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第二十四話

前回のあらすじ

 謎のフード集団になぜか土下座されてるんだが……。


「ちょっっっ、まじでなんな訳?」

 私はおもわず腕振り上げる。できるだけこのわけのわからない存在に近づきたくない。


「はっ、僕としたことがてるてる様に、とんだ迷惑を……」

 このリーダーらしき男は今更ようやく気づいたようで皆に頭をあげるよう促した。


「なんも無いならもう行くけど??」

 焦りが止まらん。さっさと返してくれ。


「てるてる様」

 しかし帰ってきたのは、落ち着いた一人の声だった。


 なぜか荒波たつ心が静かになる。不思議な声だ。

「何よ」

 私は軽くそう返す。



「まず、いきなりわけのわからない事をお伝えし、てるてる様を混乱させてしまいましたことを謝罪させてください」

 こいつはそのまま淡々と言葉を繋いだ。

そして、言葉を聞いたその時には、私は冷静さを取り戻していた。


「まあ、話は聞いてあげる」

 戦闘態勢を緩め、腕を組んだ。

 それが私のできる精一杯だった。


「ありがとうございます」

 そう言うとこいつらはゆっくりと立ち上がり、皆でこちらを見やった。


「先程もお話した通り、我々はてるてる様のファンです。ここにいるもの皆理由はそれぞれとして、あなた様に心を奪われました」


「は……そう」

 私は静かに下を向いた。


「我々はてるてる様を影から力を貸す許可を頂きたいのです」

 

 彼?は静かにそう言った。

 その言葉に熱い感情はなかった。それは雫が水面に落ちてできる水の波紋の如く、静寂なものだった。


 ならば私はこう答えるしかない。

「私のファンというのならわかるだろう。答えはNo。ファンクラブなんて、ただの邪魔だ」

 悪いけど、私の何より大切なゲームの時間を台無しにするな。

 

その先は言わなかった。しかし、彼らにはその圧が届いたようで皆が体を震わせた。

 ただ一人を除いて。


「1つ断言します。絶対にてるてる様の邪魔にはなりません。この許可を頂きましたら、我々はてるてる様が望まぬ限り、あなた様に接触することは致しません」


「そんなん知らんよ。今そっちから接触したという事実しかないが」

 その態度は冷たい。私もわかっているが、ここで下がるのは私のためにならない。


 すると、こいつは静かに床に手を付き、優しく頭を下げた。

 落ち着いた所作。それを向ける相手を不安にさせない気遣いがあった。


「期待はいりません、承認もいりません。評価もいりません。」

 そして顔をあげる。

 フードが揺れ、隙間から目の光が輝く。鋭くも私を見つめ、ただ訴えていた。


「ただ、行動で示します。我々がてるてる様の邪魔にならないと、少しは使える存在だと、そう思って貰えるように」


「...ふーん」


私は腕を組んだまま、こいつを見下ろす。


期待も、承認も、評価もいらない……ねぇ。

ただ行動で示す。

 つまり私は何もしなくていいと。


「はぁ……」

 こいつはわかっていた。てるてるという存在のセーフゾーンを。

不覚にも――私はこいつを気に入ってしまった。


「まあ、いいよ。許可するだけなら」


こいつの目が、わずかに見開いた。


「でもその代わり」


私は一歩、足を下げ、再び壁に。


「私の進む道に、小石ひとつでも置いたのなら――

 その時は私自ら、引導渡してあげる」


鋭い言葉。しかしそこには暖かい温度がこもった。

悪党プレイヤーてるてるが、この存在らを認識したのだった。


「あぁ、ありがとうございます。

 我々はこのゲームにある各都市シリーズに必ず一人おります。何がございましたら、裏道で立ち止まってください」

 こいつは何とか伝えたいことを伝えようとバタバタと手を振り、急いで話した。

 

「そして、我々から必ず伝えなくてはいけないことがあれば、傍らに侍るまたは手紙を差し込むのでそれだけはどうかご確認ください以上でございます」


 おう……怒涛の説明か?

