高梨ここあ魔族を退治します
交通手段のない私達は門の西へ出るとてくてくと歩き出した
「馬車で3時間かかる所徒歩だとどのくらいかかるのでしょうか・・・」
「そうですね、およそ15時間程と言ったところでしょうか?」
ラプターが平然と答えてくる
「じゅ・・・じゅうご・・・やってられません!」
「しかし、ここあ様今は例の問題のせいで西側への公共馬車は出ておりません
徒歩で行くしか・・・あ、私が背負いましょうか?」
「それは丁重にお断りします・・・」
17歳にもなっておんぶは、この高梨ここあプライドが許しません
「ちょっと試してみたいことがあります、止まってもらえますか?」
「承知しました?」
私がさぼると思ったのかラプターが疑問系だ
このまま15時間も歩く訳には行かないし、今後の移動手段も困ります
ていうことで
「いでよ!高機動車!」
今日はまだスキルを使用していなかったので少しレベルの高いものを試みてみる
前回戦車は無理でした
ポンッ!という音と共に目の前にジープのような軍用車両が現れる
「よし!成功です!陸上自衛隊が誇る高機動車両です!」
荷物も沢山搭載でき、高速起動が可能な優秀な車だ
「ここあ様、これは自動車というものでしょうか?」
「ラプターは地球の物を知ってるのですか?」
「はい、一応教科種目に地球の歴史という物がありましたから」
地球の歴史・・・きっと私達の知ってる歴史と違って本当の真実が書いて有りそうです
「なるほど、それなら説明は不要ですね、乗って下さい、この子でいきます」
ラプターが不安な顔をする
「あのーここあ様運転経験はお有りですか?」
私の運転について心配している様子だ
「もちろんですよ、グランツー○スモで鍛えたドラテク見せてあげましょう」
「グランツ・・・?何だか分かりませんが経験がお有りなようで安心しました」
流石のラプターもゲームの事は知らないようだ
「それでは行きますよー」
アクセルを踏み込むとディーゼルエンジンが唸る、十数秒も経てば先程居た場所が見えなくなってしまった
「凄いです、ここあ様!これならすぐ着きますね!」
「これで移動手段は確保できました、いつかはヘリか戦闘機でも欲しいですね」
「高レベルの物を呼び出すにはまだここあ様のレベルが足りないかと」
レベル?そんな概念がこの世界に?もしかして前回戦車が無理だったのは・・・
「レベルが上がれば呼び出せる物を増えるのですか?」
「はい、現在のここあ様ですと、この自動車が精一杯の様子ですね
レベルが上がれば最終的には核兵器も可能となります」
核!?流石にそれは禁断の兵器です
「なるほど・・・現在私のレベルはいくつくらいなのでしょう」
「確認方法を知らなかったのですか?お教えしましょうか」
私は車を停める
「まずは、ここあ様意識を集中してステータス表示と唱えて下さい
「はい」
ラプターの言う通り試してみる
「あ、何だか四角い表示が出て、今の私のレベルは22ですね」
「そうです、それがレベルです、その下に力を表すSTRから始まり
防御のVIT速度のAGI知力のINT運のLUKと続きます」
「なるほど、大体私の数字は1000は超えてますね、LUKだけ100しかありませんが・・・」
今まで悪いことが続いたのはこのLUKのせい!?
