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迫りくる影

貴族としての務めを学び、ミリアとの協力関係を深める中で、俺の異世界での生活は充実したものになっていた。魔法の探求は日進月歩で進み、街の人々との交流も深まり、俺は異世界での自分の居場所を確かなものにしていた。しかし、その平穏な日々は、突如として終わりを告げる。


ある日の夕食時、父上が珍しく難しい顔をしていた。食卓には、いつも通りの豪華な料理が並んでいるが、父上の表情は硬い。その場の空気は重く、母上とリリアさんも、父上の様子を心配そうに見つめていた。

「領地の東の森で、異変が深刻化している。木々が枯れ、動物たちが姿を消すだけでなく、最近では領民が森に近づくと体調を崩すという報告も上がっているのだ。発熱や悪寒、そして精神的な錯乱を訴える者まで出ている」

父上の言葉に、俺は思わずスプーンを落としそうになった。東の森…以前、地理に関する書物で「呪われた森」と記されていた場所だ。その森は、古くから不吉な場所として知られ、誰も近づこうとしなかったはずだ。それが、今や領民の生活を脅かす存在になっている。


「原因は不明だが、不穏な魔力の気配を感じるという報告もある。通常の魔物とは異なるようだ。何らかの呪いか、あるいは、未知の存在が関わっているのかもしれない。衛兵隊も調査に向かったが、森の奥深くには立ち入れず、被害は拡大する一方だ」

父上はそう言って、遠くの森の方向を見つめた。その瞳には、深い憂いが宿っていた。領主として、領民の安全を守る責任を強く感じているのだろう。俺は、この世界の奥深さと、まだ見ぬ脅威の存在を改めて感じた。大魔導士への道は、単に魔法を極めるだけでなく、この世界の真実を解き明かすことにも繋がっているのかもしれない。


夜、俺は自室で、父上の書斎から持ち出した地理に関する書物を広げていた。東の森の記述を改めて確認する。そこには、古くから「呪われた森」として知られ、近づく者はいないと記されていた。しかし、最近になって異変が起きているということは、何らかの変化があったのだろう。

「呪われた森…異変…領民の体調不良…」

俺の頭の中で、妄想がめぐる。東の森の異変…そして、以前泥棒が隠し持っていた、あの奇妙な紋様が刻まれた黒い石。あの石から感じた不穏な魔力の気配と、森の異変で報告されている「不穏な魔力」の気配が、どこか似ている気がする。もし、あの黒い石が「賢者の石」の欠片だとしたら?あるいは、賢者の石を狙う者が、森に異変を起こしているとしたら?俺の胸には、新たな探求心が芽生えていた。この世界の謎を解き明かし、賢者の石の真実を突き止める。それは、大魔導士への道と並行して、俺がこの異世界で成し遂げるべき新たな目標となった。


翌日、俺はミリアに東の森の異変について話しました。ミリアもまた、その話に真剣な表情で耳を傾けてくれました。わたしは、教会の神官見習いとして、この世界の伝承や古文書に詳しいです。

「呪われた森…教会にも、その森に関する古い記録が残っていますよ。近づく者は、精神を蝕まれ、狂気に陥ると…その症状は、父上が仰っていた領民の方々の症状と酷似していますね。」

ミリアの言葉に、俺は背筋が凍る思いだった。やはり、ただの魔物の仕業ではないらしい。精神を蝕む呪い…それは、俺のユニーク魔法でも対処できるのだろうか?


「デイヴィッド様、もしその森に足を踏み入れるのであれば、私も同行させてくださいね。私の回復魔法が、きっとお役に立てるはずです。特に、精神に作用する回復魔法は、この異変に対処する上で不可欠でしょうから。」

ミリアは、強い意志を秘めた瞳で俺を見ました。わたしの言葉に、俺は心強さを感じました。一人で挑むには危険すぎます。わたしの回復魔法があれば、心強いでしょう。わたしの回復魔法は、単に傷を癒すだけでなく、精神にも作用します。それは、この呪われた森の異変に対処する上で、非常に有効な能力となるでしょう。


俺たちは、東の森の異変について、さらに情報収集を始めた。街の人々の噂話、衛兵の報告、そして教会の古文書。様々な情報から、異変が徐々に領地全体に広がりつつあることが分かった。枯れた木々は、領地の奥深くまで侵食し、動物たちの姿も消えつつあるという。

「このままでは、領民の生活にも影響が出かねませんね。食料の供給が滞り、病が蔓延する可能性もありますよ。」

ミリアが心配そうに言いました。その声には、領民を案じる優しい心が込められていました。

俺は、貴族としての責任感を改めて感じた。父上が守ろうとしている領地と領民。それを脅かす存在を、俺は見過ごすわけにはいかない。


俺とミリアは、東の森の異変の調査を決意した。それは、第一章のクライマックスに向けた、大きな一歩となるだろう。この森の異変の裏には、きっと俺の転移の謎や、「星の欠片」の真実が隠されているに違いない。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

東の森の異変という、第一章のクライマックスに向けた伏線を張りました。

デイヴィッドとミリアが、この異変にどう立ち向かっていくのか、そして「賢者の石」との関連性はあるのか、今後の展開にご期待ください!

面白かった、続きが気になる、と思っていただけたら、ぜひ「いいね」や「高評価」をお願いします!

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