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ユニーク魔法の検証

しばらく毎日更新

ミリアとの協力関係が始まってから、俺は母上から本格的に魔法の手ほどきを受けるようになった。

「デイヴィッド、魔力は体の中を流れる水のようなもの。それを意識して、指先に集めるのよ。そして、イメージを明確に。例えば、火を出すなら、ただ燃やすだけでなく、どんな形の炎を、どれくらいの熱量で、どこに発生させるのか、具体的に思い描くの」

母上は優しく、そして丁寧に教えてくれる。その教えは、前世で学んだ物理学や化学の知識と、この世界の魔術理論が不思議とリンクする感覚があった。俺は母上の言葉を反芻しながら、魔力を集中させる。

「…ファイヤーボール!」

小さな炎の玉が、俺の指先から飛び出した。以前よりも形が整い、威力も増している。まるで、俺の意思に忠実に従うかのように、炎は空中で静止し、そして消えた。

「素晴らしいわ、デイヴィッド!飲み込みが早わね。まるで、生まれつき魔法の才があったかのようだわ」

母上が褒めてくれる。その言葉に、俺は内心で冷や汗をかいた。生まれつき、というよりは、前世の知識がチートになっているだけなのだが。

「ありがとう、母上!」

俺は嬉しくなった。前世の知識と、この世界の魔法の基礎が少しずつ融合していく感覚があった。この世界の魔法は、イメージと魔力の操作が重要らしい。ならば、前世の科学知識を応用すれば、もっと効率的で強力な魔法が使えるはずだ。


ある日、ミリアが俺の魔法の訓練を見学しに来た。

「デイヴィッド様、今日はどのような魔法の訓練をされるのですか?わぁ、楽しみですね!」

ミリアが興味津々に尋ねる。彼女の藤色の髪が、陽光に透けて美しかった。その横顔に見とれていると、ふと、前世の記憶が蘇る。当直、緊急手術で徹夜続きだった日々、女性との縁はほとんどなかった。それが今、こんなにも美しい少女が目の前にいる。しかも、俺の魔法に真剣に興味を持ってくれている。2歳半ばにして、異性としてミリアを意識している自分がいる。ミリアは、当然ながらそういうつもりじゃないんだろうけど。。。

「今日は、回復魔法の初歩を試してみようと思って」

俺はそう言って、おもむろにナイフで小さな切り傷を作った。腕に走るチクリとした痛みに、ミリアは目を見開いて慌てた。

「えっ!?デイヴィッド様、何をなさっているのですか…!?」

「大丈夫。これは実験だから」

俺は傷口に意識を集中し、回復魔法を発動させた。今回は熱を与えるのではなく、より精密な治癒をイメージする。

「…ヒーリング!」

まず、傷口の血管が瞬時に収縮し、血液の流出が止まる。次に、血小板が傷口に吸い寄せられるように集まり、互いに凝集して一次止血栓を形成する。イメージは某はたらく◯胞から拝借。幼児のような小さな手が、いっぱいあつまって傷口を塞いでいく様子を思い描く。

続いて、凝固因子を活性化させ、液体のフィブリノゲンから固体のフィブリンという網目状のタンパク質を生成。フィブリンは血小板血栓を強固に補強し、安定した二次止血栓を完成させる。出血が完全に止まったことを確認し、俺はさらに魔力を流し込んだ。

今度は、傷口周囲の細胞、特に線維芽細胞や上皮細胞が活性化し、異常な速度で増殖・移動を開始する。まるで、失われた組織を再構築するために、細胞たちが一斉に動き出すかのようだ。傷口はじんわりと温かくなり、みるみるうちに塞がっていく。最終的には、傷跡すら残さずに皮膚が再生された。これめっちゃ便利な魔法だな。前世でもし可能なら医療革命が起こってるかも。


「わぁ、すごいですね…!これは、回復魔法…いえ、それ以上のものなのでしょうか…?」

ミリアは目を見開いて驚いていた。その表情は、驚愕と感動に満ちている。

「これは、回復魔法の応用だよ。止血の過程を早め、細胞を活性化させて、治癒を促進するんだ」

俺は説明した。ミリアは感心したように頷いた。

「なるほど…回復魔法でこの速度は、私、見たことがありませんでした。まさにユニーク魔法ですね!私の回復魔法は、あくまで自然治癒力を高める補助的なものなので、ここまで直接的に組織を修復されるなんて…すごいですよ!」

ミリアの言葉に、俺はまたしても内心でニヤリとした。ええ、私も医者のはしくれですから。

「まだ実験段階だけど、もっと効率的な方法を見つけたいんだ。例えば、骨折や内臓損傷にも応用できないかとか…」

俺の言葉に、ミリアの目がさらに輝いた。

「私も協力させてくださいね!回復魔法の同士として、何かお役に立てることがあるかもしれませんから。教会に伝わる古文書には、失われた治癒の術に関する記述も残っていますし、もしかしたら、デイヴィッド様の魔法のヒントになるかもしれませんよ!」

ミリアは目を輝かせた。彼女の純粋な探求心と、人々の役に立ちたいという強い願いが伝わってくる。

こうして、俺のユニーク魔法の検証は、ミリアの協力も得て本格的に始まった。


俺たちは、毎日、様々な実験を繰り返した。

ある日は、小さな動物の傷を癒す実験。俺の魔法で止血と細胞活性化を促し、ミリアの回復魔法で痛みを和らげ、精神的な安定を図る。二人の魔法が連携することで、驚くほどの速度で動物たちは回復していった。

「デイヴィッド様、あなたの魔法は、本当に命を救う力ですね…!わぁ、感動しました。」

ミリアは感動したように言った。その言葉に、俺は医師としての使命感を改めて感じた。


またある日は、植物の成長を促進する実験。俺の火魔法で土壌を温め、ミリアの水魔法で水分と養分を供給する。すると、通常よりもはるかに早く植物が成長し、豊かな実をつけた。

「これは…食糧問題の解決にも繋がるかもしれませんね!すごいことです!」

ミリアは興奮した。彼女の視点は、常に人々の生活に向けられている。


俺は、ミリアの回復魔法についても深く考察した。彼女の魔法は、直接的な組織修復ではなく、生体エネルギーの流れを整え、自然治癒力を最大限に引き出すものだと理解した。これは、前世でいうところの「免疫活性化」や「自己治癒力」に近いのかもしれない。

「ミリアの回復魔法は、患者の精神状態にも大きく影響するんじゃないか?」

俺がそう尋ねると、ミリアは驚いた顔をした。

「ええ、その通りですよ。不安や絶望を抱えている患者様には、回復魔法の効果が出にくいことがありますから。だから、私は常に、患者様の心に寄り添うことを心がけていますね。」

ミリアの言葉に、俺は感銘を受けた。彼女は、単なる魔法使いではなく、真のヒーラーなのだと。


俺とミリアの協力関係は、魔法の探求だけでなく、互いの人間性にも良い影響を与え始めた。俺はミリアの純粋な心に触れることで、前世で失いかけていた人間らしさを取り戻し、ミリアは俺の科学的な視点に触れることで、魔法の新たな可能性に気づき始めた。

大魔導士への道は、決して一人で歩むものではない。ミリアという最高のパートナーを得て、俺たちの冒険はこれからだ!

ここまで読んでいただきありがとうございます!

デイヴィッドのユニーク魔法の検証が本格的に始まりましたね。前世の知識と異世界の魔法が融合していく様子、そしてミリアとの協力関係が深まっていく過程を楽しんでいただけたでしょうか。

今後の展開では、このユニーク魔法がどのように活用され、二人の関係がどう変化していくのかにご期待ください!

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