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3ドライアド

 

 じきに、エドガーたちが私の命令通り私は死んだと広まるだろう。私が死んだとしたのは正妃からの追手を防ぐためだ。父である陛下にも誰かに追われる人生などゴメンだ。だから死んだ。と言ってある。


 身を隠しながら国を出る為、気配を魔法で消し走り森に入ったところで足を止めた。

 荷物は空間魔法を使って収納しているし身体強化の魔法を使って走っていたため全然疲れは溜まっていないが足を止めたのには理由がある。

 してその理由とは、転移する為だけ。

 と言っても成功するかわからない。なにせ転移は一度訪れた所しか飛べないのだ。今世の私はなにせ箱入りだった為王宮と自分の屋敷しか歩いたことがない。町は眺めたことしかない。だが、前世の私は魔王がどこに急に現れるかが分からなかったため、いつ現れても直ぐ飛んで倒せる様に幼い頃から世界各国を訪れていた。特に世界中の森をメインに歩いたものだ。魔王は森に魔王城を作り現れるからだ。前世の訪問は訪れたにカウントするか分からないが一度試してみることに悪いことはないだろう。

 ついでに転移の魔法は神力が無いと使えない。前世の私が作った魔法だ。つまり人に見られるわけにはいかないから人気のない森まで来たのだ。


 今から転移するのは、恐らく一番魔獣が居ないと思われる、私が魔王を完全に消滅させた森。

 魔王を消滅させる即ち魔王城を完全に浄化させる事つまり、神力を使い大地の奥底まで浄化を浸透させないと魔王城は消えない。魔王城がある限り何度でも魔王は復活する。が、その浄化の魔法は途轍もない魔力が必要とするため歴代の神力持ちは命を引き換えにしても使えなかった魔法、私も魔王を消滅させたあと魔力がカケラもなくなり死んだのだが。そう言えば魔王城が消えるのを朧な意識で見ていたけど確かその下に白い木が劇的なスピードで成長していたなぁ…浄化の影響かな


 取り敢えず私がこの森に長く居座ると魔物が減り過ぎるからさっさと転移できるか試そう。え?何で魔物がへりすぎるとだめかって?

 それはですね、魔物も食料の一つだと言った理由やうぅん…説明が難しい、光あるところに闇あり。闇が弱くなれば光もまた弱くなる。という事です。まぁ世界のバランスです。昔の書物で神が降臨なさった時に仰られた言葉だ。あ、この話関連で神が降臨なされた時魔法で世界を救われたんですが、その時に神様の魔法や魔力がキラキラ輝いていたのと私たちの魔力の特徴が似ていたから神力という恐れ多い名称になったそうです。


 まぁ、無駄話はここまでで、転移します。無詠唱でも前世は行けたけど心配だから詠唱する。

 深呼吸し転移する場所の位置を意識して……


「転移」


 途端視界がぼやけ、瞬きをすると目の前の景色が変わっていた。目の前には死に際に見た白い木の幹が見えた。どうやら成功した様だ。

 そりにしても700年も経つとこんなに大きくなるのか…上を見上げても頂点が見えない程だった。


 あれ、ここには如何してまだこんなに神力が残っているんだろう?700年も経ったのに…

 この感じ前世で訪れたドライアドの森に似ている様な…

 そんなことを思っていると目の前の白い木が光を帯び、そして強い風が吹いた。その拍子にローブのフードが落ち、髪が外に出て風に揺れるのを手で抑えた。そして静かに風はやむ目の前には…


「何か変わった者が来たかと思えば、もしやマリアか?この森を神聖な魔力で満たし妾が惹かれてやってくるなり魔力切れで死んだ…と思っていたんだがのう?」


 目の前には艶やかて豊かな緩いウェーブがかったの緑色の長髪で人外じみた美しさを持つ昔一度だけドライアドの森であったドライアドがいた。


「…相変わらず、お美しですわ。ドライアド様」

「お主にだけは言われたくない言葉じゃのう…」

 何を言っているのだ、と思ったが取り敢えずこの森にとめさせてもらうため挨拶をしておくべきだろう。


「今世では初めまして。マリアの生まれ変わりで今はもうエリべハティー・アリーヤ・エルダリアと申します。今夜この森にとまらせていただいてもよろしいでしょうか?」

「構わないが、成る程転生したのか。にしてはエリべハティーというところ以外見目も名も変わっておらぬのだなまぁ良い。泊まってゆけ。この森は前世のお主が植え付けた神力溢れる木に妾の加護と、神力に溢れかえっているし安全だしのぅ」

 そう優しげに微笑んだドライアドは指を一振りし白い木成らぬ神力が確かに溢れ出ている木の前に明らかに素材の良い全体的に白いベットを作ってくれた。木で出来たベットに白い布団と言うのはなんとも乙女的だ。ここで寝ろという意味らしく有り難くお礼を言い使わせてもらうことにした。

 靴を脱ぎローブも脱いで今日の所は休もうかと思って白色の掛け布団に手をかけた所ドライアドから強い視線を感じちらっと見ると悲しそうな顔をしていて驚き急いでドライアドに向き直った。


「そ、そのどうかしたのでしょうか⁉︎」

 そう問いかけるとドライアドはふるふると震えまたもや指を動かした。そも魔法で作り上げられた物はフワリとドライアドの腕に収まった。


「お主…お主という者は…この森に染み渡った神力によりお主の前世の頃の生い立ちを見た事が有るが…まさか今世でも使命を果たすために生きてきたというのかぁぁぁぁぁぁぁああああ!」

 その発言にはギョッとした。そんなことが出来るのか。

「まさか今世でも己を自ら可愛く見繕う時間が無かっと言うのか⁉︎前世では魔王を倒すため毎日勉強か仕事かで色恋も乙女もない人生だったのに⁉︎その可愛げのない服は何なのじゃ‼︎顔とのギャップが凄いわ!!今世でもそんな悲痛な人生だったのかぁぁぁぁぁああああああ!!!」

 そう言いながらドライアドに途轍もなく清楚で可愛い白い生地に様々な刺繍が施されたネグリジェを突きつけられた。


「お主は今日これを着て寝るのじゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」


 ドライアドは優しいのであった。





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