな大国にその他全ての国の思いを背負うファルンテ連合王国が戦争を仕掛ける!
君はどの陣営で戦う?
さらに!次回イベントから大きな変化
【??ボス】恒常出現決定!
毎回のイベントに2体の【??ボス】が登場!
未知なる強敵との戦いが、今後のイベントをさらに熱くする!
来年の1月には【??ボスイベント】も開催予定!
乞うご期待!
――
ウィンドウに映るこの画面をじっと見る。
これが育から送られてきたのはわずか数分前。
そして……
「ねー!!僕これは絶対出たいんだけど!!」
「そんなの俺だってそうだ!!!」
「まあ待て、落ち着け??話し合いだ!まず俺は――」
「俺これ俺これ!!」
ルナオンのプレイアブルボスともあろうものたちが、
わーわーぎゃーぎゃーとうるさくなってしまったのは
これもまたついさっきのことだ。
「うるさい男ども!!!席に座りなさい!!」
私は強めに言葉を放つ。
途端にがやがやとしていたやつらはしゅんと席についた。
今日は育がいないから歯止めが必要だった。
全く……こんな声出すのは久しぶりだ。私そういう柄じゃない……。
まあうるさくしたくなる気持ちは分かるけどね。
プレボスになって数ヶ月。この空気感にみなすっかり慣れてしまった。今ではこのボスたちは互いに対等な仲間のような存在になっていた。
そんな中なんと、我々プレボスはこれからルナオンで起こるイベントに出現することが決まった。
大切なのは己がどのイベントに出たいか。
イベントはさっきも言ったとおり、育に送られてきたのだが、あまりに……内容が神すぎた。
そうして誰がどのイベントに出るかを話し合うことになった。
これは顔を付き合わせて話をする必要がありそうだと、皆がそう直感的に感じたから。
「いったん整理しようか」
狼
「俺は10月のと12月のがやりてぇ!」
熊
「ユニオンのやつだけやらせてくれ」
サソリ
「ネップシックとユニオンイベントは絶対出たいな!」
フクロウ
「メインイベント待ってたんだよね!あれは全部参加しときたいなー」
ツル
「封鎖都市はうち気になっとったんや」
蛇
「私も封鎖都市だけはしっかり出たいね」
シャチ
「ユニオンイベントは絶対。個人的にはフィールドが出るイベントもしっかりやりたい」
「それで、蜘蛛は?」
皆の視線が一気に集まる。
私は……
「まあ、強いて言うのなら……
封鎖都市だろうか」
懐かしいな。まだリリースして1年ちょいぐらいに来たやつだっけ?めちゃくちゃ楽しかった記憶がある。
「はいはいそれだね?
えーと、ん?だとすると?」
皆の要望をメモしていたサソリが頭をかく。
その肩に蛇が手をおき、そのメモを指さしながら
「希望のイベントに出たいのならば、その時にプレボスは出来ない。それを考慮して決めよう」
そんなこんなでなんやかんや。意見を2転3転させながらも
「よし。これでいいだろう」
組み合わせが決まった。
9月 サソリ ツル
10月 蜘蛛 熊
11月 狼 フクロウ
12月 蛇 シャチ
あ、あれ?なぜまた熊と一緒になってんの?
どうしてこうなった?
