高梨ここあ先生になります
「さて、行ってきますね」
一週間寝込んでいたせいで気がついけば約束の日になってました
「それにしても折角一週間遊べるチャンスがあったのにベットで過ごすなんて・・・」
「ここあ様、今度この前食べた料理屋を爆破しましょう」
「やめてください」
二人に見送られながら依頼にあった軍学校の講師に行きます
講師と行っても臨時講師なので数日で終わるはずです
「ここが学校ですね」
流石軍の学校だけあって高い塀に囲まれた大きな校舎です
取り敢えず、入り口の守衛に話をして中に通してもらう
玄関廊下と抜けて職員室へと向かった
「失礼します、ギルドからの依頼で参りました高梨ここあと申します」
私は失礼の無いように日本式の挨拶をして中になった
しかし教室内がざわついている
「誰だあんな少女を呼んだのは」
「いや俺じゃないぞ」
「バカ、あれが噂の真紅の乙女だぞ」
「あんな可憐な少女が・・・」
耳が良すぎるのも考えものです。しかし私は怒りをぐっと堪えます
「あの~話通っていませんか?」
私は首を疑問な顔を浮かべながら言うと奥から背の高い紳士な男性がやってくる
「失礼しました私は当校の校長を務めておりますグレンと申します」
「これは、ご丁寧に私は2級冒険者の高梨ここあと申します
ご依頼に応じ参上致しました」
私は懐に閉まっている2級冒険者の証を掲げながら挨拶を返す
「依頼内容はここの講師という事ですが、具体的に何をしたらいいのですか?」
まさか座学で冒険者は招かない、となれば実地訓練のはずです
「直接ご覧になってもらったほうが早いですね、こちらへどうぞ」
そう言うと校長先生は歩き出した
暫く歩くと別棟にある大きな建物についた
「こちらです」
建物に入ると、そこは複数の生徒同士が1対1で戦っている
魔法や木刀を使いながらなので本格的だ
「凄いですね、それでこちらは?」
「はい、当校の訓練施設です
この中は加護の魔法によって軽い怪我ならすぐに治ります」
凄い、魔法って何でもありだ
暫く訓練を見ていると、校長先生が喋りだした
「ここあさんにはここで生徒を鍛えてもらいたい
多少手荒でも構いません」
「なるほど、承知しました」
「現在、1年生の生徒が訓練中です
ここあさんには1年生を担当してもらいます」
そう言うと校長先生は手を叩いて生徒を集めた
「皆、静粛に今日からお前たちの武術顧問のここあ先生だ
さ、ここあさん皆に挨拶を」
集まった者たちが全員静かに私を見ている
こんな少女が顧問って疑問に思わないのでしょうか?
流石軍人候補といったところですね
「わ、私が今回武術顧問に呼ばれた高梨ここあと申します
よ、よろしくおねがいましゅっ」
噛んだ、噛んじゃったよ
仕方ないですよ、目の前には50人前後の生徒達、緊張もします
「プッ、あれで講師?せいぜい中等部の生徒だろ」
「13歳位か?俺らより年下じゃないか」
最強の聴力を持つ私はどんな小さな小声でも聞き逃さない
「さて、貴方達私みたいな少女が武術顧問だ何て言っても貴方達は納得しませんよね
ていうわけで諸君ら全員で私に掛かってきなさい
武器魔法何でも使っていいですよ、あ、私は勿論手加減しますから安心して下さいね?」
13歳と言われ腹を立てた私は生徒を挑発する
私に疑問を持った状態では言う事を聞かないでしょうからね
生徒達がザワツイている
私の提案に生徒が動揺しているようだ
「グレン先生構いませんよね?」
私は隣に居るグレン校長先生に聞いた
「皆よ聞いたか、ここに居るここあさんは冒険者で4人しか到達していない2級冒険者だ
お前達の良い訓練になるだろう」
そんなこんなで訓練(私の腹いせ)を始める事にします
「皆さん中央に集まって下さい」
生徒全員を中央に集め準備する、数えると全部で52人いるようだ
「ルールは至って簡単、私が気を失うか、貴方達全員が戦闘不能に陥れば終了です
私からは手加減しますが、貴方達は私を殺す気で掛かってきて下さい」
私は挑発に挑発を重ね、生徒達の目つきが強張ってきた
「さてこれは実戦を想定した訓練です、ていうわけで始まりの鐘はありません
何時でも掛かってきなさい」
そう言うと怒りに燃えた生徒達が襲いかかってくる
先頭の生徒は正面から、後方の生徒は回り込んで後ろからやって来る
この辺りの連携は流石ですね
「この野郎舐めやがってぶっ殺してやる!!!」
「何が冒険者だ俺ら軍人に叶うものか!」
等と意気揚々としある者は武器ある者は魔法を使い襲いかかってくる
流石に武器は使えないので私は麻酔銃と徒手空拳で戦う
数分後、そこは死屍累々であった
「グッ、化物・・・」
「何だよあの速度反則だろ・・・」
半数の生徒は麻酔銃で眠らせて残り半数は私が素手で殴り倒した
眠った生徒を叩き起こすと私は今一度中央に集めた
「お前たち!その程度で栄えある軍学校の生徒とは片腹痛いです!
