第3話 『デレ適正Sランク? 効率よくハーレム作るより、まずは納税準備や』
朝。何もしてへんのに陽キャみたいな達成感で目が覚めた。
昨日拾った黒猫は――なぜか俺の枕を占領して寝ている。
「おいコラ、ど真ん中乗るな」
「にゃー、重課金者は部屋の真ん中を使う権利があるにゃ」
寝言か? 黒猫、言ってることがだんだん資本主義の亡霊じみてきたな。
とりあえず外へ。昨日スパチャくれた美女アリサが、
おはようも言わず腕に絡みついてくる。
「マサト様、今日も朝から課金の女神になってもよろしいでしょうか」
「いや朝礼のテンションで言うことちゃうやろ」
黒猫がポン、と尻尾でアリサを指す。
「にゃ。判定開始」
「判定って何の……」
《視聴者コメント》
【!?】
【黒猫おるやん!】
【また女追加かよ】
【嫉妬で米欄荒れろ】
「判定結果、アリサはデレ適正Sランクにゃ」
「どないやねんその制度!」
黒猫は真顔で続ける。
「チートは配信と連動してるにゃ。
視聴者の欲望が大きいほど、デレは強くなるにゃ」
アリサが急に顔赤くして胸を寄せてくる。
「……マサト様。
今すぐ一緒に魔王倒しに行きませんか? その後ご褒美を……」
「なんで急に仕事始めたんやお前」
「倒したら、魔王城まるごと別荘にゃ。
そこにハーレム……いや友達いっぱい呼べるにゃ」
「友達(公式用語)出た!」
アリサはキラキラ目で言う。
「世界平和とか……興味ないですよね?
私もです♡」
うん、脳が軽い。好き。
「ところでマサト様。この町の外に課金ダンジョンが」
「金を置く場所まで用意されてるんか」
《コメント》
【ダンジョン名:クレカ限度額突破】
【草】
【課金で床抜けそう】
黒猫は尻尾をピンと立てた。
「そろそろ税金イベント来るにゃ」
「税金!?ゲームバランスどこいった」
「大丈夫にゃ。課金が正義の世界で、
金を払わない奴だけが悪役になるにゃ」
価値観の暴力すごいな。
黒猫は俺の肩に飛び乗り、小声で囁いた。
「マサト、次の美女来るにゃ。
今度は視聴者投票でツンデレ枠や」
「また増えるんかい」
視界の向こう、ツンとした黒髪ポニテの剣士が
こちらを殺気混じりで睨んでいる。
「お前が課金勇者か。
金で世界を救う? ふざけるな」
お、まともな奴来たな。
「まともなこと言ったらアカンにゃ。
視聴者が混乱するにゃ」
黒猫に怒られとるやん。
「……でも、強い男は嫌いじゃない」
早い!心変わりの瞬発力よ!!
《コメント》
【即落ち2コマ】
【ツン側の劣化早すぎる】
【デレ待機勢集合】
黒猫が宣言する。
「次回。課金ダンジョンで愛の課金爆撃やるにゃ」
「タイトルからして情緒死んでるぞ」
世界は救わない。
金と欲望だけが、今日も俺たちを導く。




