タイタンズ・ノウ
この国を内側から変革すべくたちあがった革命軍、各地で秘密工作を行い着々とと戦力を整えている。この国に数カ所存在する革命ギルド拠点の総本部、《タイタンズ・ノウ》の拠点を、超国家級犯罪組織として危険視されている。国に使え皇帝の指令を遂行する騎士や、国民を守る魔導士ギルド連盟が必死に探しているが、手掛かりさえない。
国王直属の騎士軍隊である、聖十騎士団。その内の一つの騎士団であり、皇帝直属の最強集団、紅一門。ここに在籍する騎士の殆どが、以上の称号を持つ者のみ。
騎士としての実力を認められ、一人一人に自身の実力にあった称号を与えられる騎士にとっては、時として討ち取った敵首以上に価値のある誇りにも似たものだ。小さな手のひらサイズの包みは、魔獣の獣の皮を使い、職人の手により丁寧に編まれている。宝石にも似た色めきを放つに色が、魔法により宝石のように透明感のある綺麗な色が着色されている。そこから小さく細い白い紐と結び、鎧や刀の鞘に付けている。
かつて、最高位の騎士に与えられる紅色の称号を持つ元騎士も、タイタンズ・ノウにいる。ギルドメンバーは、良くも悪くも個性の集合体。革命ギルドのトップの座に位置するマスターである、アーノルド・シュパインツティガーも想像以上の力を持つ。
魔法とは別物、生まれ持った特別な《スキル》さえ持っている。神からの贈り物とさえ呼ばれるスキルを身につけて生まれる者は極少数。
膨大な魔力量とスキルを身につけているマスターの実力は、最強の二文字が似合う。そうマスターを心から尊敬するタイタンズ・ノウのメンバー、オリシャ・マーデンクが一人の男と遭遇した。
「君わぁー?」
全く見覚えのない男。見たことのない変わった服装でギルド内を見回しながら歩いている。
「まさか…侵入者か…」
このギルドは僻地に存在する。街とは呼べない程だがその場所で暮らすものもいる。数キロ四方を巨大な大木が密集し、巨大な林となり村を覆い尽くしている。
数十年前、国中からは捨てられた土地と呼ばれ、誰も寄り付かない廃墟として国中に知れ渡っている。ここに住むんでいた住人は、理由があり人種がいる場所では住めなくなった者や、人種以外の異業種やその混血族などが占めていた。
廃墟村の奥にある、より一層誰も寄り付かない大きな屋敷がある。屋根には所々歪みが生じており、辺りに咲く雑草などには全く手をつけていない。外見からは屋敷としての貫禄はない。だが、ここが革命軍である革命ギルド、タイタンズ・ノウの本部である。
今では地図から消され、この集落を見つける可能性は非常に低い。ましてや、ここは革命ギルド。偉大な魔導士さえも見つけることは不可能。その場所に、ギルド以外の男。オリシャがこの男を侵入者と勘違いし、腰につけた刀をとり構えをとる。
「そこの侵入者! 名を名乗れ」
「えっ…侵入者って俺?」
突然声をかけられ、自分が侵入者と勘違いされているロラン。キョトンとした自分の顔に指を向け、そうオリシャに尋ね返す。
「そうだ! お前以外に誰がいる!」
「いや侵入者っていうか召喚されたっていうか」
ロランとオリシャが、廊下に飾られた絵画の前で話をしていると、マスターが再び《テレグラムアウト》を使用した。
「皆聞いてくれ! この屋敷に今ロランといつ男がおる。其奴を見かけたら何もするでないぞ」
狐につままれたようなぽかんとした顔でロランを眺めるオリシャ。突然のマスターからの指令に戸惑いながらも、命令を聞き入れる。
そして、一言ロランに誤りを入れる。
「すまない、勘違いをした。失礼する」
えっ…なんで急に優しくなった。まさか俺がここから抜け出すことがバレたのか。だとしたらマズイ。
若干の焦りを感じながら額の冷や汗を手で拭い、迷路と化した屋敷の出口へと向かうロラン。