結果は、私が不安に思うことがあるだけで、それ以外は綺麗にまとまった。
――
メンバーが決まり、それを確認した育は早速準備を開始。
運営がイベントを告知した時、日本中のユニオンユーザーがざわめいた。
ユニオンイベントに、新しいイベント。復刻のものに、メインストーリー。
そして、謎のボス集団の露出。
「すげー!最近の運営気合い入ってるわ!」
皆がそのイベントらに期待をふくらませた。
◇◇◇
窓から優しい朝日がそよ風と共に入り込む、穏やかな午前。教科書がペラペラとめくれる中、私は部屋の机からぼんやり外を眺めていた。
スマホにメッセージの通知が届く。
一応私は優等生で人気者の“凛”だから。
だが、この時間は何も触れないと決めている。
常に何かしら仮面を被っている私に、このぼんやりする時間が何より大切なんだ。
今回のイベント、明らかに力入ってたなぁ。
きっとプレボスの名を売るため、そしてプレイヤーのレベルをあげるためだ。
弱体化したが、それでも我々のもつ、強力なスキルと戦闘センスは簡単に破れない。
私たちのイベントの時になったら、私たちは最高のボスとして君臨できるだろうか。
◇◇◇
9月 ユニオンイベント
蒼天突破の塔
9月 ユニオンイベント
蒼天突破の塔
「右危ない!」
「走り抜けろ!」
暗い地下から空へ突き抜ける1本の塔。
ボスを倒し、階段を上る。ただそれだけ。
だが、その道中には大量のモンスターが待ち受けていた。
1位 ナンバーユニオン
2位 有道ユニオン
3位
……
この時出現したのは
幻翼のクロヅル
サンドスコーピオン
ユニオンに属さないソロプレイヤーの良い相手となった。
10月 謎の扉イベント
シークレットフィールド
「お、おい!見つけたぞ!」
普段のマップに現れるため遭遇率は低かったが、そこで手に入れられる旨みはでかかった。
気づいたらプレイヤーは普段のルーティンを忘れ、シークレットフィールドを探し回った。
そこに入ると行く世界は運営に準備され、誰にも見つからなかった隠し要素。
そのステージだけの特別感に、みなが夢中になった。
そして一定の確率で
ホワイトスパイダークイーンのダンジョンに繋がった。
フィールドを見つけられないものは足を
エンバーグリズリーの方へ向けた。
11月 封鎖都市ネップシック
世界の切れ目をくぐると、ルナオン世界の反転した姿が飛び込んでくる。
優しいあのNPCが、憎たらしかったあのモンスターが真逆の姿を見せる、そのギャップに皆酔いしれた。
また、その中身は前回とは比べものにならないほど、作り込まれていた。
「来てくれてありがとね!」
いわゆる好感度システムだ。約2年ぐらい前にNPC好感度システムが実装されたのだが、ネップシックはその前に行われていた。
今回は反転したNPCを好感度という形で攻略することができるようになっていた。
ただ探索できるだけだったイベントにNPCとの駆け引きがたのしめるようになった。
もちろん価値が反転した報酬もね。
そんなNPCなんかに興味ありませんよと、
そんな方には
ブラットウルフとナイト・ホクロウが相手になった。
12月 メインイベント 【ルナリス大戦】
ルナオン世界の歴史は常にプレイヤーが争い、決めてきた。今回は大きな分岐点となった。
アゲルテ帝国もファルンテ連合王国も双方のプレイヤーが大切に育てた国だ。そのどちらかが、このイベントで滅亡する。
そんな緊張感がプレイヤーを焚き付けた。
「ここを攻めるぞ」
戦争は様々な戦術が飛び交う。
参謀の役割を務めるものや、自ら戦場のコマとなり、戦いで活躍するものもいた。
狩ったモンスターの数も重要となり、
特に??ボスは皆が必死に倒そうとした。
広いフィールドを持つ
タイダル・オルカとミラージュヴァイパーでなければ捌けなかったかもしれない。
結果は、
ファルンテ連合王国。支配者は消え、ルナオン世界に新しい歴史の始まりを告げた。
◇◇◇
とまあこんな感じで時間は過ぎた。プレボスの評判ははっきりいって素晴らしい。
特にイベントに参加しないプレイヤーの相手になることができる点がかなり受けたっぽい?
そうして怒涛のイベントラッシュは
無事……
無事?
問題がなかったか?
うーん。
大きいって言えるものでは無いけど、強いていえば……
◇◇◇
沈糸の巣窟
「は?」
王座にゆったり座る私の顔の真横に、何かが飛んできた。
薄汚れ、年季だけが無駄に目立つ大剣。
乱暴に放られたその得物を、使うやつは一人しかいない。
私は首をぐぐぐと鳴らし、前を見る。
そこには剣を投げる動作で手を前にぶら下げた、1人の男。
私は帽子の鍔をつかみ、その隙間から瞳をきらりと覗かせた。
ちっ
本当に……イライラさせるやつだ。
「よう、蜘蛛。会いに来てやったぞ」
目を半分開き、気だるげにそう言い放つその顔に顔面パンチを食らわせたい
「なんでここにいるんだ――
エンバーグリズリー」
◇◇◇
そう、イベント中に熊が来たこと以外……ね!




