☆エピソード1 盗賊vs冒険者達 2
影に潜り、泳ぐように、しかし鋭く移動する殺戮者を傍らに、木々を揺らすそよ風は、木漏れ日に変化をつける緩やかさを見せた。どれだけ人が血を流そうと、そこにはただただ、のどかな自然があった。木影もまたゆったりと気紛れに姿を変えてゆき、リックの道となるだろう。あるいはリックを阻むかも知れないが、残忍なリックは決して標的を逃がしはしないだろう。
「さあ、ゲームオーバーの時間だぜ」
リックのHP532/550
盗賊は嗤う。ダメージを負わず一定時間が経過したため、若干自然回復したようだ。
「くっ!お兄さま……お姉さま……お母さま……ごめんなさい……!!」
アクアのHP98/200
アクアは回り込まれてしまった!道中、魔物に少しやられたようだ。アクアは影に潜って移動した訳ではないからな。
アクアの攻撃。
「こうなれば、ここで全魔力を使い果たしてお兄さまの仇だけでもとりますよ。私は生還できないでしょうけどね。【ブルーガンド・アトミックバブル】!!」
【ブルーガンド・アトミックバブル】
判定開始。10d5 + 6d5 +4d5 。出目合計が50以上なら固定で100ダメージを与える。出目合計が70以上ならダメージを200にする。 10面ダイスの0は10換算とする。この攻撃を無効化や半減せず、まともに被弾した者はスタン状態となり、次の行動が1d6の3以下で失敗する。1つの戦闘中に2回まで使用。
判定のダイスは……53。
総火力100。
「くだらんな。【スネーク・ヴァイト】」
【スネーク・ヴァイト】
判定開始。1回攻撃。更に2d6を振り、8以上なら攻撃回数を2回とし、相手の攻撃を回避する。
判定のダイスは……7。
総火力52。
アトミック・バブルの巨大な弾丸が盗賊に迫る。
「ケッ、生意気に当てやがるか」
リックのHP532→432
リックはスタンした。スタン判定開始、判定のダイスは……6。
スネーク・ヴァイトは失敗しない。リックはアトミックバブルによるダメージとスタンを耐え、突き進んだ。
アクアのHP98→46
「化け物ですかあなたは……!」
「ただのLv差だ。もっとお友達を連れて来るべきだったな?」
アクアは満身創痍だ。
「さぁ、そろそろトドメをさしてやろう」
「……そこまでだ」
紅蓮の双剣士レイザック・バーンが現れた!
レイザック・バーン/下級剣士
Lv10_Atk28_HP100/180
「お姉さまに助けて貰ったんだ。じきに合流する」
リックは嗤う。
「死に損ないが、また蹴り飛ばされに来たのか?まだ、ぼろぼろのままじゃないか」
「余計なお世話だ。【紅蓮剣】!」
「芸のない奴だな、それは通用しなかっただろうに。学ばんのか?【カウンター】!」
【紅蓮剣】
判定開始。3回攻撃。3d6の3以上で1回ヒット。6によるヒットはダメージを倍化する。判定のダイスは……4、1、5。
総火力、28+0+28=56。
【カウンター】
判定開始。3d6=10以上で成功。判定のダイスは……4、3、2。
カウンターは失敗した。
「食らえやオラァー!」
「チッ!しくったか」
バーンの攻撃!
リックは56のダメージを受けた。
リックのHP432→376
「私を忘れてはいないでしょうね?【ブルーガンド・コンビネーションバブル】」
【ブルーガンド・コンビネーションバブル】
判定開始。2以下が出るまで6面ダイスを降り続け、ダイスを降った回数+1回攻撃する。判定のダイスは……3、5、4、2。5回攻撃。
総火力、22×5=110。
「うぜえな。【パリング・ラッシュ】」
【パリング・ラッシュ】
判定開始。5d6を振り、4以上が出た回数×2割の披ダメージを軽減する。判定のダイスは……1、2、4、5、6。
リックは110ダメージを6割軽減し、44ダメージを受けた。
リックのHP376→332
「受けたな、この技を!このまま押しきらせて貰うぞ!【紅蓮剣・双牙】」
【紅蓮剣・双牙】
判定開始。6回攻撃。6d6の3以上で1回ヒット。6によるヒットはダメージを倍化する。【紅蓮剣】でダメージを与えた次のターンにのみ使用できる。判定のダイスは……5、3、3、2、1、1。
総火力、28+28+28=84。
「ほう?派生技か。やるじゃないか小僧。だがね、【タイラントスラッシュ】」
【タイラントスラッシュ】
判定開始。3d6が4以上12以下なら成功、そのターンの全ての攻撃を無効化する。また、成功失敗を問わず、目視できる距離にいる全ての敵に1回分攻撃する。判定のダイスは……4、4、4。無効化は成功だ。更に、斬撃の波動は攻撃としても充分過ぎる役割を果たし、辺り一帯を強烈に凪ぎ払った。
アクアのHP46→0
「きゃあっ!」
アクアは吹き飛び、木に叩きつけられて気絶した。
バーンのHP100→48
「ぐフぁっ!ぐぅっ……!」
バーンはごろごろと地面を転がった。だがまだ剣はその手から放していない。
「おわりだな。【スラッシュ】」
【スラッシュ】
ダイス判定なし。1回攻撃。
「ぐは……パ、【パリング」
「もう遅ェ」
バーンのHP48→0
半端な体制でスラッシュを受けようとした事で、バーンの剣は手を離れ宙を舞った。それが地に突き刺さるより先に、バーンは力なく倒れた。
「取るに足らん雑魚どもだったな」
リックは57のダメージを受けた。
リックのHP332→275
「ッ弓矢!何者か!」
リックは毒のダメージを受けている。
リックのHP275→265
またも弓矢が飛んで来る。
「バカめ。居場所の見当はついたぞ、出てこないなら食らえ【タイラントスラッシュ】!」
判定開始。3d6が4以上12以下なら成功、そのターンの全ての攻撃を無効化する。また、成功失敗を問わず、目視できる距離にいる全ての敵に1回分攻撃する。判定のダイスは……5、3、3。成功だ。飛来する矢は無力化された。更に、剣圧が辺り一帯を強烈に凪ぎ払う。
「私の妹と弟が、ずいぶん世話になっているようだな」
白花の弓士レイザック・イリスが現れた!
