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首吊り  作者: ミマス
5/5

「ああ,くそくそくそくそ!!!船は膨らんでるし金は無いし、あああああ!!!クッソ!!」


とある田舎のくたびれた家


一人の少女が大声を出しながら周辺の物を手当たり次第に投げつける。


投げた物がクローゼットに当たってクローゼットがそっと開いた。

「何かお金になるような物でもないかな..」


開いたクローゼットの中を探る彼女。

彼女の名前は花。


クローゼットの中には三つのノートしかなかった


「何~にも無いのかよくそばば…少しは残してくれよ…なんだよこのズタボロのノートは…」


彼女の手には三つのノート。


「で?何だこりゃ?」


一つは灰色のくすんだ表紙のノート

一つは白地に黄色い花が描かれたノート

一つは赤い花が半分くらい詰まっているノート

花は一番目立つ赤い花のノートを開けてみた。




某年某月某日

娘が娘を産んだ。

名は花。可愛い名前だ。

初めての子供だからな大変だろう、これから大変だけどそれ以上に幸せな時間になるからな?

私もあの子を力にならないとな。

あの子のため今日からこの日記を書くことにした。




「あ…これ、ばあちゃんだ、ばあちゃんの日記かあ」




某年某月某日

娘から電話がかかってきた花のせいで大変なのに、夫がめんど臭いと言う。

“今が一番大変だけど今が一番楽な時でもある、だから今を楽しめ”、と言った。

あと2~3年過ぎたら今が恋しくらるわよ?ふふふっ、“こんなに大変なのにお母さんは分かってくれない!”と…ふふふっ、お前を産んで育てたのはわしだよ?

分からないと思うの?まだまだ子供だなあの子は~




「ふううううん、私が生まれたころかな?」




ま~たあの子から電話がかかってきた。

“花が乳をあまり飲まない”

“おかあああさあああん花がげろしてるけどおおお?”

“かさんかさんかさん!花が下痢をするけどおお”

“夜になったら花が泣くけど何でなの?何で眠いと泣くの?”…などなど

少しは勉強しろやあほ!お前も酷かったからな?




「お母さんて甘えん坊だったか…」




久しぶりに娘からの電話だ。

最近はインターネットで気になることが見つかるからか、わしに聞いてみることが少ない。

少し寂しい。花の世話をするのにとても大変らしい。

夫は全く助けてくれないと言う、毎日仕事で忙しい夫に頼るよりお前が頑張るほうがよくないか?

少なくともあなたが家で仕事をせず花を育てるのに集中できることだけでもありがたいと思いなさいな。

お母さんは君は背中に背負って畑に出たんだよ?




「全部お母さんの文句だけかよ、母さん、私のこと嫌いだったのかな?うあああ?この後ずううううううっと母さんの文句ばっかり」




あの子が夫と別々の部屋を使うという。これは良くない。

夫婦が別の部屋を使い始めたらその時から分かれ始めるんだ。

少なくとも部屋だけは一緒に使えと言ったが、娘は全く聞かない。

心配だ。




「ばあちゃん、心配ばっかり」




娘に電話をした。まだ部屋を別々に使っているようだ。

娘が話を聞かない。夫が体を触ることも嫌いと言うけど、あんなに仲良かったのにどうして?




「あれ?この後は真っ白ね?ばあちゃん日記やめた?」


パラパラと日記をめくる。日記の後のページに再び日記を書き始めたみたいだ




あの子が花を連れて戻って来た、夫とは離婚したらしい。

あの子は“あんな心が狭い人、こっちからごめんだわ”と言うけど、お前が浮気したのが悪いからな?

娘は若い男と浮気をしたらしい。

浮気して、ほかの男の子供を妊娠して、追い出された。

この大馬鹿が…恥を知れ馬鹿が…この馬鹿をどうすればいいの?




「浮気…したの?浮気して追い出されたの?」




婿に何回も電話をした。だけと婿との話は全くできない。

娘に何がどうしても戻れなさいと言っても聞かない。

最近部屋の隅で泣いたりぼーっとしていたり、花は泣き続ける。

ああ、どうすればいいのかわしにも分からない。




娘が死んだ。自殺だ。家の外の古木で死んだ。

私が生まれた時、父が植えてくれた木。

いつの間にか大きく育って美しい花が咲いた。

いつの間にか死んで古木になったが切り取れなかった。

残り少ない父親との思い出だった。でも、あの木がなかったら娘は死ななかったかもしれない。

胸が張り裂けるようだ。また花が泣く。

ああ…本当に天はわしにどうすれと言うのだ?




「…自殺…窓の外に見える…あれかな…」




胸が痛い、病院に入院しなければならなくなった。花は…花は…息子に頼んでみよう。

花が小学校に入学した。にっこりと笑う顔が娘にそっくりだ。

息子がいなくなった。連絡もできない。どうした?

