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山登りの青年とレスリング女子

見習いキューピットのフィニーとミケは、今日も今日とて地上観察の実習中だった。今回のターゲットは、何やら登山道の入口付近。

「フィニー見てごらん」

ミケの視線の先には山登りに精通した身支度万端の青年。彼が見据えるのは登山道。そしてその間にいるのはレスリング女子の一団。訓練の最中のようで。

「いやいやいやミケ。さすがにそれは」

連戦連敗中にさすがに嫌気を指したミケ。フィニーの言わんとしていることは分かるが否定する。

「おいおい、もう諦めちまうのかいフィニー。僕らはこの修業を乗り越えなかったら一人前にはなれないんだぜ。さあ、迷っているヒマはない。今度こそ神様の鼻を明かしてやろう」

「そこまで言うならやるか、で、ターゲットのもう片方は?」

「あの強そうな子だ。きっと彼にピッタリ。ぐいぐいリードしてくれそうじゃないか」

「じゃあ、そうと決まれば1,2,3」

同時に放った恋の矢は見事に二人に命中。フィニーとミケはハイタッチ。

その頃地上では。

「さあ…。行くぞ!山頂目指して出発だ。――ぶっ?ぐぇっ、おっ…?」

「行かせない!絶対にあなたをこれ以上前には」

青年はいきなりレスリング女子にタックルをされる。更にホールドの態勢へ。解こうにもくるりくるりと回転されてドツボにはまる。

「いや、離して!僕はあの山へ登りたいんだ」「いや、離さない。どんなことをしてもあなたを離したくないの。私の手の中で転がされていて、ずっと永遠に」

「手って言うか、あんた、体全体で転がしにかかってるんですけど」

周囲も唖然と見ているだけ。天上のフィニーとミケも呆然。

「山だけにマウントの取り合いになりましたな」

「お後がよろしいようで」

「こらー!お前らまたやらかしおったなあ」

いつものように神様の雷が落ちましたとさ。


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