レイザック・イリス/下級弓兵
Lv18_Atk34_HP360/360
「生きて帰れると思うなよ……!」
「面倒そうな相手だ。俺の消耗もある。この場合確か、場当たり的対処よりも、武器破壊や拘束、足や目の部位破壊等による攻撃能力の剥奪による完封が得策……だったかな。そしたら目をやっちまうかァ。【フラッシュ・ボール】!」
【フラッシュ・ボール】
1d4出目×ターンの間、相手をスタン+パニック状態とする。スタン状態となった者は、行動が1d6の3以下で失敗する。パニック状態となった者は、1d4の2以下で自らを1回攻撃し、行動の機会を失う。
判定のダイスは……2。イリスは2ターンの間スタン+パニック状態となる。
「うわっ!目眩ましだと!?卑怯だぞ!!くっ!」
「愚鈍だな」
イリスのパニック判定。判定のダイスは……1。
イリスは勢い余って転倒した。
イリスのHP360→326
「……思ったより余裕かも知れん。【スラッシュ・ツヴァイ】」
【スラッシュ・ツヴァイ】
判定開始。失敗しない二回攻撃。一回攻撃辺り3d4で、9以上が出た回はクリティカル。その回の威力を2倍とする。判定のダイスは……7、10。総火力52+104=156。
リックの攻撃!無防備なイリスに渾身の二連撃が炸裂する。特に二撃目が痛烈な音を立てて決まった。
イリスのHP326→170
リックは毒のダメージを受けている。
リックのHP265→255
「……何をしに来たのかねぇ。【スラッシュ・ツヴァイ】」
「【カウンター】!」
イリスのパニック判定。判定のダイスは……4。
イリスのスタン判定。判定のダイスは……3。
イリスは動けない!【カウンター】は失敗した。
【スラッシュ・ツヴァイ】
判定開始。失敗しない二回攻撃。一回攻撃辺り3d4で、9以上が出た回はクリティカル。その回の威力を2倍とする。判定のダイスは……6、3。総火力52+52=104。
リックの攻撃!無防備なイリスに渾身の二連撃が炸裂する。
イリスのHP170→66
リックは毒のダメージを受けている。
だいぶ毒が回って来たようだ、早く治療しないと。
リックのHP255→235
「余裕だしおやつでも食べようね。むしゃむしゃ…」
リックは毒消し草を頬張った。苦くて不味い。
リックの中の毒は消え去った!
「このぉ……好き勝手してくれたな!もう怒ったぞ!必殺!【ファルコン・アロー】!!」
「最初から最後まで徹頭徹尾怒ってんだろうが、お嬢ちゃん。嫁の貰い手がないぞ?」
「うるっさいな!お前こそ盗賊なんてやってたらロクな死に方しないかんな!それこそ今ここで、誰にも看取られず!この森の腐葉土に埋もれさせてやろうか!!」
【ファルコン・アロー】
失敗しない三回攻撃。一回攻撃辺り3d4で、9以上が出た回はクリティカル。その回の威力を2倍とする。判定のダイスは……8、11、6。総火力34+68+34=136。
「くたばれェェ!!」
「女が何つー事叫んでやがんだかね?タイラントスラッシュ……いや、【スラッシュ・ツヴァイ】」
【スラッシュ・ツヴァイ】
判定開始。失敗しない二回攻撃。一回攻撃辺り3d4で、9以上が出た回はクリティカル。その回の威力を2倍とする。判定のダイスは……9、5。総火力104+52=156。
リックは136のダメージを受けた。
リックのHP235→99
「ふん。他愛ない。レベル差をよく考えて挑みたまえ」
イリスは156のダメージを受けた。
イリスのHP66→0
「うわぁぁっ!」
強烈な二斬撃にイリスは宙を舞い、どさりと地に落ちた。
冒険者達をやっつけた!
リックの勝利だ。
「さぁて!金目の物はあるかなぁ?」
リックは盗賊としての稼業にいそしむのであった。
ここは《メイザの森》……Lv20前後の熟練冒険者でも、踏み込めば生きて帰れる者が少ないという、人外魔境だ。現在その原因の一旦を担っているリックは、この森の外の世界から拐われ、この森でとある魔物に育てられた野生児だ。たまに人里にも降りているが、戦闘が大好きなリック(主に育て親のせいでバトルジャンキー肌である)は森で盗賊として生きる道を選んだのだった。
世間を騒がせている本当の盗賊達でもリックを見れば、リックの事を異端だと言うだろう。人間として見るには少し、戦闘に関するレベルが高過ぎる。
彼の名は盗賊リック。下位職ながら前人未到のLv30に踏み込んだ、強者だ。だが、世界は広い。この世界には中級職という凄まじい力を持つ存在もおり、更にその上には上級職という超越的存在も……。
今この世界は、【三柱の魔王達】によって脅かされている。それらは全てが上級職かそれ以上の力を持つ存在だと言う。リックはきっと旅立つだろう。戦いを求めて。好敵手を求めて。
エピソード1 おわり
あなた→リックに修正