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第十八話

「だーるまさんがこーろんだー」


 ま、まずい

 俺は体勢を崩しながらも、何とかピタッと動きを止める


「あー運がいいやつだな。あと少し遅かったら攻撃に当たっていた」


 俺はプルプルしながら姿の見えない鬼に怒りをなんとか伝えようと、空中をひたすら睨みつける


「ほらほら。もっと僕を楽しませてほしいんだよね」


 どこからかくすくすと嘲笑う笑い声が聞こえる。


 なんでこんなことになるんだろうか

 


 ◇◇◇

 ――数十分前。

 サンドスコーピオン戦後


「ふう。なんとか倒すことが出来ましたね」

 のんが最初に口を開く


「私は特に何も出来なくて……」


「そんなことない。のんが回復してくれなかったら俺は多分途中で死んでたからな」


 

 一方あちらでは

 

「いやー、ナイスだラーナ!」


「それほどでも?今回は私がMVPね!」


 手を当て高笑いをするラーナに

 それを囃し立てるエド


 全く騒がしい奴らだ。


 ふっと鼻で笑い、その光景をゆっくり眺める。


 こっちまで気が抜けるじゃん


 するとのんが手をパンと鳴らす。

 

 「みんな注目!」のいつもの合図


「はいはい2人とも、喜ぶのは終わりにしなさい。今からのことを話すわよ」


 喜びの舞を踊っていたふたりは石化したように止まり、

 すすすと椅子にそれぞれ座った。


「はい、まずイベントボス8体のうち5体倒しました。よいしょ」


 のんが拍手をし、俺たちも真似る。

 

「残りはホワイトスパイダークイーンとナイト・ホクロウとエンバーグリズリーでしょ!」

 ラーナが手を挙げ、のんに答えるように言った。


 のんはそれに頷き、続ける。

 

「その通りです。ついにあと3体。次に倒すのは


 ナイト・ホクロウです」 

 のんはウィンドウを開き時間を確認する。


「このボスは夜にしかログインしませんからね。

 エンバーグリズリーは現在ログインしていませんし、今は午後6時なので、ナイト・ホクロウを倒しておくのがいいでしょう」


「ああ、そうだな。サンドスコーピオンを倒したとこだし、調子がいいからもういこう」

 

 俺は机を押して立ち上がり、

 少しせかせか動く

 

 あまり止まりたくない、動いていたい。

 じゃないとまた変なことを考えてしまいそうだから。

 

 みんなは少し戸惑っていたが何も言わないでくれた

 そうして俺たちはナイト・ホクロウのいるエリアに向かった。



 ◇◇◇


「これが、【薄闇の大書庫はくあんのだいしょこ】?」



 エドがぽつりとそう呟いた。



 その不思議な光景に皆目を見張る。


 現在午後6時ちょっと過ぎ。

 ルナオンの空は覆い尽くす淡い茜色に包まれ、そこに薄黄色の雲が悠々と空のあちこちに居座る。


 そして目の前にはその姿を見え隠れさせた

 あまりに陰鬱とした巨大な屋敷があった。


「なんだこれ、お化け屋敷か......?」

 しかし、全体が見えているわけではなかった。

 

 どうやら太陽の光に当たるとその部分は無くなって、影の部分では見える。

 

 影と陽の光が交互に絡み合う様子を形として認識できる不思議な建物だった。

 

 雲の影が自由に泳ぎまわるからその姿を完璧に捉えることが難しい。

  


 エリアの入口はそんな雲の様子を伺いながら、

 ドア全て影に覆われた瞬間を見計らって入り込んだ。

 

「なかなかおもしれー仕掛けだな!」

 

「あ、ああ。そうだな」 


 エドのノー天気な声を聞きながら空いたドアの向こうを見つめる。


 1面黒一色に塗りつぶされ、先が見えない。



 思わずごくんと唾を飲み込む。


「い、行くか」


 べっ、別に怖くなんてないが。

 なぜか足が震えるな。なんでだろうか


「何してるんですか、ろく。早く行きますよ」


 そういうのんに背中を押され、俺たちは暗闇の中に吸い込まれていった。


 


