転生早々ピンチです
さて、どうしたものでしょう
目の前には盗賊風の男が12人、どうしましょう何とかしなければなりません
「ちょっと近寄らないで下さい、臭そうです」
私は相手の反対方向へ全力で逃げます、三十六計逃げるに如かずです
罵声を叫びながら3人ほどが追いかけてきます。
必死で逃げますが女の私では体力に差があり追い付かれるのも時間の問題です
「仕方が無いですね、女神様に授かった魔法を試しましょうか」
「いでよ!m-16自動小銃!」
少し光ったと思ったら手元に目的の物が出現します
そう、私が願ったのがm-16自動小銃と言われるアメリカ陸軍で広く使用されている名銃
アサルトライフルなので連射も可能なのです
「おめぇさん魔法術者か」
「てめぇら気をつけろ」
私が銃を手にするとぐへへ星人達が私を警戒して足を止めました
「おじさん達、私に手を出すと一生歩けない体になりますよ!」
相手に銃口を向けて警戒しますが、何やらおじさん達の様子がおかしいです
「お、おいあれ・・・」
「何でこんな所にいやがるんだ」
こちらを指差しながらとっても怯えた様子です、17歳の女の子相手にする態度じゃありません、失礼です
「ぐるぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっ」
後ろを振り返ると体長3mはあるでしょうか、巨大な牙に大きな目が6つ少し猫背のモンスターとした形容の無い生物がこちらを睨んでます
とってもとってもやばそうです
「お、おいあれはキングベアーだ4級冒険者のパーティーでも苦戦する相手だぞ」
「最悪だ、こんな商いに身を落とした罰なのか・・・」
盗賊の人たちの顔が青ざめてます、キングベアーとかボスみたいな名前でやばそうです
「ごおおおぉぉぉぉぉぉぉ」
モンスターが唸ると私目掛けて突進します
私は安全装置を解除して相手の胴体目掛けて発砲します
「くらええええ!!!」
「タンタンタンタンタンタンタンッ」
乾いた音が音がして、硝煙の匂いが私の鼻を擽ります
モンスターがぐおーっと唸り声を上げてその場に倒れました
「ふぅ~5.56mm弾では不安だったのですが何とかなりましたね
さてと、おじさん達?まだやる?」
私は銃口を盗賊たちに向けるとニッコリと尋ねます
「おめぇ何者なんだ」
銃口を相手から外す事無く返事をします。
「私?どうみても普通の女の子だよ」
「「うそだ~~~~~~~」」
盗賊達が全員でハモってます、失礼です、撃ち殺しましょうか?
「俺はおめぇの武器に見覚えがある、神人だな?俺たちと取引をしねぇか?」
盗賊のリーダー格らしき人物が私にそう提案をすると
私は首を傾げながら答える
「え、神人?何の事?私は普通の女子高生だよ」
「へっ、秘密っていう訳か、まぁ良いここに置いてある荷物をやるから見逃してくれねぇか
まさか神人とは思わなかったんだ、なぁ頼むよ」
リーダー格らしき人物が両手を合わせて申し訳無さそうにお願いしてくる
「神人神人って何の事ですか、私は普通の女の子ですよ?」
私は盗賊に情けを掛けるつもりは無いので足でも撃って動きを封じようと思ったその時
20人程の集団が馬に乗ってこちらに駆けつけてくる
「お前達が通報にあった盗賊だな、こんな小さな女の子を襲うなど恥をしれい!」
先頭の司令官らしき男性が盗賊に叫ぶと、素早い手際で盗賊達を囲みます
「い、いやむしろ俺らが襲われそうになってたんだが・・・」
「冗談は顔だけにしろ、この状況でお前達の事を信じるバカが何処にいる」
「い、いやだってよぉ・・・」
盗賊達は涙目でこちらを見ます、私は知りません自業自得です
「しかたねぇ、てめぇら腹を括るぞ!かかれ~~~~~~」
短剣や長剣を手に取り一斉に謎の集団に襲い掛かります
「本性を現したか、ひっ捕らえろー!」
馬に乗った20人程の謎の集団は一分程で盗賊を無力化・拘束してしまいました
強いです!かっこいいです!
「くそー何て日だ・・・」
「キングベアーに化け物女、そしてこいつらか・・・」
化け物女って私の事?首を傾げると司令官らしき人物が私に声をかけてきた
「君、大丈夫か私は王国軍司令官ジョン・ウェーバーと申す
名前を聞かせて貰っても良いかな?」
「ん、別に構わないよ、私は高梨ここあと申します。普通の女子高生です」
40代半ば程の髭の生えたダンディーな人が首を傾げている
「女子高生?それは学校の事かね?まぁいい、何で危険な街の外に一人で居るか教えて貰っても良いか?」
「私は・・・」
何て答えたら良いのでしょう、刺されて死んで転生しましたでは通じるはずもない
「覚えていないのです、私は何でこんな所に一人で居るのでしょう?
ジョン・ウェーバーと名乗る人物は私のm-16自動小銃とその横で倒れているキングベーアに目をやると
「このキングベーアはどうしたのかね?」
「私が倒しました」
「は?」
「いや、だから私が倒しました」
ウェーバー司令官は少し目が笑ってます。仕方ないですね今後の事もありますし証明しましょう
「分かりました証拠を見せます、少し離れてください」
皆が離れるのを確認するとキングベアーの屍骸に向けて全力のフルオート射撃を行った
「タンタンタンタンタンタンタン!!!」
銃の弾による衝撃波と発砲音で空気が震える
ある人は怯えある人は腰を抜かしてる
「どうです?信じてくれました?
20秒は撃ち続けたせいか、キングベアーはかなりグチャグチャになっていた
「お前・・・神人か?」
「だからさっきから何なのですか、それは」
神人神人と失礼な人達です
「すまないが、王都にある司令部まで来てもらえないか、悪い様にはしない」
このまま草原に放置されても困るのでうなずく事にします。
「分かりました、ただし手荒に扱ったら怖いですよ?」
ウェーバー司令官は笑いながら答える
「分かっている、私も命が欲しい物でね
悪いが私の後ろに乗ってくれ」
指を差した先には馬が居ます
流石ファンタジーです、自動車化はされてないのですね
馬に乗るまでの間に弾倉を外して確認してみると、何故か一発も弾が減ってない
「あれ、おかしいですねそういえば不思議な疲労感が...」
もしかして私の体力か何かが弾に変換されているのかもしれません
「まぁいいです、弾薬の心配が無くなるのは助かります」
「何をぼそぼそと独り言を言っている、さぁ行くぞ」
私は馬の後ろに跨ると新しい世界に胸を馳せます
異世界の王都、どんな所なのでしょうか、わくわくが止まりません