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閑話 クーゲル家メイド長

今回は前の2つにくらべたらちょっと短め……夏の暑さは体力を奪うお・・・

 クーゲル家メイド長



 私はリーシャ、クーゲル家のメイド長をしております。

 元々はベアール様のお祖父様、つまり先々代様に命を拾われた父、セバス父様が仕える事になったのが始まりでしょうか。


 元々は傭兵であった父が若い時に先々代様に命を助けられ、その時から何時かこの御恩をお返ししようと傭兵から足を洗い、執事としての修行を積んだそうです。

 そして同じような時期に母である先代メイド長、いえリーシャ個人としてならば未だメイド長の座は母のものでしょうか。

 少し話がずれましたね、母も当時メイドの道を極める為に修行していたそうです、ですが母の場合は使えるべき主を見つけられないでいたそうです。


 ですがある日ベアード様の開拓移民の話を聞いてもしかしたらと、移民団の募集に乗ったそうです。


 そして母の勘は当たったようで、それからはメイドとして張り切ってお仕えしたそうです、そう……張り切って。

 開拓当時は父と母は執事とメイド、そして同じ主に仕える者として意識していたそうです。

 ええ、意識していたそうです・・・ライバルとして。

 一部では技のセバス、力のアイシャと呼ばれていたそうですが……。


 そして数年の月日の後二人が結ばれて私が生まれたのです。

 ですがそこに至るまでにはかなり紆余曲折を得ての結果だったようですが……。


 そんな父と母が私に授けてくださったのは、父セバスからは護身術と技術、母からはメイドとしての技術と心構えでした。

 基礎的なのは5才の頃から始めてましたが本格的にメイドとしての修行を始めたのは10歳ぐらいの時だったでしょうか、当時は余り疑問に思いませんでしたが今ならば言えます……。

 母のメイド道は一般のメイドとは明らかに異なります!

 確かに重なるところはありますよ、ですが普通は斧で戦ったりしませんし、笑いながら盗賊を殲滅したりしません!


「いいかいリーシャ、メイドたる者いついかなる時でも主の盾となって邪魔するものを排除できなきゃいけないのよ!」


 ある意味での英才教育の成果なのでしょう、おかげで立派なメイドにはなれましたよ!ええ、立派なメイドのような何かに。

 まあ、私の身の上は置いておいて問題は主であるベアール様についてです。


 年が近いこともあって小さい時からおそばにいましたが、ベアール様は時折突拍子もない事をするのが困りものなのです!

 今回も領地内の視察からお帰りになって何やら抱えてると思ったら、すぐにお呼び出しを頂きました。

 なにやら厄介事の様な予感がしますが……こんどは一体何をするでしょうか。



「この子を家の養子兼跡継ぎとして育てようと思うんだ!」


「「はっ?養子兼跡継ぎ予定として育てる!?」」


 またこの人はとんでもないことを、いや現状だとその考えに行くのも分からないではないのですけど……。


「失礼ながら旦那様、養子はまあまだ納得しましょう、ですが跡継ぎ予定というのはいささか……」

 お父様の顔を見る限り私と似たような結論を出したようですね。


「そ、そうでございます、それに跡継ぎならご長男が」

 そうなのです、現在クーゲル家は3年前に長男が家を飛び出してしまいして、後継者となる存在が不在なのです。


「しかたがないだろう、あのバカが3年前に勝手に出て行って連絡の一つもよこさない。そうなると次を用意しないといけないがそうそう簡単に男子に恵まれるわけもない。それに家の様な開拓領地に嫁ごうなんて物好きはそうそういないだろうしな」


 いえ、物好きはいないわけではないんですよ、ただそれが利権狙いの方ですので。

 クーゲル家は親子三代に渡り騎士団の団長、副団長と軍の上層部に付くある意味でネームバリューが有るのです。


「なので俺はこの子を跡継ぎ予定として育てようと思う、それに俺はアイリス以外の嫁を取るきはリーシャを除いて無いぞ」


 旦那様は愛妻家でいらっしゃるのですが、そのせいか後妻を取ろうとしません。

 しかも唯一取ろうとするのが私なのです!

 確かに小さい頃から一緒に育ったおかげなのかベアール様は私と一緒にいるときは気を許していらっしゃいまして。

 そしてどういうわけなのかなき奥方様であるアイリス様からも「リーシャにもベア君と結婚して一緒に支えて欲しいのよ」っと、笑顔で求められる始末、ですが私はメイド。


「旦那様、そのようなお戯れはおよしください、私は旦那様の……メイドでございます……」


 いえ、内心はたしかに嬉しいのです、ですが私はこれを受け入れてしまっていいのか……。

 母にも相談したことは有るのですが「そんなもん受け入れてしまえばいいのさ!それに元々リーシャはベアール坊っちゃんの側付きメイドだろ、何もおかしいことじゃない。それこそ側室筆頭で他の側室との調整役なんてのも貴族にはまあ有ることみたいだからね」と言われる始末。


 しまいには「坊っちゃんもああ言ってるんだ、好きならさっさと嫁に行っちまいな、それとも嫌いなのかい?」

 そんな訳ありません!小さい頃から側にいましたがベアール様以上の方は見たことがありません!


 私は意気地なしなのでしょうか……。





 あの後、父が鬼迫を放って釘を指したり、赤子の衣から金貨がでたりとハプニングはありましたが話し合いは終わり、現在はこの子の為の食事の準備と丸洗いです。


 この子はもういくつか歯が生え離乳食の段階に入っているようで料理人に準備してもらい、その間に身体を洗ってしまいましょう。


 桶にぬるめの湯を用意してそこに赤子をゆっくりつける。

 それにしてもこの子の毛並みはすごいですね、柔らかくてサラサラしてます……ちょっと嫉妬してしまいそうですね。

 しかし洗っている手が止まりません。

 そして赤子からは「くっ、キュ~ン……」っと声が出る始末。

 これは可愛いですわね……ですがおいたはダメですよ。私がずぶ濡れになってしまいます。

 父上から教わったこの気迫を相手にぶつけて動きを止める技はこういう時便利ですわ。



 全身洗い終わると今度は食事です、ご子息様の時は食べさせるのが大変な時期もありましたが、この子はよほどお腹をすかしていたのかスプーンで持って行く度にペロリと食べていきます。

 ベアール様、そんな羨ましそうな目で見ないでくさいませ……。

 そして用意した食事を全部食べ終わるとお腹が膨れたせいなのかうとうととし始めました。


 ちょっとこれは可愛すぎですわ……、その後はこの子を昔ベアール様が使っていた子供用ベッドに運ぶだけ。

 ですからベアール様、その獲物を見つけた野生動物のような目で見ないでくださいませ。

 これはメイドの仕事ですわ! オ~ッホホホ……すいません、メイドとしてのキャラが崩れかけました。


 それでは皆様、本日はこの辺で おやすみなさいませ。




ちなみにリーシャの母であるアイシャは現在メイド職をリーシャに譲った後、領地内の村で託児所のようなことをしております。

そしてアイシャもリーシャも年に対してそこそこ若い感じですね。

それはアイシャの両親にハーフエルフがいた事が要因となっております。

なのでアイシャさんはクォーターエルフ、リーシャさんはワンエイスエルフと呼べばいいのでしょうか?


次回からはいつもどおり主人公のお話に戻ります

みんなも夏の熱中症には気をつけようね!

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