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目覚め1



淡黒色の空に星々が妖しく光っている。

このような夜には何か大きなことが起こるのが昔からの習わしというものだろう。


ウィーン、バタバタバタバタバタ

夜に鉄の塊が実によく馴染んでいる。その妖しい星々と共に鉄の塊が微光を反射する。


「こちらストロング、もう少しで目標に到着する。おそらく電波妨害がかかっている。通信もここまでになるだろう。」


「了解です。隊長。今回の作戦は本部でも敵の強さに予測がついておりません。ただ一つ言えるのは敵が強いであろうということ。あなた方の任務が無事に終わるよう祈っています。どうかお気をつけて。ご武運を。」


ザー、ザー、とノイズが入り始めていた。

最後の言葉をかろうじて聞くことができたストロングは無線を置いた。

「相手のテリトリーに入ったようだ。そろそろ目標が見えてくるだろう。みんな、覚悟はできてるな。最悪を想定しておけ。」


この部隊は4人部隊+新人1人の計5名で構成されている。新人は邪魔が入らないための見張り役として借り出されており、危機が迫ったらすぐ逃げて良いことになっている。


まだ接敵していないが敵は強大と思われ、こちらは十分な戦力を纏めてぶつけるための時間稼ぎをする必要があるということだ。


相手が日時と場所を突然指定してきたため、こちらは後手に回るしかなく、他部隊が集結するにはどうしても時間稼ぎが必要になるのだ。

そしてその時間稼ぎ役となったのがハンターオブヘレティック協会NO.1部隊、δ部隊だ。

そう。NO.1部隊なのだ。上層部はこれでも不足しているとの判断というわけだ。


これから接敵することになるわけだが、その前に少し必要なことを話しておこう。


この世界には仁(ジン、なおまだ仮名で後々変更可能性あり)というドラゴン○ールでいうところの気、ハ○ターハ○ターでいうところの念に該当する力がある。


仁にはまず基礎的な技が存在する。代表的なものは芯があげられるだろう。芯は仁を球形に広めて、その範囲内にあるものが分かるようになるという技術。

唐突な遠距離からのライフル射撃などに対応するため、一人前となり、外に出るためには少なくとも半径5mは広げられるようになる必要がある。

もちろん必須ではないが。

なお仁はいくつかの系統に分類されている。


またこの世界にはキリスト教やユダヤ教、イスラム教、はたまた未開の宗教なども存在し、それに由来する力、(キン)や、復讐や恨みに取り憑かれた恨

(ハン)の力(に目覚めた者はごくごく稀な特殊な事情を除いて例外なく仁を使えなくなる)や死後の世界の力、(ミン)、や自然界に存在する力、(ゼン)

、などなどまだまだ沢山の力が存在する。



そして特段この仁の力は世の中にもいくぶん浸透してきており、認知をしている人間もだいぶ増えてきた。


しかし、仁を高レベルで使いこなす者の犯罪などには目を瞑ることしかできない、または個人での実力行使でしか制裁を加えられないのが常だった。

そんな状態に一石を投じよう、というのが今回のδ部隊が所属するハンターオブヘレティック協会の設立のきっかけだ。

ただこの組織はまだできて1年も経っていない。当然この組織を疎む人間もいる。今回はその疎む側の人間と相対しているということだ。


「あれか…想像以上だな…単純なオーラの総量でもザッと見たところで4倍以上?5倍以下?ってところだな」

それは他の皆も感じていることだった。

やはり上層部の見立ては正しかったのだ。


「あーあそこに今から行くのか…ふーん…」

ライはボッーとしながらふと思った。

「隊長、これはかなりキツい任務になりそうですね……全員生きて帰れるかどうか…」

「覚悟はしていたが、これほどとは…」

「15分か…長すぎるな…」


ヘリが地面に近づく。

そこには工場の跡地だろうか…寂れた色をした建物があった。煙突は右奥の方についており、かつての黎明を思わせる。

この建物いっぱいに芯が張られている。入れば相手とご対面というわけだ。

「準備はできてるな…今回は打ち合わせ通り防御に徹する。とにかく時間を稼ぐんだ。行くぞ。」

ガラガラガラガラっと重い扉を開ける。


「おおっ、まちくたびれたぜ…、ヘレティックの皆さん。俺はズライクってんだ」。

身長は190cmはあるだろう大男だ、相当な鍛錬を積んでいるのが、その引き締まった肉体から見て取れる。タンクトップ1枚の質素な格好だが、逆にそれが強さを象徴している。髪は黒色だ。


