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【第1話:闇撫子なろう】


「相変わらず辛いものが好きだね」

「あんたも食べる?」

「紅茶の味がわからなくなっちゃうから」

「いらないってか」


私には妹にすら言っていない秘密がある。


「みんな~ごはんだよー」

「ペーニョいるよ!~」

「カッカラもいるです」

「タイバー、いるのだ」


「シシトいます」


唐辛子の妖精、美小人達が私の部屋に住んでいるのである。


「よし、食べていいよ」

唐辛子の種がみんなのご飯だ。


「わーい」

「うっ目があああ」

唐辛子の種が飛んできた。

めちゃくちゃ痛い。


なぜ私の家に精霊や妖精の類いがいるのかと言うと…


挿絵(By みてみん)


「調子はどうだ?」

「見てわかれ!全然よ!!」


一ヶ月前、この紫髪の男、スパイシェに連れてこられた5つの小人であるカッカラ、ペーニョ、シシト、タイバー、今は寝ているギアネロを成長させろと言われた。


なぜ成長させるのか、理由は教えてはくれなかったが、育つとイケメンになると言われて、まあイケメンになるなら逆光源氏ならぬ闇撫子にでもなろうかな?なんて。


「後1年あるからって、気を抜くな…精霊達は時期を逃すと成長出来なくなる」


「わかったわよ」


いつ大きくなるんだろう。



「相変わらずだだっ広い部屋だな」

私の部屋を見渡して、関心したのかほうと息をついた。


「由緒正しい茶野田家だからね」

母は茶道の家元で名家、そして父は成金だ。

家柄とありあまる金のどちらも我が家にある。


後継ぎの私はお茶より香辛料が好きで、お茶好きの妹はお茶といっても紅茶だ。


「たしかお前の母親は茶道家だったか」

「なに?お茶が飲みたいの?」

「べつに…熱いものは飲めないからな」

なんだやっぱり猫舌か。


「前から気になってたんだけど」

「なんだ?」

「背後に憑いてる金髪のは誰?」

スパイシェの隣に何気なくいるのにまったく喋らなかった謎の人物。

一体何者なんだろう。


「ああ、知らん何故かいつの間にか憑いていた」

「よし、お払いしてあげる!」

唐辛子の種をスパイシェに投げつける。


「ぎゃああああああ」

のたうちまわっているスパイシェ。

金髪には効果がない。


「私はスパイトス、混沌の産物です」

「はあ?」

妖精だけでいっぱいいっぱいなのに、魔界的なものが出てきたら困る。


「妖精系だけでてんてこ舞いなんで、帰れ」

「…そんなご無体な」


スパイトスを追い出し、事なきをえた。



「はい、えさだよー」

毎日妖精にエサをあげる。

前はずっと部屋で一人だったから、彼等のお陰で退屈になることはない。


「お前はどうして部屋から出ないんだ」

「部屋にお風呂と冷蔵庫があるから」

「そういう意味じゃない」

わかっている。なぜ、私が一歩も外に出ないのか、を聞いていることを。


「私昔誘拐されかけたことがあって、それ以来怖くて外に出られないのよね」

「…金持ちは大変だな」

「別にいいわ、私は形式的に家を継げばいいだけだから」


ここに居るだけで、安心なのだ。

人に会えなくても寂しくない。



「なあ、この屋敷に執事とかメイドとか……」

「いるわよ」


私は指を弾く。


「……お呼びでございますか」


執事のダメンリオン斎藤だ。


「どっから出た!?」

「天井裏からでございます」

「執事は天井から降りてこないだろ」


「そうなの?」

「はい」

「つーかこいつ、人間じゃないな」

「は?」


「……悪魔の気配がする」

「ええ!?」

「……私は悪魔を体内で飼っています」

「なぜ悪魔を飼っているんだ」


「良からぬことでもたくらんでいるのでしょう」

「スパイトス、あんたのほうが良からぬことをたくらんでいるように見えるわよ」


「生まれたときから悪魔が憑きやすく……

悪魔を一体取り付かせ、他の悪魔が寄り付かぬようにと、施されました」


「そうなの?」

「ただの人間には悪魔の気配はわからないだろうな」


「あんたやっぱり人間じゃないんじゃないの?」

「俺は一応人間だ」


「これ、どうします?」

「スパイトス、あんた平然と部屋に入らないでよ」

「私はただ穏便に暮らしたいだけでございます

お嬢様が私をお嫌いでなければ……どうか置いてください」


「ラツハ様、いてまいましょう?」

「悪魔がいて、私がそれを知っても斎藤はいつもと変わらないわよね?」

「はい、私はお嬢様のためにあります」


「いいはなしだなー」


「もしかして妖精の姿は見えてた?」

「はい」


「まさか悪魔憑きが絡んでくるとはな……」

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