3旅立ち
「…分かりました。では、私は早々にこの国を離れた方が良さそうですね。」
この手紙には父が隣国へ訪問しに行って正妃に国を任せていたら、義母が私に有りもしない罪を下し騎士団が明日私を殺すために捉えにくるとい報告書だった。父はまだ隣国に居て正妃を止めることが間に合わないから私には逃げて欲しいらしい。
「…私が死ぬのが国のためで運命なのなら私は死んでも良いのにな…」
ボソッとつい本心を口走ってしまいい急いで口を閉じる。前にこういう事を言ったらエドガーに怒られたのだ“命を大切にしないといけません!貴方が生きているだけが陛下の支えになるのです。今は亡き貴方様のお母様の分もエリベハティー様は生きるのです!」…と。
また怒られるかもと思いエドガーの方を見ると怒るどころか今にも泣いてしまいそうだった。慌てて駆け寄ると震える手でエドガーが私の肩を掴んだ。
「死んではいけません。姫様が死ぬなど…考えてもいけません。今の王妃はもうダメだ。陛下は優しいから。いや、王妃の愚行を全てを把握していないから。あの女を野放しにして居たらこの国は民は荒れてしまう。民はいま、あの横暴な王妃に嫌気がさし王妃が街に降りると今やもう誰も外に出ないのですよ…」
…民が正妃を嫌っているのは知っていた。一ヶ月に数回何か不便はないか街の声に耳を傾けたとき言っているのを聞いた。だけどここは私の出る幕ではないだろうここは陛下と国の重鎮がなんとかしないといけない。陛下が犯した間違いなのだから陛下が正さないと民は私に付くばかりで陛下から離れていくだろう。
「エドガー、リヒト、貴方たちが陛下にこの国にとって正しい道を指してあげてくださいな。国中のの意見を集め正すべきものを陛下に示しなさい。そしてのちの王へつまり王太子殿下を支えてあげてくださいね。私は今日には国を出ます。」
二人は目を見開いてエドガーは口をパクパクしている。
「い、いけません。私はエリべハティー様を守る者ですので、貴方様の旅路に着いて行きます。」
「いいえ、私は一人で行くわ。大丈夫よ。知っているでしょう?毎日貴方と様々な鍛錬を積んだのだから。エドガーこれはそうね、命令よ。任務をしっかり果たしなさい。」
エドガーの髪と同じ茶色の瞳をじっと見つめエドガーは涙に揺らぐ瞳を打ち消すように忠臣の礼をとった。その行動に安心し、振り返りここでやっと食事を始めるのであった。実はもう少しでお腹なるんじゃないかとヒヤヒヤだった。
ご飯を食べているうちにリヒトには私の信頼している知り合い(暗殺者しかいない)に私の事と命令を伝えて貰いエドガーには旅道具を揃えてもらっている。
今日、日が暮れてからひっそりと出て行く事になった。
◇◆◇◆
「外で、皆が待っています。」
「ええ」
夕暮れ時、あと少しすれば辺りは闇に飲まれるだろう。
私は動きやすい様にかつ怪我や寒くならない様にとエドガーが用意してくれた黒のカッターシャツに黒の長ズボンに大きなフードのついたローブを被っていた。これまた黒だ。ブーツも黒だから全身黒になる。凄く怪しい…
外へ繋がる大きなん扉の前靴を履きおえ、スッと背筋を伸ばし自分史上最高に綺麗なお辞儀をした。
「エドガー今まで、本当にありがとうございました。貴女ならきっと、国を正しい道に導ける。だって前暗殺騎士団長で私の第二の父親だもの」
こう言う時は笑いたいのにもう笑う事を忘れた顔は上手く笑ってくれない様だ。
エドガーは密かに涙を流し、私は屋敷の門の前で皆から見送られ森に向かい走り出したのだった。