◇◇◇



 【薄闇の大書庫】


「ぐぐ……」

 中に入ったはいいが、周囲はやはり薄暗い。

 明かりは廊下に散らばる小さなロウソクの光のみ


 たまに聞こえる変な声はなんだ?プレイヤーのものであることを祈るしかない。


 俺はエドの体をがっちりつかみゆっくり歩みを進めている


「おい…怖いのはわかるが少し歩きずらいぞ」


「ろく昔からこういうの苦手だったよねー」


「全く。こういうことになるのはわかっていたのだけど……」

  

 正直に言おう。俺は怖いのは嫌いだ。


 何が無理なのか具体的には言えないのに、体が大袈裟に反応する


 こんなところでカッコつけても意味は無いから

 みんなに何言われても

 

 俺は堂々と怖がるぞ。


 そうして歩いていると突然

 カタン……と音がする。


 俺は足を止める


 まさか、まさかだよな。

 はあはあと息が荒くなる。


 エドに抱きつく力が強くなる。


「ちょっ、ろくもう少し…」


 その時だった



「ぎゃああああ」

 

 突然目の前に大きな化け物のシルエットがゆらりと現れる。

 全身黒でとにかくでかい。何より目の影が......

 

 それが何かと認識できていない。目に入ったものがとても恐ろしいものだとしかわかっていない


 が、つい声が出てしまった。


「あれはなんでしょうか?光?本当のモンスターかしら?」


「攻撃してくるかもよ!」


「ほらろく!俺に捕まってないで、しゃんとしろ!」


 なんでうちの仲間はこう、色々と強いの?

 すると今度は顔に何か冷たいものが当たる。


「うわああ」


 思わず体が飛び上がる。

 なんだよこれ!


「ろ、ろく落ち着いて!!」


 部屋の中で俺が弾け回るのを3人はなんとか抑えようとする。


 

くすくす


 ハッとする。どこかから声がする。

 少し幼さを帯びた男の子の笑い声。


 途端その声は大きくなり

 腹を抱えて笑う声になった。


 俺はピタッと止まり佇まいをなおす。

 蜘蛛の印が反応していた。


 この笑い声の主がボスか。



「おにーさん、すっごく面白いねぇ。本当はお化け屋敷じゃないんだけどちょっとサービスしちゃった」


 どこかから声がするが、姿は見えない。

 攻略情報にもあったように、姿は見せないスタイルであっているな。


 うん、

 え?わざと怖がらせたのか?


「おにーさんたち、僕知ってるよー。僕らを倒し回ってる奴らでしょ?」


 四方八方あらゆる方向から声が聞こえる。

 俺は剣を取り出し、 怖さも込めてぎゅっと握る。


「あー剣構えちゃった。すぐにでも倒したいだろうけど、

 でもそんなのより、僕の遊びに付き合ってほしいなあ」


 パンと手が鳴らされ

 真っ暗だった空間に明かりがともされる。


 初めてこのエリアの雰囲気を知ることが出来た。


 最近の漫画で見るようなエントランスホール。

  まず中央に大きな階段。広いこのホールにはあちらこちらに高そうなものが鎮座している。絵画に、壺に、ソファに、装飾。

 天井にはかつては豪華に輝いていたであろう、あまりに大きなシャンデリア。

 しかしその全てがボロボロになっていた。

 


 噂だと、エリア名に入ってる大書庫を中心にこのタイプのフィールドがランダムで現れるらしい。


 いたずらっ子のような声のボス。彼の本の物語の世界に入り込んだような世界だ。

 

 俺たちは、没落した貴族の時間のたったお屋敷みたいな感じ?

 

 しかしここまでで肝心のボスの姿が見えない。


 蜘蛛の印からここにいるとわかっているが、方向までは分からない。

 なんとか姿を現してもらわなければ


「うーん。よし決めた!おにーさんさっき見たら落ち着きがないようだしー、だるまさんがころんだしよー!」


「は?」

 

「ルールは簡単。僕がだるまさんがころんだの『だ』を言った時に動かなければいいよ!動ける間に僕を探すんだぞ!」


 すると突然地面が揺れ始める。

 部屋の壁が割れ始め、きらりと何かが覗き出てくる。


 あれは、銃口?

