高梨ここあ王様から依頼を受けます
豪華な馬車に揺られる事10分ほど、2度めの王宮です
今回は、王様から直にお話があるということで自室へ通されました
「失礼します」
失礼に無い様に挨拶する事にする
「えーっと・・・何か御用でしょうかルイ・パトリッシュ皇帝陛下」
「ルイ・パトリシアだ」
「あ、あはは、失礼しました、ルイ・パトリシア陛下」
「いや、いい私が呼んだのだからな、こちらに来て座ってくれ」
豪華な自室にある応接間に通される
「うーん、良い香りです」
王室のメイドさんが紅茶を入れてくれた、とても美味しいです
「ふむ、まぁまぁですね」
隣で失礼な事を言ってるのは私のメイド、ラプターだ
ラプターには来るなと命じたのですが断固として拒否されたので仕方なく連れてきました
「それで皇帝陛下、私にお話とは何でしょうか?」
偉い人に呼ばれるというのはロクな事が無い
私は恐れ恐れ問いかける
「うむ、そう緊張するな、話というのは実はな・・・
この王都から西に3時間程馬車で走らせた先に深い森林があってな
そこに魔族が出たという目撃情報があったのだ」
「魔族ですか?確か私が聞いたのは100年前の人魔戦争で一掃されたと聞きましたが」
「100年前滅亡寸前だった人類は神人によって救われた
その者は巨大な船を操り、轟音とともに次々と魔族を倒したと言われている
何故か、それ以上の詳しい資料が無いがな」
船?轟音?100年前となると戦艦か何かでしょうか?確か、転生管理者様は100年に一度人を送れると言ってましたがまさか・・・
「なるほど、それで私に魔神を調査しろと?」
「流石、話が早いな」
調査なら冒険者に依頼したら良いのでは?と思うのですが
「あのーなぜ私に?確かこの国には軍隊が居ると聞きましたが」
「それはだな・・・魔族の驚異を放置する訳には行かず500名ほどの部隊で調査に行かせたのだがな」
「随分と大所帯ですね」
「魔族が相手だからな、多いの越したことは無い
だがな、一昨日から連絡が取れなくなってしまったのだ」
「500人の部隊がですが?」
「そうだ、それでお主に調査を依頼したいのだ、どうだ頼めるか?」
500人が行方不明?ちょっとやばそうですね
「一つ質問しても良いでしょうか?」
「何だ?」
「なぜ私ですか?冒険者ギルドで2級か3級の冒険者に依頼を出しては?」
「100年前の人魔戦争では、人類の50%が死んでしまった
神人が現れるまでは防戦一方だったのだ
それで何人の魔族が相手だったと思う?」
「魔族の軍隊という事でしたら数百万人でしょうか?」
「・・・100人だ」
「ひゃ・・・100人ですか?」
「うむ、そうだそれ程までに我々と奴らでは戦闘力に差があるのだ
一対一なら良い勝負ができる者もおったそうだがな
奴らは魔物を手中に収めて操ることが出来る、
魔物の群れに魔族が数人紛れ込めば当時の軍隊など一溜りもなかったそうだ」
魔族・・・想像以上にやばそうです
「魔族が生存してるとなるとパニックになり大変な事になる
なのでここあ、お主に白羽の矢が立ったということだ
「なるほど、理解しました」
「任せて下さい、魔族なんてここあ様に掛かればゴミ同然です!」
隣でポンコツメイドがとんでもない事を言ってくれる
「ラプター貴方は黙っていなさい、承知しました国王陛下ご依頼お受けしますね
調査という事で討伐では無いのですね、それで宜しいでしょうか」
「うむ、問題ない、事実確認さえしてくれればそれで良い
成功報酬は武道大会で優勝した時と同じで構わないな?」
「はい、問題ありません」
王様に挨拶をすると、王宮を後にした
近くの喫茶店に入りながら今後について考える事にする
「それにしても、魔族ですが今回はやばそうですね」
「ここあ様に掛かれば魔族なんて恐るに足りません!」
この無責任メイドめ!
「はぁ・・・もう良いですラプター貴方魔族に付いて何か知ってますか?」
「はい、魔族とは分かりやすく言うと別次元から来た生命体です」
「別次元?」
「はい、この世界には元々人類しか居ませんでした
だけど、何かのひずみで次元に割れ目が出来かなりの数の魔族が侵入しました」
「なるほど、それが100年前の人魔戦争ですね」
「はい、それでひずみの原因を調査した魔族が穴を開けた事が判明しました
急いで女神様が穴を塞いだのですが、100体あまりの魔族の侵入を許してしまったというわけです」
「たった100体にこの世界の人類はピンチになったのですね」
「はい、魔族の力は凄まじく最上位の魔神ともなると神々に匹敵すると言われております
実はここあ様の元々の世界にも侵入を試みた事があるみたいですよ」
え、現代地球にそんな危険生物が居たの?まさかエリア55?
「それで、地球に来た魔族はどうなったのですか?」
「たまたま運が悪く、北の大地に出現したのですがそこは巨大核爆弾の実験中だったらしく・・・
出現した魔族全て巻き込まれて消滅してしまったようです」
まさかツァーリボンバですか!?おそロシア・・・
「なるほど、運が無いですね・・・それで今回出現した魔族も亀裂が原因なのですか?」
「いえ、今回は亀裂は確認されていないようです、なので居るとすれば100年前の生き残りです
しかし、この世界の人類はここあ様の居た世界ほど発展してはおりません
たった数体の魔族でも脅威になりますね」
「それは私が何とかするしか無さそうですね転生管理者様もそれがお望みでしょう
それでは準備をして向かいましょうか」
「了解しました、ここあ様」