出会い
僕は菊地淳。
建築会社で現場監督の仕事をしている。
お金にも女にも困ってはいない36歳。
傍から見たら幸せな人生だと思われているけど、
そうでもない。
物欲は無く、結婚願望も無い俺は、
何を目標に生きていいのかわからなくなっていたのだ。
結婚が目標、出世が目標の人もいるけど、
俺は家庭に縛られるのは嫌で、
出世にも興味は無かった。
ただ今目の前にあるお題をこなしているうちに、
出世して、来るものは拒まずにいるので、
女にも不自由していなかった。
だたいつも心の中に空虚感がある。
それが悩みだ。
こんな充実した生活で空虚感?
幸せな悩みだと自分でもわかっているので、
誰にも話したことが無い、
俺に共感してくれる人はいないだろう・・・
そんなある日、
現場で空き時間があり、
俺は近くを散歩することにした、
そこは駅から車で20分の場所で、
良く言えば自然豊な場所だけど、
簡単に言えばド田舎だった。
この空気がキレイな場所に老人ホームを建設している。
コンビニ1件も無い場所を歩いていると、
「ドスン!」と大きな音がして、女の人の「痛い!」
とい言う声が聞こえて来た。
どこから聞こえて来たのかキョロキョロしていると、
近くにあったトランクルームに女の人がいるのが見えた。
俺はトランクルーム隙間から彼女を観察した、
大人しそうな女の人で地元の人ではなく、
もっと都会に住んでいる人だと思った。
重そうなスーツケースを車からトランクルームに運んでいて、
それを倒して足に当たったらしく、
足をさすっていた。
そして彼女はスーツケースが壊れていないか、
確認をしていた。
今度はポケットから鍵を出して、
スーツケースの鍵を開けて中身も確認していた。
そして俺は驚いた。
中には見たことが無いような大金が入っていたからだ。
つづく