スパイシェ②
「この前さあ、幼馴染に再開してテレビでお前の家を特集してて妹だけが出てたってきいたぜ」
スパイシェが訝しんでいる。精霊運びのくせに私の事を調べたりしないんだ。
「そう、私のこと幼馴染さんは知らなかったでしょ?」
「ああ、よくわかったな。屋外ならテレビの取材を受けられんのかと思ったが……」
――いま、庭には使用人がいる。
「私いまから飛び降りちゃおっかなー」
「お前なにやって!」
窓に身を乗り出してみても誰も気にしない。
「冗談に決まってるでしょ。私は死んだりしないわよ」
■
「なあ執事の斎藤さん」
「ラツハ様の事ですか?」
「あいつは聞こえるくらいの声で言ったのに使用人達はまったく関心がなかったな」
「そうですね。私や数名を除いた使用人はラツハ様の存在は無いものとしていますから」
「は?」
「貴方のほうが昔の風習には詳しいのではないですか、神社の後取り息子さん」
「端的すぎてわかんねえよ」
「ラツハ様と妹のラツハ様は双子です」
「あーつまり双子だから古い考えの奴が嫌がるわけか」
「はい」
「だが普通は先に生まれた妹を疎むもんじゃないか?」
「昔、双子は後に生まれたほうが長子とされていましたがラツハ様は先に生まれたそうです」
「ふーん」
「問題があるのはそれを当然とする親のほうですが」