扉を開けると同時に芯は解いたようだ。

「早速で悪いが、そちらは我々に何か要求があるみたいだが、なんだ?」

「あぁ、大したことはないさ、ヘレティックには俺たちに目を瞑ってもらいたいんだ。ただそれだけなんだが…」

……………

「まぁかといって、素直に、はい。分かりました。とはならねーよなぁ、やっぱり。まぁだから俺がここにいるってことだぁ、分かるよな?一応聞いておくが目を瞑るという選択肢はあるか?」

「……ない。」

「そうか。残念だ。じゃあ悪いが犠牲になってもらうぜ、お前らにはな」


世界は広い。我々は自分達の強さに誇りを持っていたし、実際個々の強さは上位(最上位ではない)に入るだろう。だが目の前の男は悠々と我々の限界を超えている。それほどに仁は世に広まりすぎた…

才能が網からこぼれ落ちることは無くなってきたのだ。

「フォーメーションδ!」

「ラジャー!」

ズライクを凧型に囲む。δ部隊が最も使い慣れた陣形だ。

「おいおい!1人を囲んで集団でやろうなんざ、男の風上にもおけねぇ奴らだなぁ。まぁ、良いか、お手並み拝見だ。かかってこいよ。」

「うん?かかってこねーのか?なら、こちらから行くぜ。」


このレベルになると戦闘経験の蓄積が如実に出る。すでに4人はズライクが本気で来ることはないと確信を持って見抜いているし、これから起こるであろう戦いの未来図を10は描いている。

確信を持つ、というのは生半可なことではない。

予想と確信は全く違う。


「行くぜっ」

「来る!!」

カランカラン

「閃光弾か、しゃらくせー、芯!!、、、うん?なんだ?次は手榴弾か…?右端?……膜!!」


ズライクの芯が一瞬、ライまで届いた。

ライは無言のままであったが、その手には思考とは関係なくじわりと手汗が浮かんだ。


ドンっっと凄まじい衝撃が走る。目前に投げた手榴弾が爆発したのだ。それと同時にシュー、と右端からガスが出る、細菌兵器だ。

だが、ズライクはものともせず、次の瞬間、床を蹴飛ばした!!

「来るぞ!、速い!!!」

距離を取ろうとするが時間が足りない!!

もう攻撃がくる!!!

大振りな攻撃…当たったら致命傷は避けられない…

が…、

左上から降り下ろし、回転左下からの蹴り、右上からの降り下ろし、左下からの蹴り上げ、右からの蹴り

どれも尋常じゃない速さ、だがなんとか躱しきっている。

防御に徹しては意味がない。避けることに徹しないと意味がない。


三連眠弾!、毒爻牙!(そこうが)、振剣!

3人の攻撃がズライクを後方から襲う、が、マトモに通らない。攻撃が止まない。

まずい!!壁が……、このままだと攻撃をまともに喰らう!

天嶺の盾!!

「ほぅ、盾なんか作れるのか、面白いねえ」


と同時に後ろから3人の見事な連携技が炸裂する。

溜弾!、甲突爪!、激震剣!

一点に集中して攻撃したが

正拳三段突き!!

「ぐっはっ」

奴の拳は容易に2発目で盾を貫く、と同時に

「グラスシールド」

粉々に砕かれた盾の破片がやつを攻撃する、が…

「盾のお陰で命拾いしたな。が、致命傷だろ。お前。あとさっきからなんかお前ら違和感感じるんだよなぁ〜。嫌な予感するし、面倒くさいからさっさと片付けるか。次はお前だ。」

ものともしない


「麻痺弾」

「瞬転動」

「速い!!」

予想はしていたがこれほどの拳法も使えるのか…スピードも乗った蹴り…避けきれない…!!

「厚!!」(アツ)

バキッバキッ、凄まじい衝撃が走り、吹き飛ばされる。

「ぐっ……、意識が…曲射」

天井が崩れる。が悠々と躱される。


これでは時間稼ぎは到底できそうもない…

敵はこちらにどうにかできるレベルの範囲ではないのは明らか。

ならば…いったん逃げて、追わせるぞ!


「おっ?逃げちまうってのか?連れないねぇ。けど逃がす気はないんだよなぁ。」

少し、本気出すか…

「瞬天動(本気)」

関係のない第3者から見れば、低い姿勢からの滑らかな美しい動きだ。もちろん目で追えればの話だが。

なっ…一瞬でこれだけの距離を移動したというのか…

「あばよ…」

「直衝激」

「厚!!」

「攻撃は防いだ、はずだった…が、その防いだ所から全身に凄まじい衝撃が走る。ウッ…グハッ」


「瞬転動(本気)」

「直流蹴」

「厚!!」

「くそっ、速い…が、動きはなんとかついていけそうなのに…、避け切れるほどの余裕はない。防がざるを得ない…だが防いでも…どうにもならない…」

凄まじい威力の蹴りが炸裂する

「グハッ、ぐっ…、意識が…」

当然まだ時間稼ぎは足りていない。まだ3分すら経っていない…

「まだだ…まだ時間稼ぎをしなければ…ハァ、ハァ、ハァ、少しでも…」


「はぁ、まだ、立ち上がるのかお前ら…面倒くせーな〜悪いがこれでしまいだよ。お前らにもう興味ないわ。すまんな。」

演練四流撃!!

