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リケジョの痺れる恋

見習いキューピットのフィニーとミケは、今日も今日とて地上観察の実習中だった。今回のターゲットは、大学の研究室。恋のキューピット任務では最高難度の依頼だ。

「フィニー、見て。あのリケジョさん、いつも教授のことを遠くから見つめてる。きっと、恋してるんだわ」

「ミケ、今回は慎重にね。相手はあの、超難解な数式を操る天才教授だ。絶対に失敗できない」

二人は弓を構え、心を込めて狙いを定めた。フィニーが矢に「恋の方程式」と書かれた魔法の粉を振りかけ、ミケが「愛の力場」と書かれた魔法の粉を振りかける。しかし互いに放った矢は途中で弾かれ、お互いあらぬ方向へ。

かろうじて片方の矢はリケジョさんへ。そしてもう一方は……。

リケジョが持っていたテスターに突き刺さる。テスターはショートし、火花が散った。

「っしびれるぅ!」

リケジョは、感電したテスターから電流を浴びて、なぜか恍惚とした表情を浮かべた。その視線の先には、部屋の隅に置かれた、少し古めの扇風機がある。

「ああ…あなたなのね、私の運命の相手は…」

リケジョは、扇風機に駆け寄り、その羽に顔を擦りつけ始めた。扇風機は、ゆっくりと首を振る。リケジョは、その動きを、まるで心許せる存在からの優しい語りかけのように受け止めた。

「ああ、あなたはなんて素敵なの…その風は、私の心を揺さぶるわ…」

リケジョは、扇風機に向かって、熱烈な想いを口にし始めた。

「あなたと私は、まるで並列回路ね。お互い、別々の道を歩んできたけど、最後には同じ一点で繋がる…」

「ああ、私の想いは、あなたの心を、あなたのモーターを、回し続けるわ。いつまでも、このまま、永遠に…」

リケジョの熱烈な告白に、扇風機は、ついに唸りを上げて止まってしまった。リケジョは、ショックで倒れ込み、扇風機に抱きついて泣き始めた。

「…あなた、私に飽きたの…?もう、私との回路を、切ってしまったの…?いいわ。何度でも何度でも私あなたとの回路をつなぎ直して見せるわ」

フィニーとミケは、空の上からその様子を見て、顔を見合わせた。

「…今回は、リケジョと扇風機っていう、新しいジャンルが生まれたね」

「うん…でも、扇風機、壊れちゃったね」

「重たい愛だったのかな?でもまた直すっていってるし」

二人がそう言って、穏やかな気持ちで空を見上げていると、再び巨大な雷鳴が轟いた。二人の上司である雷キューピットが、雷雲に乗って現れたのだ。

「お前たち!また余計なことをしてくれたな!今度は何だ!」

雷キューピットの怒鳴り声が響き渡る。その雷が、ミケの弓に当たった。矢が暴発し、天高く飛んでいった。その矢が向かった先は、なんと雷キューピットの背中にいたずらで乗っかっていた、小さな雲だった。雲はたちまち膨らみ、雷キューピットは雲に恋をしてしまったのだ。

「ああ…なんて美しいんだ、君は…」

雷キューピットは雲を優しく抱きしめ、空中にハートマークを描き始めた。フィニーとミケは、呆然とそれを見つめる。

「…雷キューピットが、雲とカップルになったぞ…」

「ええと…まあ怒られずにすんだし結果オーライって事で」

こうして、見習いキューピットたちのドジは、今日も世界に少しばかりのカオスと、そして予想外の幸せを振りまいているのだった。彼らのもたらす恋の結末は、いつもとんでもないことばかり。だが、それで幸せになるカップルがいる限り、彼らの「ドジ」もまた、一つの愛の形なのかもしれない


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