山田ロランという男
山田ロランは、これまでの自分の人生がつくづくハードモードだと実感していた。特に、小学校から中学三年生までの計九年間は特に最悪なものだった。
小学校に入学し、高学年になるに連れ、持ち前の明るさを利用しクラスの中心人物になっとなっていった。
だが、クラスの中心として笑いを取り続け、周りからイジられる事が増えていった。いつしかそれがイジメへと変わっていくのに時間はかからなかった。
今思えば子供のイタズラだと鼻で笑えるロランだが、当時の頃は笑えなかった。いじめは段々とエスカレートしていったが、肉体的にも精神的にも苦ではなかった。
なぜなら、当時十二歳の小学六年生の時、ロランは周りを引かせる程のドMへと目覚めたからだ。
男子からは毎日の様に殴られ、女子にはぶられたり、物を隠されたり、いつしかそれが快感へと変わっていった。
気がつけば変態とあだ名がつけられ、小学校を卒業する頃には友達と呼べる人はとても少なかった。
中学へ上がるや否や、持ち前のドM力を発揮し周りの女子達と馴染めなかった。そんなある日、ロランは中学生になればかかると言われる病、中二病を発症させていた。
ドMを卒業し、中二病へとジョブチェンジし、休みの日は家でゲーム。ロランは、まず喧嘩が強くなるためにという安易な考えで、空手部へと入部した。もちろん、本気で空手に打ち込む部員の熱意について行けず幽霊部員になるが、そもそも空手部員はロランが入部したことにすら気づかない。
それ程、周りと馴染めていなかったのだ。
気がつけば、家に休みの日は他校と喧嘩ばかりする日々。中学三年になると、これからの人生を左右する大事や行事である高校受験を控えていた。
部活は青春の一ページという名目で、勉強から逃避し、部活を言い訳にして勉強から逃げる周りの同級生を下に見下す低俗な遊びに興じていたロランは、見事に高校受験を失敗した。