 私が壁に手をついたから、帰るのかと思ったのかな


 私は目を細め、その場にいる全員に指を指す。

「まあそんぐらいはいいよ。あんたらが私の邪魔しないってわかったなら私も頼りにするかもね」


「はい」

 

その返事を聞き、私はウィンドウのログアウトボタンを表示させる。


 彼らはその様子を静かに見守る。

「我々は“雨”。

 必ずやてるてる様の望む組織に成長致します。我らが敬愛するてるてる様。どうかこれからも素晴らしく楽しく、自由なゲームライフを……」

 

雨と名乗ったフード集団は片膝を付き私に向けて頭を下げた。


「まあ、せいぜい期待しないでおくよ」

 私は後ろを振り返り、手を上げピラピラと振った


「あ。そうだ、あんた」

 なにか思い出したように上半身だけまた振り返り、1番前のこいつを指さした。

「あんた、リーダーでしょ?プレイヤー名は?」


「え……!」

 すると、またあわあわしだし、ごほんと咳払い。

「ぼ、僕はtissueと言います」


「てぃっしゅ?

 ふーん。まあ雨ってのと、それだけ覚えとくわ。なんかあったらあんたの名前出すことにするから」


「は、はい……!」


 その返事を聞き、私はログアウトボタンを押した。


 ――

その場からてるてるというプレイヤーは消えた。

 ここからは“雨”の空間だ。


「さぁ諸君。我々はてるてる様に許可を頂いた。その記念に最初の仕事をしようじゃないか」

 

tissueは立ち上がり、メンバーを見渡す。


「てるてる様が困っている件、知っているな?」


「彼氏自称くそ野郎ですね」

 

笑顔で拳を握り、力を込める

「ああ。あれ、潰すよ」

  ◇◇◇


 ゲームのタイトル画面が映る。本来であれば、ここからプレボスの集まりに行くのだが……


 私はゲームのゴーグルを外した。


 どうして……なのだろうか?

 てるてるは私の自己満で、ただのストレス発散するための、私のための存在……なのに。


 フクロウも、育も、アイツらも……。

 なぜそんなに私を好きだという……?

本当に……本当に馬鹿な奴ら!

 

 私は枕に顔を埋めた。誰もいないのに誰にも見られたくない。

 こんなに顔を真っ赤にしてるのを、誰にも知られたくない。

 私はいつの間に、誰かに認められていたのだろうか。

 認められたかったのだろうか。


 ◇◇◇

 会議室


「あら、蜘蛛はん。今日は遅かったなぁ」

ツルがにこやかに声をかけてくる。


「んー……まあちょっと用事がな」


私は軽く手を振りながら、空いている席に座った。


会議室には他のボスたちが既に集まっている。

狼、熊、サソリ、フクロウ、ツル、蛇、シャチ。

そして、育。


「蜘蛛、用事って何?」

フクロウが興味津々といった様子で聞いてくる。


「別に。プレイヤーとしての用事」


「ふーん?こっちは待ってたんだけどなぁー怪しいなー」


「なんとでも言え」


そんなやり取りをしていると、育が咳払いをした。

「では、始めましょうか」

 そうして毎度お馴染みプロジェクター様のご登場


「えー今回は、ここから、皆様のイベントまでの予定をお話しようと思っております」


 確かイベントの度に2人ずつここのボスを出して、

 みんなで終わったら私たちのイベントをやるんだっけ


「ペアは皆様の予定をお聞きしまして、こちらで決めさせていただきました。できるだけ無しにして頂きたいですが、もし予定の変更があれば、告知前にお願いします」


 みな一斉に相槌を打つ。


「では順番とペアを」


 そうしてプロジェクターに名前が映し出された


 1回目 ブラッドウルフ、サンドスコーピオン

 2回目 ナイト・ホクロウ、タイダル・オルカ

 3回目 幻翼のクロヅル、ミラージュヴァイパー

 4回目 ホワイトスパイダークイーン、エンバーグリズリー


 

え?は、まじか熊と一緒?


私は思わず熊の方を見る。

熊は...いつも通り無表情で、プロジェクターを見ていた。


なんで、よりによって...


「何か問題ございますか?」


育が全体にそう聞いた。

 

 私は心の内を外に出さないよう、平然を装った。

「別に」


 みんなも同じように軽く返事を返した。


 でも、まあそうよね。同じタイミングでボスやるってだけだし。特に何かあるわけないっしょ!


「……」

 しかし、熊は静かだった。

 

 ただ異常に――

 

 

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― 新着の感想 ―
更新されてすぐ見れたことの喜びは素晴らしいですね!!嬉しいです! 良かったねtissueくん!推しに認知されて羨ましいぞ!! 深読みしすぎかもしれませんが、、、tissueの意味を調べたら『組織』と…
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