第5話 2人の姉妹
魔理沙side
「アハハハハハハハハッ!!!!!!!!!」
高らかな笑い声と共にフランは舞い踊る。
右、左、横、縦、斜め。
全方向から襲いかかる弾幕が私の退路を塞いでくる。
「ちょっ!!!まじで!!!!」
こちらも弾幕を出現させ、何とか回避をしているがこの猛攻が続くなら勝機がない。
(くそう!!このままじゃジリ貧なんだぜッ!!)
笑い続けるフランを見据えながら、次々と回避していく。
「禁忌『レーヴァテイン』!!!」
フランは炎の剣を顕現する。
その刀身は少女が扱うには不十分過ぎるほど長く、狂気じみていた。
縦に長いこの通路で、どう扱うのか不思議であったがその考えは瞬時に砕かれた。
バギィッ!!!
と、柱を次々に両断しながらこちらへ攻めてくる。
「力技なんだぜッ!!!全く!!!」
「アハハハハッ!!!!壊れちゃえッ!!」
私の言葉が通じる事もなく、フランは突き進む。
だがそれを回避するのも難しくなる。
通路の端にあと数秒で着いてしまうっ!
(ご丁寧に扉を開ける暇なんてないんだぜッ!ここは破壊一択ッ!)
無数の弾幕と、炎の剣を避けつつ私は八卦路に魔力を込める。
「穿て!!マスタースパーク!!!!」
先程より、数倍の魔力を詰め込んだッ!!
そのビームが扉を粉々に砕く!!
……ここに来てまた扉を破壊したことを軽く心の中で謝罪した。
そのまま新しくできた通路に突っ込むッ!!
霊夢side
私の勘を頼りに突き進み、辿り着いたのは先程より広い空間。
その中央には、玉座があった。
だがその玉座に座っていたのは他でもない1人の少女であった。
異質であるその景色を眺め、突っ立っていると声が耳に届いた。
「あら、来たのね。博麗の巫女?」
少女から発せられたその言葉には、少し殺気を孕んでいる。
「メイドの次はお嬢様?……元凶はあんたね?」
「元凶…?なんの事かさっぱりね」
普通の少女には持ちえない、少し馬鹿にした様な微笑。年相応……って訳じゃないわね。
「ははっ、よく言うわよ。上の雲とーっても邪魔なんだけど?」
「さぁてなんの事やら。……それで?私をどうするつもり?」
「余程の阿呆じゃない限りわかるでしょう?……ぶっ飛ばすのよ。」
「へぇ、ならぶっ飛ばして見ればいいわッ!!!」
少女がそういうと同時に、私が通ってきた扉が爆散する。
「はぁ!?」
「!?」
少女も予想外だったらしく、私と全くおなじ反応だった。
土煙を立てながら、それを掻い潜るように箒に乗った魔理沙が飛び出てきた。
「おっ!!霊夢か!!!ちょうど良かったんだぜ!!ちょっと助けーーーー」
魔理沙の声を遮るように、後を追って出てきた少女。
七色のクリスタルを羽に生やし、ものすごいスピードで魔理沙を追っていた。
「アハハハハハッ!!!逃げるだけじゃ面白くないよッ!!!」
狂気じみた笑い声が響く。
だがその笑い声はある人物を見ると、表情と一緒に消え去っていった。
「アハハハ…………っ……お姉様……?」
「フランッ!!なんで!!」
お姉様と呼バレる目の前の少女。
姉妹なの……??確かに見た目はすごく似ているけど…………。
「……!!霊夢!」
「魔理沙…?これは一体どういうことよ。」
「分からないのぜ…。あの金髪のロリっ子はフランドール・スカーレットって言うらしいけど……」
フランドール・スカーレット……?聞いたことないわね
「なんで私だけを1人にするのよッ!!!いつもいつもいつも!!!」
「フランっ落ち着いて……それには訳があって……ッ!!」
私の目の前では、姉妹?による言い合いが勃発中。
その最中なにかに気づき、上をむく。
「何よ……あれ……。またお姉様は私に黙って……みんなで楽しそうな事をして……わたしは無いものみたいに……ッ!!!!!!」
「違うのよ、フランっ!あれはフランの為に……」
どれだけ少女が言っても、その言葉がフランに届くことはなかった。
怒り、嫉妬、悲しみ、寂しさ。
その全てを解放するように、嘆き続ける。
「お姉様はいつもそうっ!!いつも私だけ仲間はずれッ!!!……もうお姉様なんて大っ嫌いッ!!!!」
一段と声を張り、空気が痺れる。
その言葉に狼狽える少女に、フランは炎の剣で少女を吹き飛ばした。
「ぁがっ……ッ」
少女は力なく吹き飛ばされ、壁へ激突する。
衝撃が少女の体を貫き、背後の壁にへこみを生じさせた。
「もう、みんなみんなみんなみんな……ッ!!!大っ嫌いッ!!!全部壊れちゃえばいいのよ!!!!!」
フランが叫ぶと同時に、フランを中心に嵐が巻き起こる。……それは自然災害の類ではない。フランの力そのものが、嵐となり顕現しているのだと直感でわかった。
「あっ……れはまずいわね……。」
状況は一切理解できないが、 まずいことだけは理解できる。
「私はとりあえずそこで、くたびれてるロリっ子の所に向かうわ!」
「わかったんだぜっ!」
そう言い残し、私は少女の元へたどり着く。
普通だったらあんな攻撃食らって、生きている方が難しいが、少女は生きていた。
「ちょっとあんた!これは一体どういうことよ!」
「フランが……私の妹が、暴走しちゃう……」
「そんなのは既知よ!あのフランって子……とりあえず大人しくさせるしかないわよ??」
「出来ないわよ……暴走したフランを止める術はないわ。博麗の巫女でも無理よ……」
(全く…弱気ね……!!)
フランて子が、どんなけ凶暴で強いのかは正確には分からない。……だけどここはやるしかない!
「もういいわっ!!魔理沙!!!!」
「なんなんだぜ!!」
「やる気は十分よね?」
私と魔理沙の間に、細かな確認はなかった。
状況は最悪寄りの最悪。
だけど、そんな状況でも魔理沙はいつもと変わらない表情で言った。
「有り余りすぎて、おすそ分け出来るんだぜ!!!」
ニヤリと笑う魔理沙を見たら、少し気が紛れ身体が軽くなった気がした。