 動いたら撃つぞってことか。


 てか落ち着きがないってなんだよお前のせいだ!


「見て分かると思うけど、僕が『だ』って言って動いたらこれに撃たれるよ!まあ気合いで避けられるからまあ大丈夫っしょ!」


 俺は銃口を確認する。

 時代があってない異物がそこにあり、とても気味が悪い。

 

 まあ、タイミングをみて止まるぐらいできるだろう。



 そう思った俺が馬鹿だった。

 また地面が揺れ始める。今度は床が裂け始めた。


 奈落に続く穴がぼこぼことでき、足場はどんどん減ってバランス感覚が必要になってきた。


 鬼畜仕様かよ


 俺は大丈夫。問題は

「皆さん。恐らく私はすぐ……」

 のんは後方支援型だ。本当は守ってやるべきなんだが……


「じゃあ行くよ?

 だーるまさんが」


 急いで探す。なんとか足場を飛び渡り、広いホールを駆け回る。


 のだが。


「危な…!?」


 顔の前をヒュンと何かが通る。

 銃弾だ。


「妨害もあるのかよ」


 しっかり見れば銃口はランダムに動いている。

 これが動いてしまったら一直線にこちらに向くってわけか。

 

 どこから来るか全く分からない。

 これじゃあのんを守れない!

 

「の!……」

 そう言いかけたが、俺はその場にピタリと止まり、上半身を逸らした。

 途端その上に銃弾が通り抜けた。

  完全に死角からの攻撃だった。

 

 何が起こった。なぜ今のが反応できた? 

 もしかしてこれが今回の蜘蛛の印の効果か。

 いつもなら避けられない、そんな攻撃だったのに。

 反射神経の向上?そこら辺か

 

 おかげでエドもラーナもなんとか避けることは出来ている。


 しかしのんは


「きゃああああ」


 まずい、足を撃たれている。


「のん!」


 助けにいこうとするが、

 それを阻む銃と奈落の入口。

 

「おにーさんたちよゆーじゃん。

 こーろん『だ』」


 はっ止まらなきゃ。


  床に亀裂が走る。それはのんと俺たちの間に溝を作った。

 でも!今止まったらのんが……!

 

「ろくいいの。私は邪魔になるだけ!」 

 のんは顔を強ばらせていた。不安定な足場に何とかしがみついている。

しかしその足場がバキンと音を立てた


「あとはお願い!!」

 のんはそう叫び、奈落へ落ちていった。

 

「のん!!!」

 

「あーあ、1人落ちちゃったね。残念残念」


 本当にクソガキだな、許せない。



 


 そうしてこのゲームは数十回繰り返された。


 地面の構造は常に変わり続け、ボスがセリフを

 いい終える前に絶対安全地帯を見つけなければならない。そしてそのボス自体を探す余裕が無い。


 何気に今まで戦った中で1番面倒だ。



「ちょっとやる気あんのー?おにーさんたちちょっとダメダメ過ぎない?期待はずれー」


 こいつの一言一言頭にくる。

 だがそれを口に出してはいけない。

 何度も同じ失敗を繰り返すうちに、ようやく気づいた。

 

 こいつは調子に乗るタイプのやつだ。

 

 俺たちが慌てふためけばケラケラ笑い、上手くかわすと少しテンションが下がる。

 そういう奴は大体おだてたらいい。

 

 褒めて褒めて褒めまくればいいだろう。


「くそっ、なんて強いボスだ?今まで戦った中で一番だ」


 少し怪しいか?


