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秋津皇国戦記  作者: 金剛愛宕
開戦緒戦
8/12

ウェーク島攻略

 

 ウェーク島は、合衆国本土とグアム、フィリピンを結ぶ作戦線上にある"中部太平洋"における重要な拠点のひとつである。

 逆に皇国側から見れば、皇国本土とマーシャル諸島を結ぶ作戦線上に位置する楔のような存在であった。


 合衆国軍は来たる時に備え、ウェーク島に海兵隊1個大隊を配備し、砲台を設置するなど防備を強化していた。

 1941年夏までには滑走路を完成させ、皇国と合衆国の関係破綻が決定的になりつつあった12月4日には、空母『エンタープライズ』が第211海兵戦闘飛行隊のF4Fワイルドキャット戦闘機12機を輸送してきた。


 1941年12月、守備隊500名と民間人1200名がウェーク島に配備されていた。主要な砲台はウェーク本島には、南西端のピーコック岬と島西部、北部ヒール岬にはそれぞれ1箇所、ウィルクス島とピール島にはそれぞれ2箇所に配され、機銃座も数箇所据えつけられていた。



ーーー



 秋津皇国軍は12月8日の開戦と同時にウェーク島攻撃を開始した。

 ウェーク島攻略は秋津海軍単独での作戦とされ、主にトラック諸島を拠点にしていた第4艦隊が割り当てられた。

 上陸するのも海軍陸戦隊であった。


 ウェーク島攻略担当の第4艦隊に割り当てられていた戦域は非常に大きく、その一方で第4艦隊手持ちの戦力は少なかった。

 そのため、当面はウェーク島とグアムの攻略に全力を挙げることとなった。


 攻略部隊本隊は第二艦隊麾下(きか)第6戦隊の重巡洋艦『青葉』『衣笠』『古鷹』『加古』、第8航空戦隊の軽空母『千歳』『千代田』、第9戦隊の重雷装巡洋艦『北上』『大井』

 予定では第6戦隊を主力としての攻略となる予定であったが、戦力不足と判断され急遽変更された。

 艦隊司令長官には鮫島敬姫(さめじまけいき)中将を充て、第6戦隊司令官を兼任する。一方、第6戦隊司令官後藤知華(ごとうともか)少将は臨時の艦隊参謀長とした。


 これに攻略援護艦隊として、梶尾実蓮(かじおみれん)少将率いる第6水雷戦隊の軽巡洋艦『夕張』、駆逐艦『追風』『疾風』『睦月』『如月』『弥生』『望月』と、丸茂夏帆(まるしげかほ)少将率いる第18戦隊の軽巡洋艦『天龍』『龍田』の戦闘艦艦隊。

 攻略支援部隊として、第27潜水隊の潜水艦『呂65』『呂66』『呂67』の潜水艦部隊。

 その他、特設巡洋艦『金剛丸』(7043t)、特設巡洋艦『金龍丸』(9309t)、特設監視艇3隻、漁船5隻、第32号哨戒艇(旧樅型駆逐艦『葵』)、第33号哨戒艇(旧樅型駆逐艦『萩』)の補助艦部隊が参加する。

 また、陸戦隊は舞鶴特陸一個中隊と第6根拠地隊一個中隊の660名。航空支援は、ルオット島の第24航空戦隊が回る事になる。



ーーー



 最初の攻撃は8日5時10分、クェゼリン環礁のルオット島を出発した第24航空戦隊の零式陸上攻撃機34機だった。

 高度450mでウェーク島に侵入すると、さしたる抵抗を受けずに爆撃を開始した。

 この攻撃は高度3600mを飛行していた4機の合衆国戦闘機を含め、守備隊は皇国軍機にまったく気づいていなかったのだ。


 皇国攻撃機はウェーク島飛行場と砲台に損害を与え、飛行場に並んでいた8機のF4F戦闘機は7機が全壊、1機が小破し、第211海兵戦闘飛行機隊55名のうち25名戦死・10名が負傷した。

 負傷を免れた整備員は一人もいなかったが、整備員は必死で残存5機の整備と修理をおこなった。



 続く12時15分、第ニ艦隊の軽空母『千歳』『千代田』艦載機が強襲した。九九式艦上戦闘機28機、天山艦上攻撃機18機(全機爆装)の全力出撃である。

 島からの対空砲火は熾烈であり、残存の合衆国戦闘機も7倍の戦闘機の数にも怯まず、必死に反撃してきた。


「敵機、4機です!」

「撃ち落とせ!」


 戦闘機同士がすれ違う。3機を撃墜したが、味方も九九艦戦1機が黒煙を上げて落ちていった。

 撃ち漏らしたF4F1機が天山艦攻に噛み付いた。


「くそっ! 野郎、やりやがったな!」


 仲間をやられた腹いせと言わんばかりに九九艦戦が躍り出て、瞬く間にF4Fを撃墜した。

 敵のF4F戦闘機4機を全滅させた皇国軍は、敵飛行場に更なる損害を与える事に成功した。


 第24航空戦隊は翌9日に千歳海軍航空隊の陸上攻撃機27機で2度目の空襲を敢行する。

 翌10日にも陸上攻撃機26機で3度目の空襲を敢行した。ウィルクス島の弾薬庫が爆発し、高射砲二門を破壊した。



ーーー



 12月10日夜、第七潜水戦隊第27潜水隊所属の呂65号潜水艦に誘導された攻略部隊はウェーク島南岸沖に到着した。

 夜闇を利用しての作戦は順調だった。大発動艇を発進させることに成功し、上陸命令が令された。


 これと同時に第18戦隊の軽巡洋艦二隻は、ウェーク島の東岸に移動して陽動作戦を実施している。


 特設巡洋艦『金龍丸』、駆逐艦『睦月』『追風』からも陸戦隊が大発でウェーク島南岸とウィルクス島に上陸に成功する。

 二個陸戦隊はさしたる抵抗に遭わず、夜が明けると九九艦戦の上空援護もあり、一個小隊が全滅する被害もあれど順調に推移した。


 12月13日10時40分、秋津皇国軍はウェーク島の完全攻略を宣言、通報する。これをもって鮫島敬姫中将麾下の第8航空戦隊・第6戦隊・第9戦隊は第四艦隊の指揮下を離れた。


 味方艦隊の損害は無く、大勝と言って差し支え無かった。

 

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