5イケオジ
あぁ、大変。意識が遠のいて行く…せっかくドライアドが笑ってたのになぁ
ドライアドは私が少しでも楽でいられるよう地面に座り私の体を抱きしめている。
「エリー!しっかり!あぁ、どうしたものか回復魔法をかければ良いのか?どうしたのだ?私どうしたら…エリーを助けられるのだ⁉︎エリーが…エリーが…」
泣きそうなドライアドの頭に中々力の入らない手を持ち上げ頭を撫でる。
「…サラサラですのねぇ…」
安心させる様に笑ったが大分失敗したようで、反対効果になってしまったようだ。
「エリー私どうしたら良いの?おねがい、教えて!妾はあなたの事大切なの。」
ドライアドからのいきなり告白に喜びを覚えつつ私の体調の解決策をどう伝えたら良いか迷いながら言葉を選ぶ。最低限で言わないと言葉がなかなか発せられなくなっている。そろそろ意識飛ぶなぁ
「魔法、ダメ。神力があまり無いところ…私を…目立たない、見目にして…人間の所に。」
「わかったわ!取り敢えず服装をここに着たときのやつに変えて…どうやら森の端に魔力の高い人が居る。恐らく妾の姿は無理でも声ぐらいなら聞こえるはず。その人に案内をたのむ。」
このままだったら恐らく大丈夫だろう。流石何百年と生きているだけある、しっかりしているところもある。
そのまま私は意識を手放した。
****
次に私が目を覚ましたときまず目に入ったのはただ広い空では無く木で出来た天井だった。
私はローブだけ脱がされそのままベットで眠っていたらし。
起き上がろうと思ったけど体に力が入らず首だけ動かして部屋を見る。その拍子に額に乗っていた濡れタオルが落ちた。全体的に木で出来ているようで温かみがある。広いとは言えないが程よい広さの部屋だった。
「エリー!起きたのか!」
先ほど回した首とは反対方向にドライアドがいた。
どうやら運良く森に居た魔力量の多い人間はドライアドの声を聞いてくれたらしい。
ドライアドはずっと私の手を握っていてくれたようだ。お礼を言いたいのに喉が乾燥して言葉わ発するのに失敗した。その事に気が付いたドライアドは木で出来たコップに水を注いでくれた。魔法を使わないよう気を遣ってくれていらしい。
まだハッキリとしない視界と力の入らない手のためドライアドが飲むのを手伝ってくれる。
少し飲んで口を離し、笑えないのはもう分かっていたので真顔でお礼を言った。
その時部屋の隅にある扉がノックされた。そしてゆっくりと開けられた扉から厳つい、右目に眼帯をつけた50代くらいの何となく騎士っぽい引き締まった肉体を持つイケオジが現れた。服装は私に似ているのに怪しさが無い。何なのだろうかこの差は。ローブが悪かったのか。ローブがない方が自然だな。あ、でも髪がなぁ…まぁ、良いや。
綺麗なおじさまだなと思いながら、無言で意思が伝わったのかドライアドに背を支えてもらい少し起き上がった。座っていてもフラフラするのは重症だな。
起き上がる私に目を見張るおじ様恐らくこの人が助けてくれた人だろうドライアドに目で確認すると頷いたのでそうだろう。以心伝心…凄い
「初めまして。その、私を、助けてくれた方でしょうか?」
綺麗なおじさんはそっと扉を閉め特にこちらに近ずいて来るわけでもなくその場で話すようだ。紳士的だ。
「あぁ、そうですね。目が覚めたようで良かった。森に薬草を摘みに行っていたら、何か光に抱えられた人が来たので、何かと思えばドライアド様からあなたについて説明していただき家に連れ帰ったというところです。」
成る程。これは幸運だ。すごく良い人だ。
さて、あの森の近くにいたと言うことはここはルリラルド帝国だろうか。
「こんな身元もわからない娘を助けていただき感謝します。どう恩を返したら良いものか。」
「いえ、そんな事別にお気になさらず。どうぞ体調が戻るまでこの部屋をお使いください。まだ体調は優れないようですがやはり医者を呼びましょうか?ドライアド様に止められたのですが…」
「ご心配に預かり申し訳ありません。私は大丈夫…では無いのですが。あまり姿を人に見られるわけにはいけないのです。」
「確かにドライアド様にも言われましたがすみません。私は大丈夫ですか?」
何処までも紳士的な彼に驚きながらこの人は信頼出来ると勘言っている。顔は強面系で少し怖いがエドガーの仲間に比べるとなんて事ない。まぁ、彼らも怖くはなかったが。
「大丈夫ですよ。私エリべハティーと申します。」
その瞬間彼は凍りついた。…なぜ?
「…エリべハティー様それは名乗ってはいけない案件です。その目を見張る見目と名前で私に身分がバレてしまいましたよ。」
「あら、私そんなに有名ではないですのよ。」
そうだろう。国民に姿を見せたことは無いし私の存在は伝承だけで幻の姫と呼ばれていたほどだ。名前は勿論、髪の色や瞳の色は公開されていたかもしれないがそれだけの薄い話の会話のネタにもならい私の情報など直ぐに目の前の人と考えを巡らせるのは難しいだろう。
「有名ですよ。横暴な王妃に追い詰められ生きる事を諦めざるおえず死んだ悲劇の姫として。他国な話しでしたのでこの情報が出たのは昨日ですが。」
「まぁ、早いのですね。あ、でもルリアルドとは同盟国だから情報を回すのが早かったのでしょうか。」
成る程確かにその情報が今回っていたら直ぐに思いつくよね。バレっちゃった。
「申し訳ありません。厄介な奴を拾わせてしまいました。ですがエルダリアの第一王女は死にました。ここに居る似たような女とは何の関係もございません。」
でもこのままの見た目だと色んな人にバレてしまいそうだ。変装しないとな…
でも女のままだとバレちゃいそうだしな…性別変える魔法ないのかな。
「…男になるには…」
ボソッと呟きが漏れたかと思えばここで今まで黙って見守っていたドライアドが食い付いた。
「え!エリー遂に男の子になるのか⁉︎そんな…ん?、…いえ意外とありよのう。エリーなら間違いなくどんな格好をしても可愛いし、それにその変装が運命の王子様にバレて…うん。良いの。」
何だか一人で納得していらっしゃる。