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ミリアとの出会い

しばらく毎日更新

異世界に来て数ヶ月。二歳児の体にもだいぶ慣れてきた。言葉は少しずつ理解できるようになってきた。これも偏に、根気強く話しかけてくれる母上とリリアさんのおかげだ。が、まだうまく話せない。外国語は前世でもそんなに得意じゃなかったしね。。


「デイヴィッド、今日はリリアとお使いに行きましょうね」


リリアさんが優しく微笑みながら、俺を抱き上げた。今日は街までお使いらしい。異世界の街並みを見られるとあって、俺のテンションは上がっていた。


ドバルコの街は、石畳の道に木造の建物が並ぶ、中世ヨーロッパ風の趣がある。活気があり、露店からは美味しそうな匂いが漂ってくる。すれ違う人々は様々な服装をしており、中には尖った耳をしたエルフらしき人物も見かけた。なろう小説で読んだ通りの光景だ。


リリアさんは慣れた足取りで街を進んでいく。俺はリリアさんの腕の中から、興味津々に周囲を見回した。八百屋さん、肉屋さん、パン屋さん…どれもこれも新鮮で、見ているだけで楽しい。


「リリアさん、あの人たち、剣を持ってるね」


警備隊だろうか。鎧を纏い、真剣を腰に差している。物々しい雰囲気だ。


「ええ、最近街の近くでゴブリンが出たそうだから、警備が厳重になっているのよ」


ゴブリン!前に父上が討伐に行ったというあのゴブリンか。リリアさんによると、ドバルコは辺境で軍備が薄いらしい。少し不安になる。


お使いを済ませ、帰り道を歩いていると、突然、けたたましい叫び声が響き渡った。


「キャアアアア!」


何事かと声のする方を見ると、路地裏から緑色の肌をした小柄な人影が飛び出してきた。ゴブリンだ!手には粗末な棍棒を持っている。その後ろからは、数人の街の人が悲鳴を上げながら逃げてくる。


「リリアさん、みどりの人が来た!」


俺は思わず叫んだ。リリアさんも顔色を変え、俺を抱きしめながら後ずさりする。しかし、ゴブリンは幼児(俺)に気づき、ニヤリと笑って襲いかかってきた。


絶体絶命のピンチ!だが、ここで逃げるわけにはいかない。リリアさんが、そして街の人々が危ない!


「もえろ!ファイヤー!」


俺は咄嗟に火魔法を放った。狙うのはゴブリンの右スネ。ふさふさしているすね毛を狙う。動いている対象を狙うのはかなり労力がいるようだ。それでも、すね毛に小さな炎が発生する。ゴブリンは驚いて飛び退いた。


「デイヴィッド様!魔法を!?」


リリアさんが驚きの声を上げる。今はそれどころじゃない!


ゴブリンは怯んだものの、すぐに手で叩いて消火すると、再び襲いかかろうとする。さて、。。。。。。

その時、別の路地から一人の女性が飛び出してきた。


「皆さん、早く逃げてくださいね!」


淡い藤色の髪を三つ編みにした、小柄な少女が、白銀のロッドを持ち、月の紋章入りのローブを纏っている。彼女は俺たちの前に立ち塞がり、ロッドを構えた。


「聖なる光よ、傷つく者を護りたまえ!ライトバリア!」


少女が呪文を唱えると、彼女の前に半透明の光の壁が現れた。ゴブリンの棍棒がバリアに叩きつけられるが、弾き返される。


「すごい…!」


これが光魔法のバリアか!しかし、ゴブリンは冷静に、少女の魔法が切れるのを待っている。少女は孤児らしき子供たちを庇いながらバリアを張っているが、いつまでもつか時間の問題だろう。


このままでは美少女さんがやられてしまう!


俺にできることは…そう、火魔法しかない!今なら少し時間をかけて使えるかもしれない。熱伝導率が高く、効果的な場所。。。棍棒か!あれが鉄製であると踏んで、対象を棍棒に決めた。


「おおお!熱くなれ!もっと!もっとだ!」


俺はゴブリンたちに意識を集中し、火魔法を発動させた。ゴブリンのもつ棍棒が、徐々に熱を帯びていく。


「ギャ!?」


ついにゴブリンは小さな悲鳴を上げ、持っていた棍棒を落としてしまう。


「今だ!逃げるのよ!」


少女は孤児たちを連れて、その場から走り去った。俺もリリアさんに抱きかかえられ、安全な場所まで避難した。


入れ違いに警備隊が駆けつけ、ゴブリンをあっという間に討伐した。街に平穏が戻る。


「デイヴィッド様…本当に、魔法を使われたのですね…」


リリアさんが震える声で言った。俺はこくりと頷いた。もう隠す必要はないだろう。


「それにしても、あの女性…神官様でしょうか。勇敢な方でしたね」


リリアさんが少女が逃げ去った方向を見つめる。


「うん、すごい魔法だったね」


俺は美少女の姿を思い浮かべていた。



後にパーティーメンバーになる、ハーフエルフの神官見習い、ミリア・ルーナ。彼女との出会いは、このときが初めてだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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