学校からの連絡。花が喧嘩したと…今月4回目だ。

そろそろこの身も終わりだ。花の父親にまた連絡してみようか…




夫が死んだ。持病の悪化わしも後少ない。花が心配だ。わしが死んだら花はどうしよう?




息子を見つかったと連絡が来た深い山の中で自殺した。と

…息子の近くにもう一人の男が殺されていた。と

だぶん殺したのは息子でその男は娘と浮気した男だ。らしい

…酷い、酷い。


わしが何をした?何をしてこんなになった?

夫も死んだ、息子も死んだ、娘も死んだ、わしも間もなく死ぬだろう

花は?花はどうすればいいの?




花の父親の消息が聞こえてきた。もうずいぶん前に死んだ。

これまた自殺。父親も母親も自殺か?

子供一人残って自分たちだけ楽でいいか?残酷すぎるじゃないか?




花が中学校に入学した。毎日喧嘩ばかりして勉強は全くしない。

この子はこれからどう生きて行くのだろうか。

わしの時間はあまり残っていない。多分花が大人になるまで生きるのは無理だろう。

この世に神はいないか?




「おばあちゃん…私が中学校に入学して数ヶ月で亡くなったよね…」


日記が終わった。


ここまで書いてお亡くなりになったのだろう…そうか…

お母さん…顔も覚えてない。 お父さんは見たこともない。両親お二人自殺、はは…

…小学校の時からほんと、だあ~っくさん喧嘩したよな

私…おばあちゃん…ごめん。



「残りの二つも読んでみようか」

どうせやることもないし、食べることもないし···



花は黄色い花が描かれたノートを見た。

おじいさんの日記だった。


花は灰色のノートを見た。

母親の日記だった。

「これは…お母さんの…?」


花はおじいさんの日記とお母さんの日記を読んだ


浮気して追い出されて自殺したお母さん

私を残して亡くなったおじいさんとおばあちゃん

で? 私の父は?

誰?あ~これまた自殺か~

おいおい


は…くっそ…



小学校に入学して周りの子たちにいじめられた。

汚い女の娘、それが私。


違う違う違う、と否定したが、だんだんそれも疲れて

喧嘩ばっかり、力でだめなら噛みちぎでも。


中学生になって間もなくおばあちゃんが亡くなった。


私は一人になった。


おじいさんは小学生の時に亡くなった。


叔父はある日いなくなった。


親はいない。


少し遠い親戚の家を転々としながら何とか中学校は卒業できた。


高校生になる年齢になったが行かなかった、行けなかった。


外で体を売って金を稼いた。


何となく生きた。


そして彼に会った。


「そんな生き方は止めて僕と一緒に暮らさないか?」


あんなに暖かい言葉は久しぶりだった。

暖かいすぎた。


「ゴムが無いな…生でどう?」

「でも、妊娠したら…」

「心配?僕たちが一緒に住んでからずいぶん経ったじゃない?そろそろ結婚とか…ね?」

「本当?」

「ああ、本当本当、妊娠したら僕が責任を持って結婚するよ」


数ヵ月が過ぎた。 妊娠した。


「私妊娠した!」

「え?」

「妊娠した」

「そう…か?」


翌日、私はその家から追い出された。


…なんで?責任は結婚は?ね?ね?

なんで?なんで?なんで?

なんで!!!

私は叫んだ。でも私の叫びは誰も聞いてくれなかった。


また親戚の家を訪ねたが、高校にも行かずに体を売っていて、誰かも知らない男の子供をはらんだ馬鹿を受け取ってあげたい人はいないだろう…もう誰もいない



彼と二人で住んでいたあの家もいつのまにか空けて、どこに行ったのかも分からない。


なんで… 責任は?これ?これが責任なの?くそがあああああああああ!!!

彼女が妊娠したら捨てて逃げるなんて噓でしょう?

くそくそくそくそくそくそくそくそ



何か月が過ぎた。


結局、どんどん大きくなる腹を抱えて戻って来た場所は


おばちゃんの家


しかし誰もいない家


床に座り込んで窓の外を眺める

木が見える。


あそこでお母さんが首を吊ったのかな?

………

お母さんはどんな気持ちだったんだろうか


母は自殺した。


父も自殺だってさ。


おじいさんもおばあちゃんもおじさんも皆


死んだ。


彼氏に捨てられた。

親戚に捨てられた。

両親に捨てられた。


私は捨てられた。


もう、誰もいない、何も無い。

私は捨てられた。


窓の外を見た。古木が見える。

…………


外に出る

古びた椅子を持って


古木の周りにロープが張り巡らされている。

立入禁止



椅子を古木の下へおく


椅子の上に立つ


木にロープを掛ける


首にロープを掛ける









「結婚とか、子供とか、どんな気持ちかな?」



バタン






5/5

楽しくない話しでした、汚い話しでした、まあ…面白くも無いはなしでした。

でもこんな話を書いてみたかったです。

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