7呼び名
「ファナデル家という事は…確かルリラルド帝国の侯爵家ですよね…?」
「あぁそうですね。よく知っていますね…」
ザード様はそう言うと驚いた様に目を見開いたので“王女として個人的に憶えただけです。”と言い流した。
そう、私は前世では全ヶ国語を習得し今世では王女として一応大国の伯爵位までは丸暗記している。
まぁ、最近では昔ほど多くの言語は無くなり大国は大体この国の様にエルダリア語を話している様だ。
「…と言っても私は四男なんで自由気ままに町で鍛冶屋をしてるんですけどね。貴族の仕事は兄上達がしてくれるので。昔は私も騎士をやったりしていたんですがね。この通り片目をやってしまってからは10年間鍛治職人をしています。3年前まで師匠の所で修行を積んだものですよ。」
鍛治職人をしているのか、でも森には薬草を取りに来ていたんだよなぁ…
不思議に思い頭を傾げていると。ザード様は私の考えをくんだ様に少し笑ってから答えてくれた。
「ポーションも売っているのです。」
成る程、納得。
にしてもポーションを作れると言う事は魔力操作が得意なのか。剣術も出来て鍛治職人も出来てポーション作りも出来るなんて多才だなぁ。
「…所でエリべハティー様が男装している時、何とお呼びしてら良いでしょう?あ、私の事はザード爺とでもお呼び下さい。」
ザード爺…うむ。良いな。爺ってほど爺さん感無いけど。
そうか、流石に呼び方も変えないと怪しいよね、うーん、どうしよう。エリハ?うーん。リハ…リハテ?
リハト。うん。これで行こう。
「リハトとお呼び下さい。口調も直さないとな…」
「分かりましたリハト様ですね。」
「そんな、敬語や様は結構です。私、いや僕の事は弟子か何かだと思って下さい。」
“しかし…”と躊躇うザード爺にもう一押しし見事様付けと敬語を剥奪することに成功した。
その後私の体調を気遣って下の部屋に降りていった。聞き耳を立てていたらカンッカンッという金属を打つ音がしてきたので恐らく仕事を少しする様だ。
ドライアドには森を余り開けられると心配だったのでまた会いに行くと約束し帰ってもらった。
ふぅ…一人になったことだし、どこか魔物が多い森に行き神力を消費しないといつまでもザード爺に迷惑をかけることになる。
ドラゴンとか倒しに行きたいけどドラゴンは後始末が大変だからな。
会話内容的に冒険者達が集まる酒場が有ったので話をこっそり聞く事にする。
しばらく聞いていると東の森でオークが増えて困っている様だ。ルリラルドの東の森といえば昔から魔獣の多い森だったま。魔獣は多いし広いしで危険だから余り冒険者が寄り付かないんだよな。だから定期的に騎士団が派遣されてたはずだ。
オークが大量発生で困っているとは都合がいい。程よく倒しに行くか。
オークだとギルドに売るなりザード爺に肉を提供するなりして恩を返そう。浄化せずにスパッと倒さないと。
そうと決まればすぐ行動。
と言うか夜に狩らないと昼間に少年がオークを狩ってたなんて見られたら大変だ。
『転移』
よし。転移で少し体が楽になった。このまま魔法を使いながら移動しよう。
浮遊魔法を使い空からオーク数体を見つけた。6対程いるが少し少ないが一気に倒す事にする。
『ウィンドアロー』でバシバシ急所を狙い倒していく。魔法を用いて血抜きをサッサとして空間に収納。こんな調子でオークを中心に様々の魔物を1時間ほど狩ったのだった。
倒した魔獣の数は100を超え、エリーいやリハトが狩り過ぎたと気付くのはまた後の事である。
そんな事に気づかずいい事したし神力消費して体調も良くなって一石二鳥である。
とか思いながらホクホク心ででリハトは眠りに着いたのであった。