 だが

「えーそう?まあ僕が1番に決まってんじゃん~」


 お!声のトーンが上がったぞ。

 俺は2人に目配せする。


「ほんとね!ここまで厄介だとみんな恐慄いちゃうなぁ。ボスの中で1番凄いわぁ」


「くそぅっ。強すぎてこのままじゃやられちまうぞ。こんな強いボスならせめて顔ぐらい見たかった」 

 


 俺の意図を察してくれた2人がナイスパスしてくれた



「まあ?僕ほどのボスならそう思うのも無理ないよねー」


 あと一歩か


「頼む!せめてその顔だけでも見せてくれ!」



 どうだ?



「くくくく」


 こらえるような口を抑えた笑い声


 飛び回っているようで声がホール内をぐるぐるしている。



「まあいいけど!特別に強ぉい僕の顔を見せてあげるよ」


 そうして中央の階段のその上。


 全ての真ん中にある台の上に1人の少年が現れた。


 少し明るい藍色の髪の毛。前髪は目を覆い隠されているがその口が、ニヤリと笑っているということを隠せていない。


 服はフードの着いたマントで体をすっぽり隠しており体型がいまいちつかみにくい。


 他のボスと比べて露出が少なく、隠すことに力が入っているようだ。

 

 体を宙に浮かせふよふよ漂っている。

 姿を見せたな。


「だるまさんがころんだはもう終わりだ」



 俺は剣をたずさえボスに飛び掛る。


「うお危ないなあ。少し残念だけど、まあそれでもいいよ!」


 ボスはマントの隙間から手を出し、本を掲げる。

 その本からどこかファンシーな魔法が繰り出され、俺は回避を余儀なくされた。


「ほらほらぁ」



 気分の良いボスは上機嫌に魔法をばらまく。

 その魔法と銃と奈落のコンボでさらにきつくなる。


 蜘蛛の印でなんとか生きている。


 しかし、


「きゃああ……!」


 ラーナ?


 まさか……!

 俺はすぐさま後ろを振り返る。

 まずい、魔法にモロで当たってしまっている。


 ラーナは腹に攻撃が当たったのかホールのど真ん中でうずくまる。

 

「うーん…あはは。ごめん2人とも、あとは……」


 ラーナは静かに微笑む。

 そして魔法がそこに落ちる。


 ドカンと1発。

 煙が消えると、そこにラーナの姿はなかった。


「あと2人」


 ボスの口角がさらに上がる。

 なんて嫌な言い方だろうか。


 目が見えないことで逆にその想像が広がる。


 今、あいつが一体どんな顔をしているか


 そろそろ決めたい。

 見たかったボスの顔だが、もうお腹いっぱいだ。


 俺はエドに近づき、作戦を伝える。


「わかったか?あいつにバレないように鎖を切って、タイミングを見て誘導するんだ」


「おっけ任せとけ」


 この間およそ15秒。ボスに怪しまれないといいが、


 ちらりと様子を確認する。

 ボスはこちらを見ているが、自信たっぷりに佇んでいる。


 バレてない?そう思っておこう。


「いくぞエド」


「おう」


 今回のイベントボスと戦って、わかったのは俺たちの火力とスピード不足。


 火力は分散させると倒しきれない。だからこそ1点集中を狙う必要があるが、そうすると避けられてしまう。


 今回のボスもそうだった。俺の攻撃であのボスの魔法に打ち勝つことは出来ない。


 毎度同じで申し訳ないが、油断を狙わせてもらおう。


 エドは先ほど以上にエリア内を駆け回り、そして気配を消す。

 

 短剣をくるくる回し狙いを定め、 

 空中に短剣を大量に出現させる。


 腕をバッとボスの方へ向けると 

 その大量に現れた短剣はボスを襲う。

 

 しかしそのいくつかの数本は……

 

 がしゃん


 何かが切れる音がした。

 きっとあいつは気にも止めない、そんな音


 俺は気づかれぬようボスの目を引きつけるように立ち回る。

 

 がしゃん

 がしゃん


 あと5本、あと4本

 横目でちらりと確認する

 

 あとちょっとだ。

 

「ん?ちょっと、なんか集中してないじゃん」


 ギクッ


「当たり前だろ?お前を倒すために力を溜めてんだから」



 ボスはさらに、にたーと笑う。

 体を浮かせ、口を服の袖で覆ってまたクスクスし始めた。


 

