第2話 『姫のデレより、今は社会保険の加入手続きや。~スパチャ、止まらんわ~』
「勇者様ーーっ!!」
……俺のことらしい。
昨日から呼ばれてる新しいあだ名や。
札束で魔王ワンパンしただけなのに。
王都に着くなり、黒猫(※肩乗り)の先導で
でっかい城に連れて行かれた。
「にゃ♡(※翻訳:褒められる時間や)」
通された玉座の前で――
めっちゃ綺麗な金髪の姫が立っとる。
姫:
「ま、眩しい……!
あなたの後光……いえ、課金光!?」
黒猫:
「にゃ♡(※翻訳:せやで)」
いや、俺何もしてへんぞ?
ただ歩いてただけやのに
お札の反射光で城壁ギラギラや。
突然、姫が近寄ってきて
俺のネクタイを指でくるくるし始めた。
姫:
「ねぇ、聞かせて……
そのお金、どこから湧いてるの……?」
近い。
甘い匂い。
視界に谷間。
脳が死ぬ。
俺:
「あー課金したら……出てくる……」
姫:
「課金……なんて尊い祈り……!」
なぜか感動されてる。
兵士たちもざわつき始めた。
兵士A:
「金を…生む男だと…!?」
兵士B:
「いや生んではない、投げてるだけだ」
姫は俺の両手をぎゅっと握って
小鹿みたいな目で言う。
姫:
「お願い……
この国を救って……
課金で……!!」
黒猫が肩の上で尻尾ピン。
黒猫:
「にゃぁ♡(※翻訳:断る理由、無いやろ?)」
確かに。
美女に頼まれて断るとか
男としてありえへん。
俺:
「任せぇや」
その瞬間
姫の顔がぱあっと華咲くみたいに輝いた。
姫:
「えへへっ♡
やっぱりっ!!
あなたは……私だけの――」
【スパチャ:¥100,000】
《イチャつけ!》
《もっと近寄れ!》
《黒猫はあざとい》
《姫の角度ナイス》
……視聴者見てたんかい。
姫が恥ずかしそうにスカートをぎゅっと掴む。
姫:
「こっ、ここでは…その…
配信の……視線が……」
黒猫:
「にゃ♡(※翻訳:二人きりの部屋、案内したろか?)」
配信画面コメント:
《二人きり!?》
《神回確定》
《社会保険入った?》
《はよ課金ビーム!》
俺の中の悪魔(黒猫)ささやく。
黒猫:
「にゃ〜♡(※翻訳:帰る?…美女おるけど?)」
世界滅ぶって言われた気がするけど
今はどうでもええ。
俺:
「帰らん。しばらくここおる。」
姫が俺の腕に絡みつく。
姫:
「ふふっ♡
勇者様……
課金の力……
もっと近くで見せて?」
脳内の快楽物質、爆発。
金貨がふわっと浮き上がり
城内がキラキラ花火みたいに光る。
視聴者コメント:
《尊い》
《課金こそ正義》
《早退しない主人公初めて見た》
《美女>世界》
《わかる》
黒猫がひそっと囁く。
黒猫:
「にゃ♡
(※翻訳:これがデレ初回。
次、もっとエグいのいくで)」