今日からお前たちはクズです!ノミ以下の存在です!
私が今日から一週間でその性根を叩き直してあげます!返事は?」
「「りょ、了解しました!!!!!」」
「私からの声かけは全て頭にサーを入れるように、もう一度!」
「「サー!了解しました!!」」
「声が小さいもう一度」
「「サー!!了解しました!!!!!!!」」
その日から生徒達の地獄の訓練は始まった
「おい、お前何ていう名前でしたっけ」
「サー!ヤングですサー!」
「確かお前は貴族出身でしたね、しかしお前はここに居る限り
貴族の尊厳はありません、ノミ以下の存在、
道端の馬のフン程の価値もありません
理解しましたか?」
「サー!私はゴミクズ以下の存在です!
しかし帝国に対する忠義は本物です!」
「私は今帝国の忠義に付いては説いていないですよ」
そう言うと生徒のおしりを蹴り飛ばす
すると生徒は痛いのを堪えながら立ち上がる
「サー!失礼しました!」
次の日も
「おい、お前!まだ5時間しか走ってないですよ、何バテるのですか?」
「サー!失礼しました!」
するとまた別の生徒が倒れた
「おい、お前私の許可なく何倒れているのですか!」
私は倒れた生徒のお尻を蹴って叩き起こす
「サー!もう限界です・・・」
すると私はまたお尻を蹴った
「お前の喋って良いのは肯定だけだ、否定はいりません」
するとまた蹴られるのが怖かったのが涙目の生徒が走り出した
次の日も
5人1組で私と戦う実地訓練をした
簡単な怪我が治るという事なので
私はゴム弾を使用したm-16アサルトライフルで生徒達を相手した
「このぉぉぉぉぉぉぉ」
「ちくしょおおおおおお」
「やってやる!!!!!」
5人一斉に襲いかかってくる
流石に軍学校の生徒という事もあって統率が取れている
しかし
「真正面から敵に向かってくるバカがありますか
魔法を打つなら私の死角から打ちなさい
遅い、もう少し素早く動きなさい」
私は生徒達にアドバイスを送りながら一人ひとり倒していく
主にはm-16(ゴム弾)で下半身を撃っている
ゴム弾とはいえ当たればかなり痛い
程なくして52人全ての生徒を倒した
「お前たち何の成長もありませんね、今日から三日間寝ないで戦闘訓練です」
「「ええ~~~~~~~~」」
そうこうしている間に約束の2週間が経った
私の持つCQCの技術、サバイバル技術の全て、そして生きる為の心得
全て叩き込みました、
生徒達の顔は2週間前とは別物だ
「お前たち、良くぞ私の扱きに耐え抜きました
お前たちはノミ以下の存在から人間並になったのです
そして今後訓練を重ねる事によって無敵の兵士へと生まれ変わります
私はこれで終わりですが、お前たちとの絆は死ぬまで切れません
私とつながっている限りお前達は無敵です、何者にも恐れる物はありません
今までご苦労でありました」
私は挨拶を終えるとほとんどの生徒達が泣き出し号泣した
「先生~~~~今まで有難うございました!」
「先生の生徒である事を誇りにもって生きていけます!」
「先生行かないください~~~」
泣き崩れる生徒達を後にして私の依頼は終わった
これが後に語られる第55期生卒業者で編成された帝国最強の部隊の誕生である