「そっかぁ。倒せるといいね」


 だが1つ言えるのは


 がしゃん

 がしゃん


 お前が想像している攻撃ではないということだ。


 がしゃん


 あと1本


「ろくできたぞ」


 隣にスタッとエドが着地。

 仕事が出来るやつは、終わりもかっこいいな。

 

「ああ、ありがとう」


 不安定なそれがゆらゆらと揺れる。


 最後の1本がとても辛そうだ。

 あんな大きいものを一人で繋げているのだから。


「そろそろ終わりにしよう」


「お?ため終わったの?」


 待ってくれたのか。お優しいやつだな。

 ボスは中央の1番目立つところに降り、仁王立ち。

 お前の攻撃を受けた上で潰してやるよ

 そう言うようだった。


 だがそこにいてくれて良かった。



 俺は剣を下げ、両手で強く握るように持つ。

 上半身を下げ、頭を低くする。


「さあこい!」


 ……ああ。

「いくぞ」


 俺は剣を上に向かって大きく振りあげる。


 光る斬撃がものすごいスピードで進んでいく。


「は?」


 気になる点といえばボスとは全然違う方向にいったことか?


「ちょ、どこ狙って……」


 がしゃん


 その音は今までのものと変わらない。

 しかし、今回はそれだけではない


 俺が狙ったのはお前じゃない


 支えを失った

 シャンデリアは


「うわああ」


 

 ボスに直撃した



「うぐぐ……これ狙ってたの?でもこんなんで死には……」 


 死にはしないけど、俺は準備できてるんだ。


 ボスは光の粒子に包まれて見えないが、HPは残っている。


 体の一部がどんどん虚空に消えていく中それでもボスは足掻こうとしている。


 見えない目が必死になっているのを感じる



 俺は剣に1点集中の力を込め、


 シャンデリアごとボスをたたき切った。


  

◇◇◇



 うおっ

 お?ここどこだ?



 少し周囲をキョロキョロ。そしてそれは見た事ある場所だと気づく


「ああ、ロード中か」


 ランキング1位ロックろっくにやられた。

 許せねー!なんだよあいつ。


 僕はあの人に倒してもらうって決めてたのに


 しかし調子に乗って取り付けたシャンデリアにやられるとはね。


「今度は瞬殺してやる」

 手をぐぐぐと握り締め、心に決める。


 するとロードが終わったようで画面が開き始める。


「おっ、フクロウじゃん」


 そうして現れたのはテーブルに肘を置き、頬杖をする胡散臭い笑顔のサソリだった。


「よかった~誰か来てくれて。俺すっごい暇だったんだよね」


 圧倒的陽キャの風格。

 僕こんなやつの相手する気分じゃないんだけど


 僕がそうムスッとしていると


「機嫌悪い?やっぱてるてるに倒して貰えなかったから?」


 頭を机にゴンと打つ。

 ななななな


「は?別に違うし!そんなんじゃないし!」 


「またまた~てるてる好きなんでしょ?」


「まあ、そうだけど……」


「えーなんでなんで?どうして彼女が好きなんだ?」


 

 顔を煌めかせて近づいてくる。


 まさか、これこいつが復活するまで続くのか?


「絶対話さないから!!」


 その後長い間、質問攻めにされることになってしまった。


 ◇◇◇

翌日

 イベント最終日

 

【燃灰の聖域ねんかいのせいいき】 


 一人の男がただただ静かにそこに立つ。

 

 積み上がったプレイヤーの屍の山が、そこにはあった。

 光の粒子がまるで焚き火の煙のように打ち上がる。

 朝日が輝くこの時間にもその光は眩しいほど。 


 

「次は誰だ」


 赤黒い火山のお膝元で

 

 体より大きい剣を地面に突き刺し、

 挑戦者を迎え撃つように。


――

 【ログイン中】

 ブラッドウルフ

 エンバーグリズリー

 ナイト・ホクロウ[リスポーン待機]

 幻翼のクロヅル

 ――

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