「一概に言えませんが、その可能性が御座いますね
しかし、ここあ様勇者や英雄クラスの冒険者でさえ数値は
500を超えるのがやっとだと言うのに流石です」
私ってそんなに強かったの?ただスキルで色々呼び出せるだけかと思ってました・・・
「今後対人で武器の使用は控えましょう」
「それがご懸命でしょう、今後レベルが上がればまだまだステータスも上がりますので」
まだ上がるの!?何てチート体質、転生管理者様ちょっとやりすぎですよ
「ちなみにラプターのステータスはどのくらいなのですか?」
「私ですか?そうですね現在レベル92でステータスはここあ様の4.5倍程と言ったところでしょうか」
「え・・・」
「すみません、こんなひ弱なメイドで」
ラプターは申し訳なさそうに腰を折り謝ってくる
美人メイドがこの動作をすると本当に様になります
「弱いって私より強いじゃないですか!」
「今のところはですね、ここあ様のレベルが上がれば私なんて道端の雑草以下の存在になりますよ」
それはそれで困る、けど戦車や戦闘機も欲しいのでレベルはもう少し上げたいです
ふと、スマホで時計を確認すると午後2時を回っている
現代地球と同じく、こちらも24時間のようだ
「暗くなる前に到着したいので行きましょうか」
「承知しました」
「それでは出発しましょう」
二人で車に乗り込むと目的地へ出発する
美人メイドと軍用車両、何とも似合いません
アクセル全開で急いできたおかげが、ものの30分で目的地に付いてしまった
「さて、頂いた地図から見るにこのあたりのはずですが」
低速で森の中を走る、元々街道筋だったのか道路はきちんと整備されていた
「ここあ様、この先にアルシュ村とい場所があります
今日はもう遅いのでそちらで一泊しませんか?」
「そうしましょうか」
ラプターの提案に乗り村へ向かうことにする
それにしても静かだ森へ入ってから4.5kmは走っているのに鳥の鳴き声すらしてこない
「ラプター、この辺りは魔物や動物などは居ないのでしょうか?」
「いえ、そのようなはずは、この辺りはウルフやジャイアントベアーの生息地のはずですが」
違和感を感じながら車を走らせる、やはり静かだ
「ここあ様、後方から大量の魔物がこちらへ向かっております」
「え?ラプターの索敵スキルですか」
「そうです、数は、100、200,どんどん増えてます」
ラプターの顔を見ると険しい顔で後方を見ている
普段のラプターはまさに才女と言った感じで自信に満ち溢れている
その彼女がこのような不安な顔をする何て
「ここあ様、大量の魔物も脅威ですがはるか後方に強大な魔力を感じます
恐らく例の魔族の可能性が」
交戦するのは良いですがこの森では不利だ
私はMG-42と言われる重機関銃を取り出す
「ラプターこれで後方へ射撃して追い払って下さい
道が悪くスピードが出せませんので、森を抜けるまで時間稼ぎして下さい」
「承知しました」
ラプターは慣れた手付きで後方に備え付けると銃撃を開始した
ガガガガガガガガ!とすさまじい銃撃音が森へ響く
「ハハハハハハハッ食らいなさいーーーーーー」
とっても楽しそうですね、ラプターさん
後方を確認するとジャイアントベアーやウルフ、それに空にはワイバーンまでいる
私のスキルで生成した武器は熱で銃身が歪むこともない
「その調子ですラプター、もう少しで森を抜けられます」
アクセルを踏み込む、すると右側よりワイバーンが突っ込んできた
「やらせません!」
私は左手でハンドルを添えたまま右手のm-16アサルトライフルで射撃をする
前右後ろ次々と現れる魔物たちへ銃撃を食わえる
「よし、森を抜けます」
森を抜けたアクセルを全開にする
「よし、ここらで反撃開始としますか、ラプター降りて下さい」
「承知しました」
ラプターさん満面の笑みだ、ちょっと怖い
森を抜けた先は綺麗な平野だ
「ふっふっふっ覚悟しなさい魔物ども!」
私は左手にm-16アサルトライフル右手にXM25グレネードランチャーを構える
「全力射撃です!」
ラプターは先程私はMG-42重機関銃がよほど気に入ったのか楽しそうに射撃している
しかも、本来固定すべき重機関銃を持ちながら、
ガガガガガガガガ!ドゴーン!バーン!
再装填の必要が無いため打ち続ける
着弾地点はウルフだろうかジャイアントベアーだろうか関係ない
全て肉塊へと変わっていく
「いけいけいけいけいけ~~~~~」
もはや私の正面は地獄絵図だ
「ここあ様!空からワイバーンの群れが」
「任せて下さい!」
私はドラゴン戦で使った91式携帯地対空誘導弾を取り出す
「ロックオン発射です」
バシュ!っという音と共にマッハ1.9に達する弾頭がワイバーンを襲う
この兵器に狙われたが最後、回避なんて無駄だ
次々とロックオン、発射を繰り返す
「見て下さい、ラプター綺麗な花火ですよ!」
次々と魔物を退治していく
しかし、ラプターが声を張り上げる
「ここあ様、お気をつけ下さい魔族の気配がします」