第9話 『姫、コメント欄で炎上。数字にならない愛は、この世界では「バグ」なんや』
配信は続いていた。
《姫って何もできなくね?》
《空気読めよw》
《白百合ちゃんの方が相応しい》
「……っ!」
アイリスの顔色が一気に白くなる。
「アイリスちゃん、大丈夫?♡」
リュミエールは背中を撫でる。
その手はやけに冷たい。
(お前が煽っとるんやろがぁ……!)
黒猫は爪を食いしばる。
「マサト様は優しい方ですから、
誰にでも平等に接してしまうのですね……」
「それ……どういう意味や……?」
マサトは全然理解していない。
「姫、王都へ戻ってください」
クレイが宣告する。
「この俗物配信者と居続ければ……
あなたの価値が下がる」
「……マサト様と一緒にいたいんです」
「見苦しい」
クレイは彼女の腕を掴む。
「やめぇや」
マサトの声が低くなる。
「離さない。姫を守るのが俺の使命だ」
「守ってるんやない。
奪ってるんや」
コメント欄、再炎上。
《ごもっとも!》
《正義マン消えろ!》
《姫泣かすやつは敵》
アイリスの目に涙がたまる。
「マサト様……わたし……」
「泣くなや」
その瞬間、リュミエールがわざとバランスを崩し、
マサトの胸へと倒れ込む。
「きゃっ……! マサト様……こわい……!」
アイリスの涙が落ちた。
「マサト様……わたし、じゃ……だめ……?」
《姫、重いww》
《引き下がれよ》
《白百合ちゃんの方がいい!》
視界が揺れる。
「……わたし……邪魔……なんですね……」
黒猫が叫んだ。
「言うなアイリス!!」
だが、その言葉は届かず。
アイリスは……
配信の前で、心を折られた。
次回:「アイリス、戦力外通告」




