シスターは元気一杯!!
パパと私が着いたのは、木造の小さな教会だった。
木々が薙ぎ倒された開けた広場に、薙ぎ倒した木で立てた教会だからエコなんだって。
再利用、異世界でも出来るんだ。
「はあい」
パパがドアをノックすると、綺麗な女性の声がした。
ドアを開けて出てきたのは、金髪縦ロールの美しい長身美女?シスターだったんだけど……。
「あーらぁっ!?まぁまぁまぁっ!!もしかして雛ちゃん!?」
私を見てシスターは叫ぶ。
その反応、呼び方で私は分かった。
パパとお兄ちゃん達が所属していた事務所の社長。
荒田菊之介もとい、菊ちゃん。
元格闘家で、引退した後に俳優として大ブレイク。
パパと幼なじみの親友で、あの日待ち合わせしていたのも菊ちゃんだったの。
事件のあの日、ファミレスで待っていた菊ちゃんはマネージャーの制止を振り切り、私達を見付けて駆け寄った。
その際に、犯人と菊ちゃんは闘ったんだ。
菊ちゃんは犯人に何度も刺されたけど、犯人に強烈なパンチや蹴りを喰らわせていた。
最後は、疲れた犯人を寝技で拘束したけど、力尽きて菊ちゃんは亡くなった。
そんな菊ちゃんは、心は乙女の男の人だった。
「んん~、まさか雛ちゃんにも再会できるなんて嬉しいわぁ!!私ね、気付いたらこっちでも、心だけ乙女の魔族だったのよぉ!!」
私を抱っこして菊ちゃんは私に頬擦りしてくる。
……どんな魔族……?
「悪魔よぉ。でもぉ私人を傷付けたくないから教会作って住んでいたの。でも、この国と魔族が争い合ってるみたいでね、孤児達を引き取って育てているの」
菊ちゃんは悲しそうに答えた。
そんな菊ちゃんの子達は、人間や他の魔族にも警戒してるみたいで今は子供部屋に隠れているらしい。
「人間にも困ったね、争いなんて辞めて欲しいよ」
「こればっかりは仕方無いわぁ。争い辞めて欲しいのは山々だけど……国同士、種族同士の問題になるからね」
パパと菊ちゃんは溜め息を着いた。
その後、菊ちゃんにまた来ると言って私達はダンジョンに戻ったんだけど……。
「なんかね、ワイバーンポイント高かったみたいで、雛のレベル一気に20になったよ」
パパの一言で、私は目を丸くした。