第6話 『白百合の聖女、猫にだけ牙を見せる。「有能以外は不要」とか、ブラック企業か?』
魔王城の応接室。
リュミエールは白百合みたいに微笑んで、祈るみたいに手を組んでいた。
「マサト様が、こんな素敵な場所に住まわれるなんて……♡」
アイリスは戸惑いながらも、
「仲良くしてくださると嬉しいです!」と元気よく頭を下げた。
黒猫は後ろで、耳ペタァ。
「(怪しいにゃ。清楚の匂いに混じっとる成約の匂い…)」
「ふふ、かわいい猫ちゃん♡」
リュミエールはしゃがんで、猫の目線へ。
笑みは変わらず清らかで、天使の声。
「あなた……マサト様に可愛がられてるのね?」
「そうにゃ。ワシが相棒にゃ」
「へぇ……邪魔ね?」
──空気が変わる。
清楚な微笑みのまま、声だけが冷えた。
「いい? 猫ちゃん。
ビジネスの世界では、有能以外は不要なの。
あなた……何ができるの?」
「……ッ!」
黒猫の毛が一斉に逆立つ。
視界が暗転し、低い唸り声が漏れた。
「ワシの能力……舐めんなよ?」
「ごめんなさい?」
聖女は――笑っていた。
そして、黒猫の耳元で、
ヒトには決して聞こえない声で囁く。
「マサト様の視聴者数を倍にできるのは誰?
あなたいらないわ。
死んでも代わりがいるもの。」
「ッッッ!!」
黒猫は飛び掛かろうとした――
その前に。
「リュミエールさん!お茶淹れてきました!」
アイリスが戻ってきて、空気が一瞬で浄化される。
「まぁ♡ありがとう、アイリスちゃん。
仲良くしましょうね♡ これからもずっと♡」
清楚100%の声。
黒猫はソファに爪を立て、無言で睨む。
(始まっとる……
マサトを巡る戦争が……!!)
コメント欄では今も平和な祭り状態。
《白百合聖女かわえええ!》
《三角関係きた?》
《猫ちゃん嫉妬ww》
──修羅場は静かにログを伸ばす。
次回:
「案件の女、姫を市場価値で殴る」
毎日、16:00公開中。