高スピードの連撃、目では追うことができるがやはり避けるほどの余裕はない。

4人に一発ずつ流れるような動きで打撃が入る。

「全くこの程度の強さなら別にこいつらにわざわざお伺い立てなくて良かったんじゃねーか??ま、いっか」


「ここまでか…僕は引きあげ…」


邪魔が入らないように見張る役目だったライはまるで他人事のように呟きその場から去ろうとする。


目の前にいつのまにか奴がいた。

が、感情に乏しい彼は即座に反応を示さない。

「なんだこいつは?お前、明らかに弱いな、うん?よく見りゃ、まだガキじゃねーか…じゃあお前、お前らのボスに伝言頼んだぞ。俺らに手出すなってな。ガハハハ」


そう。最初から別に殺す気などなかったのである。向こうの目的は圧倒的な実力差を見せつけヘレティックを縛ること。

目的を達するためにはむしろ生かしておいた方が良いということだ。

δ部隊で意識を保っている人間は既にいなかった。

そう。δ部隊は壊滅したのだ。

こうしてライのヘレティックでの初任務は終わりを迎えた。


彼らの名誉のために言っておくが、ズライクの攻撃を目で追い、防ぐという行為をする余裕がある仁使いはそうそうはいない。彼らは十分強者なのだ。


え?援軍の全部隊がちゃんと15分以内に間に合ってたらどうなってたかって?

それは……どうだったと思う?

予想してみよう!!













結論から言うとヘレティック側が勝っていただろう。

δ部隊はヘレティックNO.1部隊だが、あくまで相手に勝つという武闘派、肉弾戦に関して、NO.1であり、時間稼ぎやバフ、デバフなどに特化した部隊ではない。時間稼ぎで他部隊が到着すれば、数の力と各部隊の特技を持ってしてズライクは倒されていた、というのが実際のところだ。逆に言えばやはりそれほどに数の力は凄まじいのだ。




え?どんな闘いになるか知りたいって?


うーん、仕方ないなぁ。今回だけ教えてあげよう。

間に合ったということで、δ部隊はズライクをどうにか引き止めることに成功し、瀕死だが、まだかろうじて闘える力が残っているという状態とする。

ただ、ズライク側の仲間も周辺にいるから、現実にこの状況は起き得ないんだけどね。そして、仮に全部隊が揃うとしても1時間後。このことからも今回は敗北以外の道はなかったというのは分かっておいてほしい。


ーーーでは診てみようかーーー


4部隊が示し合わせ、(ショウ)を使い気配を消して同時に侵入してきた。ズライクに的を絞らせないためだ。

「おいおい、こんなに沢山の奴らに囲んでもらえるなんざ、俺の評価はこんなにも高いんだな。嬉しいぜ。だがちとやりすぎじゃねーか」

δ部隊4人の後ろにはそれぞれ3隊が待機する形で敵を取り囲むことになる。

もちろん、この闘いを想定して呼ばれた猛者たちだ。入ってきた瞬間に攻撃が始まった。

行くぞ、誰とも知らぬ掛け声が流れると共に、

「精神念波!!脳震波!!朧脳頭!!心琳暗歌!!」

「仁退化!!仁力吸収!!仁消失!!老仁!!」

「ウグッ……」

「粘糸!!」「重力場!!」「布繊締め!!」「箱の檻!!」

「肉体強化!!超玲の光!!天啓力仁!!力こぶ!!」

「ヒールライト!!肉体回復!!」


本来は一つの部隊に1人いるかいないかの精神攻撃に特化した使い手達やバフ、デバフに特化した使い手の攻撃、それに加えて敵の動きを阻害する能力による攻撃。


δ部隊は約30%の能力upにダメージの回復、ズライクは精神系攻撃を4重に受け流石に無視できないレベルの影響が出てる上に4重のデバフで約30%力ダウン

そこへ4部隊から一斉射撃、ダメージは免れない。仁消失弾も含まれているため、当然削られる。

「チッ…」

そこへδ部隊が再び立ち塞がる。


ここからズライクにできることは諦めるか、逃げるかしかないだろう。


これこそが数の力だ。もちろん無能が多く集まっても瞬殺されて無意味だが、有効打を繰り出せるものが数多く集まれば強大な敵も倒すことができるというわけだ。

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