第8話 『「平民は不要」と吠える正義マン。ワイの社会保険料より安いプライドやな』
翌日。魔王城の広間。
「ここがマサト様の指令室です♡」
リュミエールが慣れた動きで案内。
黒猫はついていくフリして、ガン見。
「アイリスちゃんは……そうね。
あっちで雑用でも頼めばいいんじゃない?
適材適所って言うし♡」
「っ……」
アイリスの肩が沈む。
黒猫が牙むき出し。
(白百合の花びらの裏、真っ黒にゃ……)
「ワシの姫を雑に扱うな」
「姫? ふふ……
王家から追放された元姫に、そんな価値は?」
「……ッ!」
アイリスの瞳が揺れた瞬間、
「待て!!」
正義マン。
クレイがズカズカ乱入。
「平民! アイリス様に近づくなと言ったはずだ!」
「近づいたのは向こうやで……」
「言い訳するな、下賤が!」
コメント欄激震。
《下賤ww 正義マン差別ww》
《草》
《こいつ嫌われるために存在してんの?》
クレイは剣の柄に手をかけてアイリスを背に庇う。
「姫は俺が守る。
お前など不要だ」
「誰が不要なんや?」
マサトはようやく口を開く。
札束1枚、指で弾く。
──パァンッ!
クレイのマントが爆ぜ、壁に激突。
「なっ……貴様!!
平民の分際で武力行使とは──」
「武力やない。スパチャや」
《名言きたwww》
《金で全部解決してて草》
《理想の異世界ここにあり》
リュミエールは、
優しい声のまま、毒を滴らせる。
「マサト様。
大事なのは数字の安定です。
彼女のような感情的な子より……
もっと戦略的な方と組むべきです♡」
アイリスは唇を噛む。
「わ、わたし……マサト様を信じて……!」
クレイは吠える。
「姫を利用しているのはこいつだ!
この俗物が!」
「俗物で悪かったな。
ワイは金で世界を回すんや」
黒猫は低く唸った。
(溜まっとる溜まっとる……
ざまぁの火山、今にも噴くぞ……)
誰も知らん。
地下の監視網が、すでに二人の策略を記録し始めてることなど。
──地獄の準備は着々に整っていた。
次回:「姫、視聴者に切り捨てられる夜」




