ターマヤ偵察その壱
私の名前は、ルシファー。
前世は葉山翔也だったが……今世では転生した妹のモンスターとして転生した。
悪魔神官で、能力は普通の神官と変わらないが……攻防両方に優れてるし……使えない魔法は無いんじゃないかな?
この世界は六つの大陸に別れている。
人間と魔族は、昔から対立し互いに終わらない争いを絶えず繰り返していた。
ダンジョンマスターは、選ばれる魂も、種族もバラバラ。
ある日、前触れもなく現れダンジョンを作るとか。
ダンジョンから生まれた者は、種族問わずモンスターと呼ばれている。
取り敢えず、私は人間に変身して近くのターマヤに向かった。
そこは、比較的大きな街なのに対して、住民達は皆暗い顔をして居た。
町行く人に聞いてみると……
「このターマヤを治める領主様が高い税率を与えているからさ。何でもかんでも高い税を払わなくては行けなくてな。皆疲れちまってんだ」
「あんた旅人かい?なら、早くターマヤから離れた方が良いよ。旅人にも冒険者にもなんでもかんでも税を取るからね」
「冒険者ギルド?ターマヤには元々無いよ」
情報を聞き回った結果、悪徳領主に町の人が苦労していることが分かった。
……結城がやってたゲームだと、普通魔族が実効支配していて、人間の国が頑張って反抗していた気がする。
……だけど、この世界では……人間の領主が住民を苦しめている。
私はゲームと現実の違いに愕然とした。
もしかしたら、この分だとゲーム知識も役に立たないかもしれない。
どうしたら良いか分からない私は、町を出て物陰に隠れると、転移魔法でダンジョンへ戻るのだった。
「……え?」
転移してダンジョンに戻った先には、巨大な木のモンスターの残骸があった。
「ルシ兄、お帰り!!」
木の残骸から顔を出したのは、赤ちゃんから五歳児に成長した妹の雛。
「お帰り、ちょっと待ってね?この木を砕いて焚き火と料理用にしちゃうからさ」
父も呑気に答えてるけど……。
「いやいやいやいや!?何故雛が成長しているんですか!?それにこの木のモンスターの山は!?」
だから思わず私はツッコミを入れる。
「……話せば長くなるよ?」
「ね、長くなるけど……」
雛と父は顔を見合わせると、ハードボイルドな顔をした。
「良いから話してください!!」
すかさず私は二人を促すのだった。