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孤高の女王  作者: はゆ
2/6

絶望

 五月。高校に入学し、一ヶ月が経過。


「名前は一条(いちじょう)なのに、万年二位」

 誰が放ったかわからない台詞が、頭から離れない。まさか、(うえ)に存在しているものがあるなんて、予想だにしていなかった。

(『万年』って、いつから二位なのよ……)

 初めて順位表を見たいという欲求が湧き、張り出されている場所に急ぐ。


 上にある名前は、結月(ゆづき)陽菜(ひな)


 1 結月(ゆづき)陽菜(ひな) 500点

 2 一条(いちじょう)羽菜(ハナ) 499点


 たった一点の差。そう解釈する人は居るかもしれない。けれど、羽菜(ハナ)にとっては雲泥の差。

 陽菜(ひな)は満点、羽菜(ハナ)はミスをした。


 いつから一位でなかったのか。調べたところで、確定した過去を変えることは出来ない。

 今までも、誰かに抜かれるような点数を取った記憶は無い。それでも、万年二位と言われるということは、陽菜(ひな)は常に満点を取っているということ。


 許せない――。

 上に名前があることで、これほどまでに不快にさせられるなんて知らなかった。上に何個あるかではなく、存在すること自体が不快。


  * * *( )


 (うえ)には、また結月陽菜()の名前がある――存在を確認して以来、何一つとして勝てたことがない。

 陽菜(ひな)の外見は地味だから、運動でなら勝てると(たか)を括ったけれど、それも敵わなかった。


 陽菜(あいつ)さえ居なければ良いのに――願ったところで状況が好転することはない。

 敗北を繰り返す度、意欲を喪失。何も手に付かなくなり、努力しても無意味と思うようになる。


  * * *( )


 3 一条(いちじょう)羽菜(ハナ) 491点


  * * *( )


 7 一条(いちじょう)羽菜(ハナ) 487点


  * * *( )


 13 一条(いちじょう)羽菜(ハナ) 479点


  * * *( )


 順位は急降下。以降の順位は不明。順位が二桁になったのを最後に、順位表を見ていない。

 二位以下は全て同じだと思っていたけれど、全然違った。堕ちる度、世界の終わりのような、激しい絶望感に襲われる。


 自暴自棄になり、常に苛々するだけの毎日。この先ずっと、無意味に時間を潰すだけの日々が続く――考えるだけで億劫(おっくう)

 刺激の無い日々が、時の流れを早く感じさせる。つい最近入学した気でいたけれど、瞬く間に三ヶ月が経過していた。

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