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異世界巫女はVtuberになりました。~除霊で登録者100万人目指します~  作者: 鍵谷端哉


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巫女と焼肉と、心霊スポットで飯テロする件

「うおおお! やったぁああ!」

「いえーい!」

「はーい!」


 俺、ルーナ、稲荷様でハイタッチをする。


 稲荷様は小さいから、俺やルーナからしたらロータッチになったわけだが。


 とにもかくにも登録者数300。

 昨日の配信から一夜明けると、登録者数が脅威の3倍になっていた。


 スピードで言えば、あの赤い機体と同じだ。


 そりゃ、100万人まではまだまだ遠いが、これは本当に嬉しい。

 アーカイブの再生数も1000を超えている。


 マジで凄くないか?


 花ちゃんを成仏させたってことで、バズとまでは言えないけど、少しだけ話題になっている。


「行っちゃう? 焼肉!」

「ぬっ!? た、確かにそれくらいしてもいいよな」


 ここまで嬉しいのは大学に受かったとき以来だ。

 お祝いするのは当然だろう。

 いや、するべきだと言っても過言ではない。


「なわけねーだろ」


 突然、横から冷めた声が聞こえる。


「あれ、田中? 何、人の家に勝手に入って来てるんだよ」

「……入れてもらったんだよ。この子に」

「はい、お招きしました」


 ああ。稲荷様か。

 最初の「はーい!」はインターフォンが鳴って、出たときの声だったのか。


「まだ収益化もできてないのに、焼肉食いに行くなんて早いんじゃねーの?」

「うっ! ……そ、それもそうだな」


 痛いところをついてくる。

 確かに再生数が上がったとはいえ、利益になってない。

 つまり、お金になっていないのだ。


 そもそも、今の家計は火の車。

 稲荷様のご利益である稲荷寿司でかろうじて、命を繋いでいた状態だ。


 こんなところで肉なんぞ食ったら、その後に待っているのは餓死である。


「えー! 肉はー!? おーにーく! おーにーく!」

「えーい、黙れ! そもそも焼肉食いに行く金なんて最初からなかったから、無理だ」

「うわーん! せっかくいなり寿司以外のものが食べれると思ったのにぃ」

「はっはっは。安心しろ、ルーナ。明日からのご飯はパンの耳だ」

「こうなったら、マネーを殺して……」


 お? 心中する気か?

 ふん、返り討ちにしてやるぜ。


「その保険金で食べてやる!」

「ふざけんな! それだと俺が食えねーじゃねーか!」

「マネーはあの世でお留守番だよ!」

「よし、わかった。お前は元の世界じゃなくて、あの世に送ってやるぜ!」


 ルーナと取っ組み合う。

 そんな俺たちを冷めた目で見ながら、田中が呆れたようにため息をつく。 


「……もう、茶番は終わりでいいのか?」

「茶番言うな!」


 こっちにしたら重要なことなんだよ。


「じゃあ、本題だ。登録者数300突破おめでとう」

 

 田中がそう言って、持っていた袋を掲げる。

 

 そして、その袋に入っていたのは――。


「ああーーー! お肉だぁー!」


 ルーナが目を輝かせる。


「……どうしたんだ、この肉?」

「だから、登録者数300のお祝いだって」

「うおーー! 田中―!」

「おうっ!」


 思わず抱き着くと、田中は鼻を手で押さえて横を向く。

 その手の隙間からポタポタと血が滴り落ちる。

 

 そして、俺の服には田中の返り血が付いた。

 

 俺の一張羅が……。


「稲荷ちゃん。ティッシュある?」

「はい。どうぞ」

「ありがとう」


 田中が稲荷様からティッシュを受け取り、鼻に詰める。


「すまん。もしかして頭、当たっちまったか?」

「そのくらいのショックだったけど、まあ、気にすんな」


 気にするなって言うが、結構出てるぞ、鼻血。

 鼻に詰めたティッシュがもう真っ赤だ。


「しかし、肉なんて高級品を貰ったからには、さすがに何か礼をしないとな。なにか俺にできることはあるか?」

「……いや、もう、礼はもらったよ。十分すぎるのをな」


 なに?

 なんか、もう取られたのか?

 うちには取るようなものなんて、何もないはずだが?

 

 田中はコホンと咳ばらいをし、キリっとした表情をしてこう言った。


「今夜はバーベキュー企画やるぞ」

「なんだそれ?」

「心霊スポットでバーベキューをやるんだ」

「……それはさすがに不謹慎だろ」

「あー、ごめん。逆だ。バーベキュー場が心霊スポットになったんだよ」

「……お前、何言ってるんだ?」


 バーベキュー場と心霊スポットなんて真逆の存在じゃねーかよ。

 あんな陽キャ感あふれる場所が、陰キャ感渦巻く場所になることなんてあるわけがない。


 すると田中はポリポリと頭を掻きながら、「実はさ……」と続ける。


「少し前からさ、なんか出るって噂になったみたいなんだよ」

「出るってまさか……」

「ああ、そのまさかだ」


 あまり聞かない話だが、出ると言うのだから出るんだろう。

 腹ペコの幽霊で、肉の匂いに釣られたか?


 というか幽霊でも腹が減るんだろうか?


「そのバーベキュー場は、知り合いがやってるんだけどさ。売り上げが落ちたみたいなんだよ」

「まあ、そんな場所で肉食いたいって気にはならんからな」

「それで、何とかならないかって相談されたんだよ」


 困った表情をする田中。

 幽霊が見える田中だからこそ、こういう相談を受けるんだろう。


「なるほど。今回の企画で、そこの幽霊を祓うんだな?」

「そういうこと」

「別にいいんじゃないか。なあ、ルーナ?」

「にくーーーー!」


 目を肉(?)にしながら、ルーナがガッツポーズする。


 かくして、除霊バーベキューという一風変わった企画が決まったのだった。

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