高梨ここあ和食に感動します
「落ち着かない」
そう、小市民の私にとってこの屋敷は広すぎる
やたらと大きいベッドでごろごろしているがいかんせ落ち着かない
ラプターは隣の部屋を使って貰う事にした
「とりあえず今日は寝ましょう・・・」
昨日早めに寝たせいか、いつもより早く目が覚めてしまった
眠い目をこすり暖炉のある広間へ向う事にする
するとラプターは私より早く目を覚ましていたようだ
「あ、おはようラプター眠れた?」
「おはよう御座いますここあ様、お陰様でグッスリと
お腹はすきましたか?朝食を用意しておりますが」
「悪いですね、ではお願いします」
私はテーブルに座り食事を待つ
いい匂いがしてきました、あれ・・・この匂いは・・・?
「お待たせしました」
ラプターが食事を運んでくれる、そう内容は何とご飯・お味噌汁・魚の塩焼き・付け合せ数点だ
「え!和食!お味噌汁もどきじゃないですよね!?」
「はい、こちらはお味噌汁で御座います」
口を付ける・・・うんお味噌汁だ、しかも超美味しい
「ここあ様お口に合いませんでしたか?」
どうやら、私は味噌汁を飲んだらうっすら涙目になっていたようだ
「いえ、違うのです、もう諦めていましたから・・・
とっても美味しいです有難うございます」
そう私は異世界に来て和食と言うものを諦めていた
久しぶりに食べる和食は感動的に美味しかった
「それは良かったです、おかわりはありますから必要なら言って下さいね」
「はい、有難うございます」
3杯お代わりしてしまいました、ごちそうさまでした
「さてと、ちょっと朝風呂入ってきますね」
そう、このお屋敷には大きなお風呂が付いている
宿には冗談みたいな小さなお風呂しか無かったので凄く楽しみです
「承知しました、お風呂なら既に湧いておりますのでごゆっくりお寛ぎ下さい」
「仕事はやっ!」
そう、このメイドはポンコツですが基本超有能です
「有難うございます、それでは入ってきますね」
少し広めの脱衣所で服を脱ぐとお風呂場へと向かう
浴び湯をし早速湯に浸かる
「ふぅ~~~~きもちいです~~~」
湯加減もバッチリだ
「ここあ様、湯加減は如何でしょうか?」
ラプターが脱衣所から聞いてくる
「はい、丁度良いですよ」
「それは良かったです、お体お流ししますね」
「え、ちょっとま・・・」
「失礼します」
止める間も無く裸のラプターが入ってきた
スタイルが良いのは服の上からでも分かっていましたが、けしからん体をしてます
「はぁ・・・ラプターも一緒に入りましょう寒いのは体に毒ですから」
「何とお優しい・・・有難う御座います
それでは失礼して入らせてもらいます」
ラプターも浴び湯をすると私の隣に入ってきた、それにしてもデカイ
自分の胸をぺたぺた触っているとラプターが話かけてくる
「こんな私ですがご迷惑では無いでしょうか?」
「何を言い出すかと思えば・・・そんな事はありませんよ、これからも宜しくお願いしますね」
確かにうちのメイドさんはポンコツですが便りになる相棒です
「ここあ様・・・何とお優しい・・・このラプターより一層、粉塵になる思いでお仕えします!」
「粉塵になっちゃ駄目でしょうが!」
このポンコツささえ無ければパーフェクトメイドさんなのですが・・・
「ねぇラプター、貴方正直な所何処から来たのですか?」
「それは、ここあ様のスキル・・・っとそんな答え望んでおられないようですね」
「はい」
私の考えを分かっているようだ
「実は、もう一人メイドさんを呼び出せないか試してみたのですが無理でした
どうやら、一回だけだったようです」
「・・・そうですね、これは口止めされているのですが、私は女神様にここあ様をお守りするよう頼まれました
ここあ様が私を召喚することを既に分かってる御様子でした」
女神様?多分転生管理者様の事でしょうか、あの方は女神でもあったのですね
「なるほど、合点が行きました・・・ラプターはちょっと強すぎますもんね
私の願ったメイドは普通のメイドさんでしたので」
「ふふ、有難う御座います、これでも同期の中では一番強いですから」
女神様に直接お願いされるような立場、もしかしてラプターって物凄く凄い人なんじゃ・・・
「色々有難う御座います、これ以上は聞かないことにしますね」
「ふふ、そうして貰えると助かります」
口に手を当てて笑っている
美人はこの手の動作が本当に似合いますね
お風呂を堪能した私は広場のソファーで寛いでいる
「あ、凄く暇です・・・」
そう、この世界に来てからずっとドタバタしていたので、初めて一息つける時間でした
「この平和が永遠に続かないかなぁ・・・」
私は思うのです、この世界は私の思っているより平和だと
確かに飢餓や貧困はありますが、それは元の世界にもありました
私をこの世界に送り込んだ理由、それを見つけなければなりません
くつろいでいると玄関のドアが勢いよくノックされた
「ここあ様、いらっしゃいますでしょうか」
「は~い、今行きますね」
ラプターは奥で洗い物をしているので私が出ることにする
「いきなり申し訳ありません、緊急の用で国王陛下がお呼びです」
「え・・・」
高梨ここあ17歳、この世界に来て初めての休息が一瞬で終わりそうです